〇〇、とやらをされたらしくて

蓮ヶ崎 漣

文字の大きさ
31 / 92
第三章 出会い、とやらをされたらしくて

肝試し(2/3)

しおりを挟む
俺が止まったからかミレイは驚いたように足を止めて振り返る。


「どうしたの?シンヤくん」


「ミレイ」


「え?」


スッと手を伸ばしてミレイからランタンを取ってニッと笑う。


「俺が先を歩く。ミレイは後ろでずっと楽しい話してくれな?」


「えっ!?で、でも、シンヤくん怖いんでしょ?私は平気だから私が……」


「もう平気。ミレイが手、握っててくれるしさっきまでの話聞いてたらもう怖くなくなった。それにずっとこの状態でゴールなんかしたらミラたちにからかわれるだろ?ミレイの後ろで震えてましたーなんてカッコ悪過ぎて何も言えねぇし」


俺はいつものように笑いながらそう言った。



本当はまだ怖いけど。

好きな子の後ろに隠れてるなんて情けない。

せめて今だけは俺がミレイを守るんだ。



ミレイはにっこりと笑うとぎゅっと手を握り返してくれる。


「うん!それじゃあ、私は色んな話をしてるね!ありがとう、シンヤくん!」


「おう!それじゃあ、行くか!」


「おー!」


そう言って歩き出す。

ミレイはミラの話を始めて笑いながら進む。


「小さい頃はね、よくミラと入れ替わってたの。ミラが私で私がミラ。誰も気付かないんだよ!」


「へぇー、何もしてない今でさえ間違われるのに意識的にやってたら分かんないだろうな。しかも小さい頃ってまだ男女の区別もついてない頃だろ?」


「そう!でもね、お母さんだけにはすぐ気付かれちゃうんだ。それで二人で怒られてたよ。特にミラが。男のくせにそんな恰好をするんじゃありません!って」


「あはは!ミラは災難だな」


「うん。怒られた後はずっとブツブツ文句言ってたよ、ミラ。僕が言い出した訳じゃないのにって。それでも入れ替わったのは私もミラもお母さんに構ってほしかったんだよね」


「……お母さんって忙しい人だったのか?」


「忙しいも何も妖精ピクシー型の代表、女王様だよ!」


「マジかよ!?」


「こんな嘘吐かないよー!」



うわぁ……

そんなすごい人の子ども二人と友達になってたのか……



「ち、ちなみに……アーシャの親は?やっぱり、すごい人なのか?」


「アーシャは……うん!アーシャのお祖父さんが小人ドワーフ型の代表!一度会ったことがあるんだけどアーシャと似てすごく優しい人だったよ!」


「へぇ……」



俺ってとんでもない奴らと友達になってたりするのか?

でも、まぁ、みんな良い奴らだし心強いけど。



そんなことを思ってたらいきなり首筋に水滴が落ちてきて思わずビクッと肩を揺らす。

それに驚いたミレイが声をかけてきた。


「ど、どうしたの?シンヤくん?」


「い、いや、何でもない。とっとと、先に進むぞ」


「う、うん」


歩き出した途端、周りが少し寒くなる。

霧みたいなのも出てきて先が見えない。

一度立ち止まろうと足を止めた瞬間、後ろから悲鳴が上がる。


「きゃあああああっ!!」


「!?ミレイ!?どうし……」


驚いて振り返ると最後まで言い終わらないうちにミレイに抱き付かれ思わず尻餅をつく。


「い、今!せ、背中!な、何か!冷たいの!」


ミレイはぎゅうっと俺にしがみついて震えていた。



か、可愛い……



抱き締めようと手を伸ばしてハッと我に返って止める。

代わりにミレイの頭をポンポンと叩く。


「ミレイ?大丈夫か?たぶん、氷が服の中に入っただけだ。ここはセレンが担当してる場所なんだと思う。だから、心配いらない。怖くないぞ」


ミレイは恐る恐る顔を上げると上目遣いで俺を見る。


「ほ、ほんとう……?」


「あぁ!本当!」


「む、虫とかじゃ、ない?」


「あぁ!背中がちょっと濡れてるから氷だと思う」


「そ、そっか……あっ!わ、私っ!」


落ち着いたのかミレイは慌てて俺から離れて謝ってきた。


「ご、ごめんねっ!痛かったよねっ!?」


「ははっ!平気平気!俺、男だし。ミレイ一人くらいどうってことないぜ?それにミレイ、軽かったし」


俺がそう言ったらミレイは顔を赤くしながらそっぽを向いた。


「も、もう!嘘吐かなくていいよ!ミラはいつも重いって言うもん!ダイエットしろって!」


「ミラは貧弱なんだよ。あ。そう言えば、あんなに驚いてたのに妖精ピクシー型に戻らないんだな?人間ヒューマン型のままだ」


「え?あぁ、うん。人間ヒューマン型になる薬を飲んでるから。ちょっとやそっとのことじゃ戻らないの」


「じゃあ、戻りたいときはどうすんだ?」


「解除する呪文を唱えればいいの。ミラも同じ薬飲んでるよ。でも、家に帰るまでは基本的に人間ヒューマン型のままかなー」


「あぁ、なるほどな。だから、模擬戦でもミラの妖精ピクシー型が見れない訳だ」


「えー何?シンヤくん、ミラの妖精ピクシー型見たいの?」


「そりゃ見てみたいだろー?もちろん、ミレイもだけど。可愛いんだろうなー」


「もー、シンヤくん、変態っぽいよ?」


「えっ!?いやいや、冗談だよな?」


「ふふっ」


「じ、冗談って言ってくれよ!」


「どうだろうねぇ?」


「み、ミレイ!」


慌てる俺を見てミレイはさらにクスクス笑った。


「もう、半分冗談だよ」


「半分は本気ってことか!?」


「細かいことは気にしないの!ほら、早く行こう?シンヤくん」


ミレイに牽かれるがまま先へ進む。

すると突然、目の前に青く光る何かが現れた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...