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子にゃんこ、魔力がほしい
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目を覚ますと、再びアーノの家にいた。
「目が覚めましたか」
「お腹へった」
アーノはサンドイッチとオニオンスープの入った器を私の前に置いてくれた。昨日の昼から何も食べてなかったから、あっという間になくなった。もう少し食べたかったけど、概ね満足した。
「美味しかったですか?」
「うん!」
「それ、団長が作ったんですよ」
私はビックリしてしまった。いつも忙しそうにしているザムが本当に料理を作るなんて思ってもいなかったから。
「愛されていますね?」
アーノめ!面白がってるな。
「当たり前でしょ?こんなに可愛い子ネコ、なかなかいないもん」
恥ずかしさを誤魔化すように、ツンと顎をあげて傲慢な感じで言い返しておいた。
「さて、今日と明日で各国に置く魔道具を創ってください。昨日話したように禁術の発動を関知し、我々魔女にそれを伝える物です。全部で7個。創った後は、各国にいる魔女が適切なところに設置します。頑張って下さいね?」
えげつない注文だ。
それを創るの、どれだけ大変なのか分かってる!?
「・・・・了解」
私は渋々了承した。師匠達の話し合いで決まったのだから、拒否は出来ない。これは数少ない魔女の大事な仕事だ。
「ご褒美は、明後日の夜会で、昨日の首飾りを件の令嬢に渡しますから、その場に連れていってあげましょう」
「本当!やったー!よし、やるか!」
私は気合いを入れて取り掛かった。こんな娯楽はなかなかない♪ふふふ。魔道具に必要な神木の枝、萬年亀の甲羅、鯨の髭をアーノの研究室から拝借して、昨日と同じようにアーノの庭に佇む。禁術には膨大な魔力がいるから監視はそんなに難しくはないけど、今回のような事もあるから一概に魔力量だけには絞れない。さて、どうしようか?過去の記憶を漁ってひとつ創った。
「よし!これなら完璧」
萬年亀の甲羅を魔力貯蔵庫にして、オリハルコンを基盤に魔力伝導率を上げるために鯨の髭を使い、神木の枝を受信機にした。まあるい形が可愛らしい。我ながら良くできていると思う。
お昼少し前から始めたそれは、結局、夕方までかかって出来たのは3個。4個目を創ろうとしたところで、アーノに持ち上げられた。
「ひゃあ」
「団長が迎えに来ていますよ。夕食の時間ですから今日は終わりです。これは、私が保管しますね?続きは明日。迎えに行きます」
ぷらーんとぶら下げられて、ザムのいるアーノの家の外に連れてこられた。相変わらず、山賊感満載の厳ついザムの仁王立ち姿は、本当に山賊だ。笑っているであろう顔が、獲物を見つけた野獣のよう。アーノはそのザムに怯むことなく近づくと私をザムの掌にぽんと物を渡すように置いた。
「では、また明日」
すたすたと自宅へ戻っていくアーノを見送りつつ、ザムの掌に腹這いになって寝そべった。
疲れた。
「大鍋で薬草をコトコトしたい・・・・」
ポツンと零れた言葉をザムは耳聡く聞き付けた。
「鍋、買うか?」
甘いなぁ。
でも、そういうことじゃない。
「いらない。疲れた」
ザムの掌でくるんと丸くなって眠ることにした。
「飯は?」
「後でいい・・・・」
ああ、魔力ほしい。
ザムがそぅと私をポケットに入れたのが分かったから、私はそのぬくぬくの何処よりも安心な場所で深い眠りに落ちた。
その夜中。
私の魔力不足は思ったよりも深刻だったらしく、空腹・・・・ではなく、魔力がほしくてぼんやりと目を開けた。
うーーー、まりょくーー。
私たち魔女はこんなことも日常的に起こるため、自分の魔力を日頃から特製の魔道具に溜め込んでいる。自分専用のジュースだと思ってくれればいい。寝ぼけていた私は、隣にある魔力をその魔道具と勘違いした。普通なら絶対にあり得ないことだ。
その魔力をペロペロと舐めた。
んー、違う。飲み口はここじゃなかったか。
ペロペロと舐めながらぼーっと飲み口を探す。疲れて眠くて魔力がほしくて目を開けていられない。
あった!ここだ!
おかしいなぁ。なんで開かないの?
必死に飲み口をペロペロしていると突然そこがパカッと開いた。すかさず口を突っ込んで魔力を補充する。
あー、満たされるぅ。
魔道具が異様にカタカタと動くけど、魔力を補充したい私は、ぎゅっとそれを抱え込んで満足いくまで貪った。そして、何故か暖かいそれを抱えてコトンと再び深い眠りに落ちた。
翌日、私は爽快に目覚めた。昨日の疲れが嘘のようだ。スッキリとした私とは反対に、ザムはなんだか疲れた様子でこちらを見ていた。
「おはよう、ザム!お腹すいた!」
「フィー。・・・・昨日のあれは・・・・」
ザムにしては歯切れが悪いし、そわそわとこちらを伺っていて落ち着きがない。
???
「昨日?あれって?」
「・・いや、なんでもない。さあ、朝御飯に行こう」
ベッドから降りてさっさと身支度を整えたザムに連れられて、久しぶりの食堂に向かった。食堂には疎らに人がいるだけで、いつもの賑わいはない。今朝はいつもより少しだけ早いからかもしれない。
「昨日の夜も食べてないから、お腹すいたろう。ほら」
いつものように私専用の器にたっぷりとパンの浮かんだスープとベーコン、目玉焼きが乗せてある。朝は昼や夜と違い選べない。でもここの食堂の料理はとても美味しい。
「あ。ザム、昨日のサンドイッチとスープ、ありがとう。とっても美味しかったよ」
「そうか」
ザムの笑顔を見た周りの人達は、ビクッと震え上がっていた。寛いでいた者は早々に立ち去り、食事をしていた者も詰め込むように終わらせていた。
ごめんなさい。
半分くらい食べたところで、いつも私にお菓子をくれる騎士のお姉さん達や拾われたときにいた青年騎士もやって来た。お姉さんはイザベラとカトリーヌとアンネット。青年騎士はランツと言う。お菓子をくれる人は覚えておかなくてはいけない。ランツはザムの副官でよくザムと話しているから自然に覚えた。
「あ、フィーちゃん!」
カトリーヌがいそいそとやって来た。この人は、動物全般が好きみたい。痒いところに手が届く撫で方をしてくれる。
「本当だー」
イザベラとアンネットも続いてきた。このふたりはお菓子をたくさんくれる。可愛いのや綺麗なのが多くてウキウキする。
「「「団長、おはようございます」」」
「ああ、おはよう」
さすがに騎士の皆様は、団長に慣れているから普通に話してくる。
「一昨日から団長も来ないし、心配したんだよ」
3人に代わる代わるもふもふされる。
「なーお。みにゃーん」
大丈夫。疲れてただけ。
「またね」
「にゃおーん」
またね。
私は、再びご飯にがっついた。既に食べ終わっているザムは、ランツと何か話している。雑談と言う雰囲気ではないが、それを横目に私はもくもくとご飯を食べた。
「にゃー」
飲み物ほしーい。
ご飯を食べ終わり、ザムに飲み物を要求する。まだランツと話をしていたが、そんなのは知らない。私はネコ。空気なんて読まない。
「ほら、熱いぞ」
「みゃー」
ありがとう。
出されたのはダージリンティー。これはザムの気分によって、コーヒーだったり、ハーブティーだったりする。
「準備はしておいてくれ」
「・・・・。ハァ。分かりました」
話は終わったようだが、ランツはなんとなく不満な顔をしている。それを飲み込むように私の頭をポンポンとして去っていった。
「ここでしたか。団長の部屋に行ってもいないから探しましたよ。さあ、フィー、行きますよ」
そのすぐ後、珍しくアーノが食堂に顔を出した。アーノをここで見たのは初めてだ。何故ならアーノの趣味が料理だから。王宮の料理人も真っ青な美味しい料理だ。時々、夕食時におしか、オホン・・・・ご招待してくれる。料理の苦手な私には羨ましい限りだ。
「ファビアーノ、ちょっと話がある」
「分かりました。後ほど伺います」
ザムと別れた私は、アーノの家で昨日の続きを始めて、夕方には残りの4個を完成させた。
「目が覚めましたか」
「お腹へった」
アーノはサンドイッチとオニオンスープの入った器を私の前に置いてくれた。昨日の昼から何も食べてなかったから、あっという間になくなった。もう少し食べたかったけど、概ね満足した。
「美味しかったですか?」
「うん!」
「それ、団長が作ったんですよ」
私はビックリしてしまった。いつも忙しそうにしているザムが本当に料理を作るなんて思ってもいなかったから。
「愛されていますね?」
アーノめ!面白がってるな。
「当たり前でしょ?こんなに可愛い子ネコ、なかなかいないもん」
恥ずかしさを誤魔化すように、ツンと顎をあげて傲慢な感じで言い返しておいた。
「さて、今日と明日で各国に置く魔道具を創ってください。昨日話したように禁術の発動を関知し、我々魔女にそれを伝える物です。全部で7個。創った後は、各国にいる魔女が適切なところに設置します。頑張って下さいね?」
えげつない注文だ。
それを創るの、どれだけ大変なのか分かってる!?
「・・・・了解」
私は渋々了承した。師匠達の話し合いで決まったのだから、拒否は出来ない。これは数少ない魔女の大事な仕事だ。
「ご褒美は、明後日の夜会で、昨日の首飾りを件の令嬢に渡しますから、その場に連れていってあげましょう」
「本当!やったー!よし、やるか!」
私は気合いを入れて取り掛かった。こんな娯楽はなかなかない♪ふふふ。魔道具に必要な神木の枝、萬年亀の甲羅、鯨の髭をアーノの研究室から拝借して、昨日と同じようにアーノの庭に佇む。禁術には膨大な魔力がいるから監視はそんなに難しくはないけど、今回のような事もあるから一概に魔力量だけには絞れない。さて、どうしようか?過去の記憶を漁ってひとつ創った。
「よし!これなら完璧」
萬年亀の甲羅を魔力貯蔵庫にして、オリハルコンを基盤に魔力伝導率を上げるために鯨の髭を使い、神木の枝を受信機にした。まあるい形が可愛らしい。我ながら良くできていると思う。
お昼少し前から始めたそれは、結局、夕方までかかって出来たのは3個。4個目を創ろうとしたところで、アーノに持ち上げられた。
「ひゃあ」
「団長が迎えに来ていますよ。夕食の時間ですから今日は終わりです。これは、私が保管しますね?続きは明日。迎えに行きます」
ぷらーんとぶら下げられて、ザムのいるアーノの家の外に連れてこられた。相変わらず、山賊感満載の厳ついザムの仁王立ち姿は、本当に山賊だ。笑っているであろう顔が、獲物を見つけた野獣のよう。アーノはそのザムに怯むことなく近づくと私をザムの掌にぽんと物を渡すように置いた。
「では、また明日」
すたすたと自宅へ戻っていくアーノを見送りつつ、ザムの掌に腹這いになって寝そべった。
疲れた。
「大鍋で薬草をコトコトしたい・・・・」
ポツンと零れた言葉をザムは耳聡く聞き付けた。
「鍋、買うか?」
甘いなぁ。
でも、そういうことじゃない。
「いらない。疲れた」
ザムの掌でくるんと丸くなって眠ることにした。
「飯は?」
「後でいい・・・・」
ああ、魔力ほしい。
ザムがそぅと私をポケットに入れたのが分かったから、私はそのぬくぬくの何処よりも安心な場所で深い眠りに落ちた。
その夜中。
私の魔力不足は思ったよりも深刻だったらしく、空腹・・・・ではなく、魔力がほしくてぼんやりと目を開けた。
うーーー、まりょくーー。
私たち魔女はこんなことも日常的に起こるため、自分の魔力を日頃から特製の魔道具に溜め込んでいる。自分専用のジュースだと思ってくれればいい。寝ぼけていた私は、隣にある魔力をその魔道具と勘違いした。普通なら絶対にあり得ないことだ。
その魔力をペロペロと舐めた。
んー、違う。飲み口はここじゃなかったか。
ペロペロと舐めながらぼーっと飲み口を探す。疲れて眠くて魔力がほしくて目を開けていられない。
あった!ここだ!
おかしいなぁ。なんで開かないの?
必死に飲み口をペロペロしていると突然そこがパカッと開いた。すかさず口を突っ込んで魔力を補充する。
あー、満たされるぅ。
魔道具が異様にカタカタと動くけど、魔力を補充したい私は、ぎゅっとそれを抱え込んで満足いくまで貪った。そして、何故か暖かいそれを抱えてコトンと再び深い眠りに落ちた。
翌日、私は爽快に目覚めた。昨日の疲れが嘘のようだ。スッキリとした私とは反対に、ザムはなんだか疲れた様子でこちらを見ていた。
「おはよう、ザム!お腹すいた!」
「フィー。・・・・昨日のあれは・・・・」
ザムにしては歯切れが悪いし、そわそわとこちらを伺っていて落ち着きがない。
???
「昨日?あれって?」
「・・いや、なんでもない。さあ、朝御飯に行こう」
ベッドから降りてさっさと身支度を整えたザムに連れられて、久しぶりの食堂に向かった。食堂には疎らに人がいるだけで、いつもの賑わいはない。今朝はいつもより少しだけ早いからかもしれない。
「昨日の夜も食べてないから、お腹すいたろう。ほら」
いつものように私専用の器にたっぷりとパンの浮かんだスープとベーコン、目玉焼きが乗せてある。朝は昼や夜と違い選べない。でもここの食堂の料理はとても美味しい。
「あ。ザム、昨日のサンドイッチとスープ、ありがとう。とっても美味しかったよ」
「そうか」
ザムの笑顔を見た周りの人達は、ビクッと震え上がっていた。寛いでいた者は早々に立ち去り、食事をしていた者も詰め込むように終わらせていた。
ごめんなさい。
半分くらい食べたところで、いつも私にお菓子をくれる騎士のお姉さん達や拾われたときにいた青年騎士もやって来た。お姉さんはイザベラとカトリーヌとアンネット。青年騎士はランツと言う。お菓子をくれる人は覚えておかなくてはいけない。ランツはザムの副官でよくザムと話しているから自然に覚えた。
「あ、フィーちゃん!」
カトリーヌがいそいそとやって来た。この人は、動物全般が好きみたい。痒いところに手が届く撫で方をしてくれる。
「本当だー」
イザベラとアンネットも続いてきた。このふたりはお菓子をたくさんくれる。可愛いのや綺麗なのが多くてウキウキする。
「「「団長、おはようございます」」」
「ああ、おはよう」
さすがに騎士の皆様は、団長に慣れているから普通に話してくる。
「一昨日から団長も来ないし、心配したんだよ」
3人に代わる代わるもふもふされる。
「なーお。みにゃーん」
大丈夫。疲れてただけ。
「またね」
「にゃおーん」
またね。
私は、再びご飯にがっついた。既に食べ終わっているザムは、ランツと何か話している。雑談と言う雰囲気ではないが、それを横目に私はもくもくとご飯を食べた。
「にゃー」
飲み物ほしーい。
ご飯を食べ終わり、ザムに飲み物を要求する。まだランツと話をしていたが、そんなのは知らない。私はネコ。空気なんて読まない。
「ほら、熱いぞ」
「みゃー」
ありがとう。
出されたのはダージリンティー。これはザムの気分によって、コーヒーだったり、ハーブティーだったりする。
「準備はしておいてくれ」
「・・・・。ハァ。分かりました」
話は終わったようだが、ランツはなんとなく不満な顔をしている。それを飲み込むように私の頭をポンポンとして去っていった。
「ここでしたか。団長の部屋に行ってもいないから探しましたよ。さあ、フィー、行きますよ」
そのすぐ後、珍しくアーノが食堂に顔を出した。アーノをここで見たのは初めてだ。何故ならアーノの趣味が料理だから。王宮の料理人も真っ青な美味しい料理だ。時々、夕食時におしか、オホン・・・・ご招待してくれる。料理の苦手な私には羨ましい限りだ。
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