ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子

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厳戒態勢

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私とミリーナ様が拐われた翌日、私はレオナルド様からセアベルテナータ殿下の動機を聞き、頭を抱えてしまいました。本気で自国に浚うつもりだということも胃が痛くなりそうです。今頃、ミリーナ様も同じ思いをしていることでしょう。そして、もうひとつ。お兄様とシルビアお姉様の従兄弟にあたる方が学園に特別講師としてやって来ると言うではありませんか。それに、ミリーナ様側からランスロット様のお姉様とその部下数名が、こちらは、女性騎士の育成と実地訓練という名目のもと私たちの護衛をしてくださるそうです。



私たちが軟禁された日の2日後、お兄様たちがやって来ました。

「ロッテ!」

久しぶりに会ったお兄様の姿を見たのは一瞬。視界が森林色に染まりました。お兄様に抱き締められローブに隠されたのです。

「酷い目に遭ったね。お兄様が来たからにはもう大丈夫だよ」

相変わらず、過保護というか、愛情が暴走してますね。「ロッテが可愛すぎるのがいけない」とかぶつぶつ呟くのはやめてください。恥ずかしいので、そろそろ解放してほしいです。スリスリしないで。

「ん、んっんん」

誰かの咳払いが聞こえます。

「・・・・」

「アレク・・・・」

レオナルド様の呆れた声が聞こえます。

「ちょっと、そろそろいいかしら?」

呆れを含んだ凛とした声が聞こえます。

「いいよ」

私を抱き込んだままなのがダメなんだと思います。

「・・・・。だからね、その子を解放してちょうだい!」

「何で?」

「顔合わせがいるでしょ?!」

「仕方ないな」

お兄様は私を離さず、クルッと私の向きを変えると今度は後ろから抱き込みました。ローブの合わせから私の顔がちょっとだけ覗く格好です。

「「「「え?は?・・・・」」」」

「アレク。ロッテを離してもらえませんか?」

レオナルド様が笑顔で米神に青筋を立てています。ミリーナ様とランスロット様は呆れながらも、去年までの私とお兄様で耐性がついているのか、溜め息をつきつつ、やっぱりなと頷いています。

「嫌だよ」

「ビアにバラしますよ?」

「そのビアからロッテを離すなって言われてるんだ」

得意顔をしているお兄様ですが、皆さん呆れてますよ?

「お兄様だけおうちに帰ってもいいですよ?」

「何てこと言うの、ロッテ!お兄様、悲しい」

話が進みませんから、お兄様は無視してもらうことにしました。私は二人羽織状態で参加です。

「あなたも大変ね。私はイシュタ・クロイバル。ランスロットの姉で、王妃殿下付きよ。所属は第1騎士隊。この3人も同じく王妃殿下付きで第1騎士隊の所属ね。私の部下にあたるわ」

同情ありがとうございます。イシュタ様はランスロット様を女性にしたようなとても凛とした方でした。騎士服を着ていてもスタイルのよさがわかります。

「俺は魔法師のアイゼン・ガリア。ガリア伯爵家の次男でシルビアの従兄弟にあたる。よろしくな。俺と、こいつ、アレックスは無属性と新しい魔力の制御を指導するっていう建前で出向いている」

皆さん頷きながら話を聞いています。

「私たちは、建前としては護衛の実習が主な目的ね。それと女性騎士の育成だけど、そっちはついでみたいなものね」

女性騎士は常に私たちの目の届くところにいて、本当に護衛してくれるといいます。ありがたいことです。

「俺たちは、元凶の監視と動向を探ることが主な仕事だ。だから、君たちとはあまり接触はない」

「う~っ。ロッテ、何かあったら、もちろんなくても、いつでもお兄様のところに来るんだよ?」

「アレク!ロッテは私がみてるから心配は無用だよ。それより、セアベルテナータ殿下の方を頼むよ。私たちはできる限り関わりたくない」

それには、私も賛成です。

「何かあるのか?」

「うーん。あれは実際に見てみないと説明が難しいというか。話の通じないナルシストかな」

「何それ?」

「それ以外言いようがないんだよ。セアベルテナータ殿下本人より側近の方が何か画策してそうだぞ?マイカルたちの情報だ」

「信用できるのかしら?」

「ああ。同じクラスのやつらで、セアベルテナータ殿下たちの監視を頼んでる。諜報部の下っぱよりよほど上手く情報収集してくれる」

「あら、凄い逸材ね」

「ナンザルト先生が目をつけてそれとなく鍛えてるから、卒業後の進路は決まってるよ」

「「「「「あ~」」」」」

皆さん、納得の一声です。一通り今後の予定などを話し合った私たちは、週に一度程度、それぞれの状況を把握するためのこの職員用の棟にある会議室に集まることを決め、解散となりました。








「ロッテとレオは、今何を開発中なの?」

お仕事の合間を見つけては私のところへやって来るお兄様。レオナルド様に牽制されるのもなんのその。護衛のお姉様たちの白い目も気にならないようです。

「内緒です」

「ここでは話せない」

私とレオナルド様は今、GPS機能付きの状態異常を正常化するアイテムを開発中なのです。本当はGPSで追跡した場所に転移できるようにしたかったのですが、開発に時間がかかり間に合いそうにないことと軍事転用出来てしまうことから自主規制しました。

カフェで一息ついた私たちは、研究室へと足を運びました。魔法師コースを専攻する生徒には2人でひと部屋の研究室が与えられます。ここで調薬や魔道具開発が行われるため、セキュリティもバッチリです!お兄様は、一足先にアイゼン様に連行されていきましたから、ここにはいません。扉の前にお姉様ふたりが待機してくれています。

「明日採ってくるものは、コケッコーの魔石とホワイトベアの牙、リトルタートルの甲羅、スズメ花バチのハリでいいんだよね?」

「はい。あと出来れば、小亀岩の藻も欲しいです」

「ん?小亀岩の藻?」

「強力な睡眠薬の材料です」

「うん。知ってるよ。どうするのかな?」

「えっと・・・・。シュッてスプレーしたら夢の中です」

「・・・・。それを作るのは、この魔道具ができてからね?」

目の笑っていないレオナルド様の笑顔に仕方なく頷きます。こういう時は自主規制が必要なのです。私だって少しは学ぶんです!

私たちは明日、ランスロット様たちとは別行動で森に採集に出掛けます。これはアイゼン様の指示で、別行動を取った時の相手の動きを見るためだとか。お兄様はお留守番です。丁度必要な素材が足りなかった私たちは森へ、ランスロット様たちは学園内と別れることにしました。どちらにしてもいつもいつも人に見られる生活は落ち着きません。早くこの件が片付くといいのですが。
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