ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子

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不安

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なんだかんだと忙しくしているうちに、野外実習まであと10日となりました。グリフォル族連合王国から第2王子殿下がこの国にやって来るのも1月を切り、俄に空気が張り詰めてきたのは気のせいではありません。相変わらず、セアベルテナータ殿下は私たちの元へやって来ては、騒ぎ立てるだけ騒いでいきます。ミランダ様があまり来なくなっただけましと言えるかもしれません。このくらいの時期から1年生は課題とテストで忙しくなります。それに週末毎の薬草採取や魔獣討伐の課題はひとりでは出来ませんから、クラスでの交流が必須です。これを怠ると、野外実習で苦労することになりますから、ミランダ様も私たちに構っていられない訳です。今年は、お兄様たちが無属性と新しい魔力制御を教えに来ているせいで例年よりも忙しそうです。それでも「レオ兄様ぁ~」と来ますけどね・・・・。

野外実習のメンバーは私たち2人は纏まっていた方が守りやすいということで、いつもと同じパーティーです。クラス内ではほぼ固定のパーティーで活動していますから、それは特に問題ありません。野外実習には、お兄様、アイゼン様、イシュタお姉様たちがついてきてくれます。もちろん、諜報部からも誰かついてくるのでしょう。

「あー!!!イライラする!」

お茶会室で野外実習の作戦をたてたり、授業の復習や魔道具のことを話していると、いきなりランスロット様が吠えました。分かります!吠えたくなる気持ちはよく分かります!

「気持ちはわかるけど、もう少しだ」

「野外実習で仕掛けてくると思うか?」

「どうだろう?ちょっと早い気もする。野外実習でロッテたちを浚ったとして、国から船がつくまで何処に隠しておくかが問題になる」

「浚うのも至難の技だけど、その後もってことか」

「だから、まあ、隙があれば実行するだろうけど、それよりも船が着いた後の方が危ないと睨んでる」

「ハァ」

思わず溜め息が出てしまいました。

「どうしたの、ロッテ?」

「去年の野外実習は楽しかったなぁと思いまして」

「あ~。明日は休みだし、お出掛けしようか?」

「・・そうですわね・・・・」

「ランス、わたくしたちも出掛けませんこと?」

「いいぞ。そう言えば、新しい店が出来たんだってな。マイカルたちが先週行ったんだが、珍しいものが食べれるらしい」

「へえ。楽しそうですわね。そこに行きましょう。ロッテたちも一緒にどう?」

私はレオナルド様をちらりと見ました。どうやら、断っても大丈夫なようです。

「・・・・止めておきますわ。お二人で楽しんでらして?」

「私たちは他に行きたいところがあるから」

「そう。残念ね」

時間も遅くなり、私たちはそれぞれの部屋へと戻りました。





「ロッテ。どうしたの?」

部屋に戻ってすぐにレオナルド様が転移してきました。

「特には」

「嘘だよね?」

即座にバレてしまいました。ああ、レオナルド様には隠しきれませんね。普段と異なる生活に心が擦り切れ始めたのは確かです。ですが、それだけではなく・・・・。今回、グリフォル族連合王国に連れ去られるのを回避できても、次がないとは言い切れません。セアベルテナータ殿下はどうすれば、諦めてくれるのでしょうか?

「・・・・」

レオナルド様は何も言わず、何も聞かず、黙って私をぎゅうっと抱き締めてくれます。それだけのことなのに、堪えきれずポロポロと涙が溢れてしまいました。私からもレオナルド様の背中に腕を回します。

「レオと離れるのは嫌です。セアベルテナータ殿下を諦めさせるにはどうすればいいのですか?きっとあの方は、わたくしたちが婚姻を結ぼうと、わたくしが純潔でなくなろうと関係ありません。わたくしとミリーという最高相性の相手であれば、誰でも構わないのですから」

諦めてもらえなければ、ずっと警戒して過ごさなければなりません。そんなこと無理です。いっそうのこと・・・・。

「滅ぼしてしまおうかしら?」

いい考えな気がしてきました。私の背中をぽんぽんと優しく叩いていた手がピタリと止まりました。

「ロッテ。私は絶対にロッテを手放さないし、セアベルテナータ殿下をこのままにはしないよ。だから、実行できちゃう物騒なこと考えるのはやめよう?」

「本当に?」

「本当に」

「レオを信じます」

「うん」

レオナルド様の膝に乗せられ、再びぽんぽんと優しく背中が叩かれます。これから先の不安が全て取り払われたわけではありません。ですが、はっきりとレオナルド様が言葉にしてくれたお蔭で少しだけ落ち着くことができました。レオナルド様の温かな体温といつもの匂いに心が弛んで・・・・。





「おはよう、ロッテ」

「・・・・」

まだ眠いですzzzzzz。

レオナルド様にすり寄り頬をペタリと胸にくっつけ身体を預けました。ゆったりと髪をすく心地よい手に身を委ねます。時々、擽ったい感触が顔や首筋を掠めます。

「ん、んん」

私の眠りを邪魔するそれを拒否するように顔を振りますが、止まる気配はありません。仕方なく、眠い目を開けて、レオナルド様を上目遣いに睨みました。

「擽ったいです。眠れません」

「ウッ・・・・」

一言唸ったレオナルド様は、珍しくくるりと私に背を向けて蹲ってしまいました。その普段ではあり得ない行動に私の意識がはっきりと覚醒しました。

「え?あれ?ここ・・・・」

私のベッドでは?

「キ、%#$\@※εβ£§」

悲鳴が漏れそうになったところで、レオナルド様に手で口を覆われました。

「ロッテ、昨日のことは覚えてる?」

「・・・・」

・・・・思い出しました。レオナルド様に不安を打ち明けたあと・・・・ね、寝ちゃった?・・嘘ですよね?さっと顔が青くなりました。

「思い出してくれたみたいだね。眠ったあとも私の首に手を回して離さなかったから、一緒に寝ちゃった」

ううう。乙女としての自覚と羞じらいが足りません。いくらレオナルド様とはいえ、寝落ちは・・・・。

「このことはお兄様には・・・・」

「はは。言えないよねぇ。アレクに八つ裂きにされる。さて、そろそろ部屋に戻るよ。1時間後にここに来るね?ここから転移して朝は外に食べに行こう」

「はい」

自分の危機意識の甘さに頭を抱えつつ、私は身支度を整えたのでした。
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