山賊な騎士団長は子にゃんこを溺愛する

紅子

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子にゃんこ、後始末に首を突っ込む

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翌日、私はさっとご飯を済ませると、ザムに連れられて王様の執務室へと急いだ。私がなかなか起きなかったからだ。ザムは既に準備できていたが、私を連れていくためギリギリまで待ってくれていたのだ。いい人や。子ネコになってから、朝が弱くなった気がする。

「遅くなりまして」

「大方、フィリアがなかなか起きなかったんでしょう?」

「なー、にゃにゃなー?」
アーノ、なんで分かったの?

「いつものことです」

どうやら、朝寝坊なのは子ネコとは関係なかったようだ。ずっと独りで暮らしていたから気づかなかった・・・・。

「フィー、朝食は食べたのか?」

「にゃー。にゃ、にゃぁん」
食べた。お菓子食べる。

「そうかそうか。誰か、菓子を用意しろ」

王様、素敵。

「フィリア、豚になりますよ?」

「ぶみゃーー!」
アーノ、酷い!

最近の私は、ネコ生活にも慣れて、ザムのポケットからひとっ飛びで着地できる。そして、ぴょんと王様の膝でお菓子を待つのだ。毎日散歩もしているから、決して豚にはならない。私だって女の子だ。その辺には気を使っている。だいたい、お菓子なんてなかなか口に出来ないんだから、王様に会ったらおねだりするのは礼儀だと思う。

「なにやら聞いておりますと、陛下方はその子ネコと話しができているように聴こえるのですが・・・・?」

「「「・・・・」」」

「さて、今日ここに集まってもらった訳だが、ファビアーノ」

王様たちは沈黙したあと、さっと話題を変えた。パパは聞きたくても聞けないというジレンマが顔に出ている。

「はい。例のご令嬢ですが」

ちらっとアーノが私を見た。

「ご推察の通り、魅了魔法の使い手でした。今は私の術で一時的に封じてありますが、詳しいことは調査中です。この辺りは、魔女の領域ですから、魅了の魔法を完全に封じた後は、お好きにどうぞ」

うわー、テンプレすぎる。

「それに、総帥のお孫さん、ローズマリー嬢の虐めについても、そのような事実はありません。苦言を呈した、というか、貴族としては当たり前の注意をしただけですね。婚約者のいる男性に纏わりつかないとか足を出して走らないとか。件の令嬢は、ご存じの通り一年前まで平民として生活してましたから、男爵家での教育が足りなかったということです。ぼんくら王子は、その天真爛漫さが気に入ったようですが。物は言いよう。ただの礼儀知らずな平民です。それから、階段の件は、自作自演でした」

どうコメントしていいか、わからんな!ここまでくると・・・・

「ぷにゃ、にゃにゃにゃ」
くふ、ふっふふふ。

笑いが・・・・。

「ぶっふ、ふきゅきゅきゅきゅ・・・・」
ぶっふ、ふははははははは・・・・

なにこれ、コメディか!

コロコロ転がりながら笑いこける子ネコを、私の事情を知る者たちが凄い顔をしてじとっと睨むけど、笑うよね?うわー、どうせなら、子ネコとして陰から実際に見てみたかった。もう一回やってくれないかなぁ。王様のバカ息子とその取り巻きたちを見てみたい。ちょっくら見に行ってみようか?

笑いながらそんなことを考えていたら、ザムにポケットへ押し込まれた。

なにすんだ!!!

ムッとしながら顔を覗かせるとパパがぽかんと私を見ているではないか。

この人がいること忘れてた。

そこっとポケットの中に戻って何事もなかったかのようにしらっと寝ることにした。現実逃避とも言うが・・・・。

「「「ハァ」」」

「して、その方らはどうしたい?ぼんくら王子・・・・・・が身内を公の場で貶めたんだ。考慮はする」

あっ、王様ってばアーノの嫌味にイラッとしてる。反応すれば余計に面白がるのに。

「そうですなぁ。まず、こやつの進退ですが、現状維持ということで」

「うむ」「いや、それは・・・・」

んん?ザムは、団長を辞めたいのかな?

「なんだ、辞めたいのか?」

「あー、出来れば・・・・」

「珍しく歯切れが悪いなぁ」

「おや、もしかして・・・・グフフフ」

アーノが笑ってる。碌なことじゃないな。

「いや、その・・、別に他意はなく・・・・ですね」

「ファビアーノ、説明しろ」

「ププ、フィリアのために田舎に行きたいのでしょう?クククッハハハハハハハハ」 

私はポケットからザムを見上げた。真っ赤な顔で耳まで赤くしてしかめっ面をしている。アーノの笑い声が更に大きくなった。

「田舎の方が子ネコには住みやすいでしょう?」

「「・・・・」」

「・・・・子ネコ・・・・」

パパの気の抜けた声が聞こえた。

・・・・。

確かに野山のある田舎の方が私としては住みやすい。なにせ、私の得意な魔法は、土に属するものだからだ。植物の成長や土地の改良、調薬、錬金などがそれにあたる。他が出来ないわけではないけど、得意じゃない。

「フィリアと住むならその方がいい。ですが、料理ができるようになってからにしてくださいね?あれは、壊滅的に出来ない。よく生きてこれたと思いますよ」

「分かった」

「!待て!フィーを連れていくのはダメだ。私の癒しが・・・・」

いや、王様、今はそこじゃないと思うよ。

「陛下。そうでなく、たかだか子ネコのために重要な役職を辞すと言うこやつの発言をたしなめて頂きたい」

そうそう。さすがパパ。

「ム。そうだな。ガルザムよ。職を辞すことは許さん。フィーを飼うことは許すから散歩させておけ」

ん?王様がポンコツ?

「ぶははははははは」

アーノも笑い事じゃないでしょ!

「ククク、まあ、料理を覚えるのも時間がかかるし、暫くは団長のままでいいのではないですか?ププ」

私のことを私抜きで決められるのは、なんだか面白くない。

「にゃー。にゃー、にゃ」
森がいい。森が落ち着くー。

「やはり」

「お前の進退は後回しだ。話しが進まんだろう。他には?」

「今回の騒動の真相を社交界に公表すること。それに一度婚約破棄をされたのですから、第3王子の婚約者には戻しません。当然、その取り巻きもお断りします。孫娘には今後、まともな縁談が来るとは思えない。ですから、慰謝料として、伯爵以上の爵位の叙爵と領地を拝領致したい」

「まあ、妥当なところだな。いいだろう。ぼんくらに与える予定だった領地の2/3とマルガリー伯爵位でどうだ?」

「いいでしょう。それで、平民出の娘とキンバス男爵家へのお咎めはどう致すおつもりでしょう?お聞かせ願えますか」

「にゃーにゃにゃ。にゃにゃにゃーんにゃん。ぶみゃーみゃみゃ」
男爵令嬢ちゃんは、記憶持ちなんでしょ?彼女は何がしたかったの?王子妃を狙ってただけ?

「何を言いたいんですか?」

ザムのポケットから引きずり出されて、ぷらーんと掲げられた。目の前には、いい笑顔のアーノ。

「・・・・」
それは、・・・・。

ちらっとパパを見る。

いいの?居るよ?

「陛下」

「ランスレー公爵、済まないがしばらく席を外してくれ」

「・・・・その子ネコは普通のネコではないようですね。魔女、ですか?」

さすが!総帥は伊達じゃないね!

「ファビアーノの子ネコ、と言っておこう」

あれ?ザムがなんかショックを受けてる?なんで?

「そうで」

「会議中のところ失礼致します!王太子殿下が火急の用と参っております」

「通せ」

「はっ」

それからすぐに、金髪碧眼のざ・王子様が私達の前に現れた、真っ青な顔をして・・・・。
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