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山賊、心配する
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フィーは、俺の掌に収まるとすぐにくぅくぅと寝てしまった。なんだか、顔色もよくない。子ネコだから実際は分からないが、そんな気がする。
「ファビアーノ、フィーはなんでこんなに疲れてるんだ?」
「私のテリトリーでちょっとばかり緻密な魔法を行使したからですよ」
「魔力を使いすぎたってことか?」
「うーん。まあ、人で言うならそういうことになりますか。今日はもう起きないでしょうからゆっくり寝かせてあげてください。明日の朝、迎えに行きますが、この分だと起きないかもしれませんねぇ」
まだ、夕食にも早い時間だぞ。この時間から眠って朝になっても起きないとはどれだけ疲れているんだ!
「本当に大丈夫なんだろうな?」
「そんなに心配ですか?」
心配に決まっている!ムッとしてファビアーノを睨むが、どこ吹く風だ。笑いを堪えているのがまた腹が立つ。
「でしたら、あなたの魔力を分けるといいですよ?少しはマシになるかもしれません」
魔力を分ける?
俺の疑問が顔に出ていたのだろう。耳元でボソッと方法を教えてくれた・・のだが・・・・。
「!!!・・・・」
出来るわけないだろう!子ネコとはいえ、じょせ、女性にそんな、くくく・・・・。
「充分眠れば元に戻ります。無理に、とは言いませんよ?」
からかいも多分に含まれているであろうその提案に乗るわけにはいかない。30も半ばを迎える男がこの程度の話で取り乱すなどみっともないが、この容姿から察してくれ。ファビアーノの言葉が頭の中でくるくると回り、「ヘタレ」というファビアーノの言葉は俺の耳には届かなかった。俺はぐっすりと眠るフィーをいつものようにポケットにしまうと、ファビアーノの元を後にした。
騎士団専用の俺の部屋にあるフィー専用の寝床にそっと横たわらせた。一度眠ると多少のことでは目を覚まさないのはこの1月で知っている。だが、ファビアーノの所で見た憔悴ぶりに、フィーの小さな腹が上下しているのを見ると安心できた。あんなにふらふらのフィーは初めてで、魔女の使う魔法はそんなに酷なのかと、眉を潜めたのはしかたがないと思う。いつもの元気な姿がいい。
フィーが心配で久しぶりに自室で食事を摂った。この部屋は代々の団長が使用するため、その辺の貴族用の宿より贅沢な造りになっていて、応接室、キッチン、ダイニング、リビング、寝室が揃っている。まあ、寝室以外はほとんど使わないがな。掃除もメイドがやってくれるから楽なものだ。以前は俺がいると食べにくかろうと気をつかって自室で摂っていたが、フィーのメニューを見て選びたいという要望に答えるため食堂に行き始めた。フィーがいない飯は味気ない。最近では俺の飯からフィーの分をあらかじめ取り分けてフィー専用の皿で出してくれるようになった。時々、他の団員から差し入れまで貰っている。愛想よくもふられているフィーを見ると、本当に人間が嫌いなのかと疑いたくなってくる。それくらい上機嫌なのだ。
「フィー、早く元気になれよ」
俺は、フィーを自分のベッドの枕元に置いて眠りについた。
翌日、俺が朝食を食べ終わる頃、ファビアーノが訪れた。フィーはまだ眠っている。
「おはようございます。フィリアは、・・・・まだみたいですね」
「おい!本当にただの疲労なんだろうな?なにか変な術じゃないのか?」
「ただの疲労ですよ。これはフィリアの仕事ですから、私が代わることはできません。この手の魔法でフィリアに勝る者はいませんから」
そう言って、ファビアーノは重厚な箱と手袋を差し出してきた。
「魔力を通さない手袋です。それをして中を見てください」
「分かった」
手袋をした手で慎重にその箱を開けた。中には・・・・。俺は思わず目を見張った。見たことがないほど優美で繊細な細工の首飾りが納められている。この手の物には疎い俺でもこの首飾りの価値は分かるつもりだ。王家の秘宝と言われても遜色ない。いや、王家の秘宝なのか?
「これは?」
「魅了の魔法を生涯封じる魔道具の一種です。これを件の令嬢に着けさせます。触れた者の魔力が登録されるので、この手袋をはめて、その令嬢につけることになります。陛下にその旨、伝えてください。作成者は、深窓の魔女です。深窓の魔女には、この件に関連した別の魔道具を創ってもらうのですが・・・・、1日では無理そうですね。明後日の夕方まで預かりましょうか」
つまり、フィーのことは伏せろということか。
「了承した。陛下には伝えておく。だが、フィーはダメだ。夕方迎えに行く。お前のところにいると休めなそうだ」
「仕方ないですね。それでいいですよ。では、後ほど」
ファビアーノは肩を竦めて同意したが、たぶん、同じ事を考えたんだろう。しかし、あのにやにやは腹が立つ。俺は、フィーを送り出したその足で陛下のところへと向かった。そして、ファビアーノからの伝言を伝えた後、食堂の厨房へと急いだ。昨日からろくに食べていないであろうフィーの食事を用意するためだ。
料理長直々の指導を受けながら、どうにか形になったそれをファビアーノの住まいがある辺りに持っていくと、分かっていたかのようにファビアーノが待っていた。
「遅かったですね」
「陛下には伝えた。明後日の夜会だ。フィーにこれを。夕方迎えに来る。フィーは、起きたのか?」
「まだ眠っていますが、そろそろ起きるでしょう。明後日の夜会で私からその令嬢に首飾りを渡します。フィーも連れていきますから、貴方のポケットに忍ばせてください」
「わかった。伝えておく」
それだけ言うと、俺たちはそれぞれの仕事へと戻った。
「ファビアーノ、フィーはなんでこんなに疲れてるんだ?」
「私のテリトリーでちょっとばかり緻密な魔法を行使したからですよ」
「魔力を使いすぎたってことか?」
「うーん。まあ、人で言うならそういうことになりますか。今日はもう起きないでしょうからゆっくり寝かせてあげてください。明日の朝、迎えに行きますが、この分だと起きないかもしれませんねぇ」
まだ、夕食にも早い時間だぞ。この時間から眠って朝になっても起きないとはどれだけ疲れているんだ!
「本当に大丈夫なんだろうな?」
「そんなに心配ですか?」
心配に決まっている!ムッとしてファビアーノを睨むが、どこ吹く風だ。笑いを堪えているのがまた腹が立つ。
「でしたら、あなたの魔力を分けるといいですよ?少しはマシになるかもしれません」
魔力を分ける?
俺の疑問が顔に出ていたのだろう。耳元でボソッと方法を教えてくれた・・のだが・・・・。
「!!!・・・・」
出来るわけないだろう!子ネコとはいえ、じょせ、女性にそんな、くくく・・・・。
「充分眠れば元に戻ります。無理に、とは言いませんよ?」
からかいも多分に含まれているであろうその提案に乗るわけにはいかない。30も半ばを迎える男がこの程度の話で取り乱すなどみっともないが、この容姿から察してくれ。ファビアーノの言葉が頭の中でくるくると回り、「ヘタレ」というファビアーノの言葉は俺の耳には届かなかった。俺はぐっすりと眠るフィーをいつものようにポケットにしまうと、ファビアーノの元を後にした。
騎士団専用の俺の部屋にあるフィー専用の寝床にそっと横たわらせた。一度眠ると多少のことでは目を覚まさないのはこの1月で知っている。だが、ファビアーノの所で見た憔悴ぶりに、フィーの小さな腹が上下しているのを見ると安心できた。あんなにふらふらのフィーは初めてで、魔女の使う魔法はそんなに酷なのかと、眉を潜めたのはしかたがないと思う。いつもの元気な姿がいい。
フィーが心配で久しぶりに自室で食事を摂った。この部屋は代々の団長が使用するため、その辺の貴族用の宿より贅沢な造りになっていて、応接室、キッチン、ダイニング、リビング、寝室が揃っている。まあ、寝室以外はほとんど使わないがな。掃除もメイドがやってくれるから楽なものだ。以前は俺がいると食べにくかろうと気をつかって自室で摂っていたが、フィーのメニューを見て選びたいという要望に答えるため食堂に行き始めた。フィーがいない飯は味気ない。最近では俺の飯からフィーの分をあらかじめ取り分けてフィー専用の皿で出してくれるようになった。時々、他の団員から差し入れまで貰っている。愛想よくもふられているフィーを見ると、本当に人間が嫌いなのかと疑いたくなってくる。それくらい上機嫌なのだ。
「フィー、早く元気になれよ」
俺は、フィーを自分のベッドの枕元に置いて眠りについた。
翌日、俺が朝食を食べ終わる頃、ファビアーノが訪れた。フィーはまだ眠っている。
「おはようございます。フィリアは、・・・・まだみたいですね」
「おい!本当にただの疲労なんだろうな?なにか変な術じゃないのか?」
「ただの疲労ですよ。これはフィリアの仕事ですから、私が代わることはできません。この手の魔法でフィリアに勝る者はいませんから」
そう言って、ファビアーノは重厚な箱と手袋を差し出してきた。
「魔力を通さない手袋です。それをして中を見てください」
「分かった」
手袋をした手で慎重にその箱を開けた。中には・・・・。俺は思わず目を見張った。見たことがないほど優美で繊細な細工の首飾りが納められている。この手の物には疎い俺でもこの首飾りの価値は分かるつもりだ。王家の秘宝と言われても遜色ない。いや、王家の秘宝なのか?
「これは?」
「魅了の魔法を生涯封じる魔道具の一種です。これを件の令嬢に着けさせます。触れた者の魔力が登録されるので、この手袋をはめて、その令嬢につけることになります。陛下にその旨、伝えてください。作成者は、深窓の魔女です。深窓の魔女には、この件に関連した別の魔道具を創ってもらうのですが・・・・、1日では無理そうですね。明後日の夕方まで預かりましょうか」
つまり、フィーのことは伏せろということか。
「了承した。陛下には伝えておく。だが、フィーはダメだ。夕方迎えに行く。お前のところにいると休めなそうだ」
「仕方ないですね。それでいいですよ。では、後ほど」
ファビアーノは肩を竦めて同意したが、たぶん、同じ事を考えたんだろう。しかし、あのにやにやは腹が立つ。俺は、フィーを送り出したその足で陛下のところへと向かった。そして、ファビアーノからの伝言を伝えた後、食堂の厨房へと急いだ。昨日からろくに食べていないであろうフィーの食事を用意するためだ。
料理長直々の指導を受けながら、どうにか形になったそれをファビアーノの住まいがある辺りに持っていくと、分かっていたかのようにファビアーノが待っていた。
「遅かったですね」
「陛下には伝えた。明後日の夜会だ。フィーにこれを。夕方迎えに来る。フィーは、起きたのか?」
「まだ眠っていますが、そろそろ起きるでしょう。明後日の夜会で私からその令嬢に首飾りを渡します。フィーも連れていきますから、貴方のポケットに忍ばせてください」
「わかった。伝えておく」
それだけ言うと、俺たちはそれぞれの仕事へと戻った。
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