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番外編
カナエールの学生時代 仲間割れ(2/2)
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ロキに恐怖を覚えたのか三人は戦おうとするのを止めてロキを見る。
気付けば部屋一面を覆っていた氷が無くなっていた。
ロキは戦う意思が無くなったことを確認すると口を開く。
「……さて。この件については作戦会議の後じっくり話し合おう。俺もカナエールもちゃんと参加してやる。今はとにかく俺の話を聞け」
その言葉に三人は頷いた。
それを確認した後、ロキは続ける。
「俺が作戦を立てないと言ったのはまさにカナエールの言った通りだよ。決して相手を嘗めている訳じゃない。むしろ、弱い奴ほど警戒している。何を仕出かすか分かったもんじゃないからね。だから、敢えて作戦は立てない。作戦なんていくらでも出すことは可能だ。色んな想定を考えて作戦を立てる能力が俺たちにはある。だが、戦いでは常に柔軟に物事を考える必要がある。それに最初から作戦を立ててその通りに戦っていては追々の対戦相手に手の内が読まれる可能性が出てくるだろう。それも防ぐための作戦は立てないと言う作戦。この作戦は俺たちだからこそ出来る作戦だ。異論があるなら聞くが?」
「……異論と言うか質問良い?」
「あぁ、聞こう。アイリス」
「作戦は立てないって作戦は最後まで継続するの?」
「いや。いずれちゃんとした作戦も立てる。でも、それは今じゃないと言う話だよ。対抗戦後は勝とうが仮に負けようがミーティングをやるつもりでいる。そのとき、必要だと感じたら作戦を立てるよ」
「そう。ならいいわ。あたしは異論なし」
「私もない」
「僕も」
「我もだ」
「なら、これにて作戦会議は終わり。本来なら明日に備えて寝ようと言うところだがさっきの件を話し合おうか。実に面倒臭いけれど。カナエールはヴォルスとミサ、どちらが悪いと思う?」
「え?」
「あぁ。三人は黙っているように。まずは蚊帳の外にいた俺たちで話をまとめるから。で?カナエールはどちらが悪いと思う?」
「ど、どちらがって?ミサは油断大敵、トップの僕たちに負けは許させないと言った後にヴォルスがミサに頭が固いと言ったからミサはヴォルスを脳筋と言って……まさに売り言葉に買い言葉でどちらが悪いと言うよりかどちらも悪いと思う」
「なるほどなるほど。じゃあ、全員に問う。負けると言う選択肢がお前たちの中にあるか否か。ちなみに俺はない。仮にこのチームの誰かと戦うことになったとしても俺は自分が負けるとは思っていないよ」
ロキがそう答えるとミサが続けて答える。
「私もロキと全く同じ意見だ。仮にこのチームの誰かと戦うことになっても私は誰にも負けない。負けるつもりはない」
「流石、ミサだね。じゃあ、他の三人は?」
ロキの問いにアイリスが口を開いた。
「あたしは……このチームでやる対抗戦なら負けるなんて有り得ないと思っている。でも、このチームの誰かと戦うことになったらあたしは負けるかもって思う」
アイリスの言葉に首を傾げるヴォルス。
そして、ヴォルスが口を開く。
「何故だ?我はどちらも負けはあると思っているぞ。我らは完璧ではない。調子が悪い時もあるだろう。そんなときは負けるかも知れない。むしろ、ずっと勝ち続けることの方が我は不可能だと思っている」
ヴォルスの言葉に思わず口を挟んだ。
「……ヴォルスは見かけによらず逃げ腰」
僕のその言葉にヴォルスが一瞬睨んだ気がした。
「ほほう。我は逃げ腰か。ならば、カナエールは自分が負けるとは思っていないのか?どうなのだ?」
「……僕は……トップだからとかそんなの関係なく自分が負けるとは思わない。僕が負けるとしたらそれは相手にじゃなくて僕自身に負けたんだと思う。ヴォルスの言う通り僕たちは完璧ではないしもし仮に完璧な人がいたとしても完璧であり続けることは難しいから勝てない相手はいない。だから、僕は僕自身に負けない限り負けないと思っている」
そう言うとロキが笑い出す。
「はははっ!なるほど!面白い!確かにカナエールの考え方からするとヴォルスはすでに負けているね。自分自身に。しかも、ご丁寧に言い訳付き。自分は完璧ではない、調子が悪い時もある。それはそうだね。でも、それを相手に悟られて負けるなんてこのチーム対抗戦じゃ許さない。良いか?ヴォルス。今すぐ負けると言う選択肢は消せ。お前が俺たちの中でいつもビリなのはそれが原因だ。お前は決して弱くない。力ではお前が一番だろう。それなのに負けるのはお前が負ける可能性を考えているからだ」
ヴォルスは何も答えない。
「だから、お前はミサに脳筋と言われるんだ。普通ならば巨人型にとって妖精型は太刀打ち出来ないだろうからお前が如きと主張するのも分かる。男女差別をする気はないけどどうしたって女は男に力じゃ勝てないだろう。だから、男として女に馬鹿にされるのは確かにプライドが許さない。でも、だからって女が男の前を歩くなと言う話にはならないね」
ロキの言葉にアイリスが口を挟んだ。
「……で?結局、ロキはどっちの味方なの?」
「俺はどちらも味方する気はないよ。でも、今回の件はヴォルスの方が少し言い過ぎたんじゃないかって思うだけさ。ミサも脳筋と口が悪かったしお互い様と言えばお互い様だけどね」
「……ロキは本当に掴みどころがないわ」
「……違うよ。ロキはこのチームの誰よりも負けを嫌っているからヴォルスの考え方に怒っているんだ。だから、ミサの肩を持っている」
僕の言葉にロキまでもが驚く。
その反応に僕は首を傾げながら口を開いた。
「違う?僕はそう思った。ロキは人間型だから余計」
「カナエール」
ロキが口を挟んだが構わず続ける。
「種族的に誰よりも劣っている人間型のロキだから負けは許されない。だから、常にトップ。人間型のくせにって馬鹿にされないように。ロキはどの種族に本当はなりたかったの?」
「カナエール。憶測で俺を語るのは止めろ」
「意地悪な質問?身体能力の高い僕と同じ獣人型?それとも知能も魔力も高い者が多いミサと同じ妖精型?」
「……れ」
「ロキは獣人型か妖精型に本当はなりたかったから僕とミサには甘いの?」
「黙れって言っているだろ……っ!」
僕の近くでパンッと何かが爆発するような音がした。
その音にミサもアイリスもヴォルスも驚く。
ロキが僕を怯ませようとして出した音だ。
だけど、僕は怯まない。
「ロキ、それは肯定?」
ロキは僕を睨む。
その目は今すぐ口を閉じろと言っていた。
僕は肩をすくめるとドアに向かう。
その行動に驚いたのかロキが声を上げた。
「カナエール!どこに行くつもりだ!?」
「……散歩に。寝る前はいつも行く。今日はヴォルスにベッドを譲る。僕はロキとヴォルスを怒らせたみたいだから。先に寝ていてくれて良い。結界魔法も僕が解いてかけ直す」
「駄目だ。この期間は我慢してほしい」
「……落ち着かないし寝られないから、嫌だ」
「……それは俺たちも一緒だ。落ち着かなくて寝られない。それにもしペナルティでもあったらどうする?」
「……ペナルティ?」
「そう。ここで寝泊まりしろってことは夜中に出歩くなと言うことだ。もし、教師に見つかってペナルティを与えられたら?」
「バレない自信ならある」
「もしバレたらの話をしているんだよ。カナエール。バレてからじゃ遅いからね」
「……ロキは僕を信用出来ない?」
「信用も信頼もしているさ。でも、もしもと言う場合がある。その可能性がある限り許可は出来ない」
「……それは、負けるってこと?」
「は……?」
言い方が変わっているけど僕は『バレない自信=勝つ自信』がある。
でも、ロキは『もしもの場合=負ける場合』を想定していて。
ロキは今さっきヴォルスに負けると言う選択肢は消せと言った。
つまり、ロキの今の発言は矛盾していることになる。
そのことをロキは気付いていない。
「ロキ。お前は今さっきヴォルスに負けると言う選択肢は消せ、と言った」
「?あぁ。言ったよ」
「じゃあ、ロキが今発言した言葉はどういう意味だ?」
「……何の話をしているんだい?その言葉と今の言葉は違うだろう?」
「ロキ。言葉が変わっているだけで意味は同じだよ。カナエールは今、勝つ自信があると言ったのにロキは負けることを想定して話しているよね」
「……っ!」
アイリスの言葉で気付いたのかロキは言葉を詰まらせる。
しばらく沈黙が続きその沈黙を破ったのはロキだった。
「……つまり、カナエールの散歩を許せってことか?ミサもアイリスもヴォルスも?それなら元々俺の意見は必要ないだろう?多数決で決まっていたんだからね。好きにすれば良い。俺は知らない。シャワーでも浴びてすぐ寝る」
そう言うとロキは脱衣所に向かう。
ヴォルスは自分の荷物の整理を始めてミサは食事を始めた。
アイリスは僕に話しかけてくる。
「……カナエール。本当に散歩?」
「どうして?」
「だって、今までだって何度かみんなで寝泊まりしたことがあったけどそのときは何も言わなかったでしょ?」
「そのときだって行っているよ。みんなが寝た後に出ていただけ。それにこんなに空気悪くしたのは僕だから居心地悪い」
「そっか……なるべく早く戻ってきてね。今日はみんなどうかしていたんだよ!いきなりこんな不便なところで寝泊まりしろって言われたんだし!だから、あんまり気にしない!ね?」
「……うん。ありがとう、アイリス。行ってきます」
「行ってらっしゃい!」
アイリスがそう言うとミサとヴォルスも僕を一瞬見てすぐ目を反らした。
僕はそのまま外に出る。
今日は三日月。
月を見るのは好きだ。
特に満月が。
でも、今日は満月じゃなくて良かった。
三日月は今の僕たちにピッタリだと思いながら外を歩く。
何かの気配を感じたら息を殺して姿を消す。
とある生徒が教師に見つかる。
ロキはペナルティのことを言っていたけど実際はどうなんだろうと興味本位で声が聞こえる範囲まで近付いた。
するとその生徒はペナルティどころか加点をもらう。
理由は物騒で正直嫌悪感しか抱かない。
このチーム対抗戦は勝つためなら何でもしていい、と言うことだけは理解した。
例え、無抵抗な対戦相手を殺しても。
そんな事実を知った僕はみんなに話すべきか悩むのだった――――
気付けば部屋一面を覆っていた氷が無くなっていた。
ロキは戦う意思が無くなったことを確認すると口を開く。
「……さて。この件については作戦会議の後じっくり話し合おう。俺もカナエールもちゃんと参加してやる。今はとにかく俺の話を聞け」
その言葉に三人は頷いた。
それを確認した後、ロキは続ける。
「俺が作戦を立てないと言ったのはまさにカナエールの言った通りだよ。決して相手を嘗めている訳じゃない。むしろ、弱い奴ほど警戒している。何を仕出かすか分かったもんじゃないからね。だから、敢えて作戦は立てない。作戦なんていくらでも出すことは可能だ。色んな想定を考えて作戦を立てる能力が俺たちにはある。だが、戦いでは常に柔軟に物事を考える必要がある。それに最初から作戦を立ててその通りに戦っていては追々の対戦相手に手の内が読まれる可能性が出てくるだろう。それも防ぐための作戦は立てないと言う作戦。この作戦は俺たちだからこそ出来る作戦だ。異論があるなら聞くが?」
「……異論と言うか質問良い?」
「あぁ、聞こう。アイリス」
「作戦は立てないって作戦は最後まで継続するの?」
「いや。いずれちゃんとした作戦も立てる。でも、それは今じゃないと言う話だよ。対抗戦後は勝とうが仮に負けようがミーティングをやるつもりでいる。そのとき、必要だと感じたら作戦を立てるよ」
「そう。ならいいわ。あたしは異論なし」
「私もない」
「僕も」
「我もだ」
「なら、これにて作戦会議は終わり。本来なら明日に備えて寝ようと言うところだがさっきの件を話し合おうか。実に面倒臭いけれど。カナエールはヴォルスとミサ、どちらが悪いと思う?」
「え?」
「あぁ。三人は黙っているように。まずは蚊帳の外にいた俺たちで話をまとめるから。で?カナエールはどちらが悪いと思う?」
「ど、どちらがって?ミサは油断大敵、トップの僕たちに負けは許させないと言った後にヴォルスがミサに頭が固いと言ったからミサはヴォルスを脳筋と言って……まさに売り言葉に買い言葉でどちらが悪いと言うよりかどちらも悪いと思う」
「なるほどなるほど。じゃあ、全員に問う。負けると言う選択肢がお前たちの中にあるか否か。ちなみに俺はない。仮にこのチームの誰かと戦うことになったとしても俺は自分が負けるとは思っていないよ」
ロキがそう答えるとミサが続けて答える。
「私もロキと全く同じ意見だ。仮にこのチームの誰かと戦うことになっても私は誰にも負けない。負けるつもりはない」
「流石、ミサだね。じゃあ、他の三人は?」
ロキの問いにアイリスが口を開いた。
「あたしは……このチームでやる対抗戦なら負けるなんて有り得ないと思っている。でも、このチームの誰かと戦うことになったらあたしは負けるかもって思う」
アイリスの言葉に首を傾げるヴォルス。
そして、ヴォルスが口を開く。
「何故だ?我はどちらも負けはあると思っているぞ。我らは完璧ではない。調子が悪い時もあるだろう。そんなときは負けるかも知れない。むしろ、ずっと勝ち続けることの方が我は不可能だと思っている」
ヴォルスの言葉に思わず口を挟んだ。
「……ヴォルスは見かけによらず逃げ腰」
僕のその言葉にヴォルスが一瞬睨んだ気がした。
「ほほう。我は逃げ腰か。ならば、カナエールは自分が負けるとは思っていないのか?どうなのだ?」
「……僕は……トップだからとかそんなの関係なく自分が負けるとは思わない。僕が負けるとしたらそれは相手にじゃなくて僕自身に負けたんだと思う。ヴォルスの言う通り僕たちは完璧ではないしもし仮に完璧な人がいたとしても完璧であり続けることは難しいから勝てない相手はいない。だから、僕は僕自身に負けない限り負けないと思っている」
そう言うとロキが笑い出す。
「はははっ!なるほど!面白い!確かにカナエールの考え方からするとヴォルスはすでに負けているね。自分自身に。しかも、ご丁寧に言い訳付き。自分は完璧ではない、調子が悪い時もある。それはそうだね。でも、それを相手に悟られて負けるなんてこのチーム対抗戦じゃ許さない。良いか?ヴォルス。今すぐ負けると言う選択肢は消せ。お前が俺たちの中でいつもビリなのはそれが原因だ。お前は決して弱くない。力ではお前が一番だろう。それなのに負けるのはお前が負ける可能性を考えているからだ」
ヴォルスは何も答えない。
「だから、お前はミサに脳筋と言われるんだ。普通ならば巨人型にとって妖精型は太刀打ち出来ないだろうからお前が如きと主張するのも分かる。男女差別をする気はないけどどうしたって女は男に力じゃ勝てないだろう。だから、男として女に馬鹿にされるのは確かにプライドが許さない。でも、だからって女が男の前を歩くなと言う話にはならないね」
ロキの言葉にアイリスが口を挟んだ。
「……で?結局、ロキはどっちの味方なの?」
「俺はどちらも味方する気はないよ。でも、今回の件はヴォルスの方が少し言い過ぎたんじゃないかって思うだけさ。ミサも脳筋と口が悪かったしお互い様と言えばお互い様だけどね」
「……ロキは本当に掴みどころがないわ」
「……違うよ。ロキはこのチームの誰よりも負けを嫌っているからヴォルスの考え方に怒っているんだ。だから、ミサの肩を持っている」
僕の言葉にロキまでもが驚く。
その反応に僕は首を傾げながら口を開いた。
「違う?僕はそう思った。ロキは人間型だから余計」
「カナエール」
ロキが口を挟んだが構わず続ける。
「種族的に誰よりも劣っている人間型のロキだから負けは許されない。だから、常にトップ。人間型のくせにって馬鹿にされないように。ロキはどの種族に本当はなりたかったの?」
「カナエール。憶測で俺を語るのは止めろ」
「意地悪な質問?身体能力の高い僕と同じ獣人型?それとも知能も魔力も高い者が多いミサと同じ妖精型?」
「……れ」
「ロキは獣人型か妖精型に本当はなりたかったから僕とミサには甘いの?」
「黙れって言っているだろ……っ!」
僕の近くでパンッと何かが爆発するような音がした。
その音にミサもアイリスもヴォルスも驚く。
ロキが僕を怯ませようとして出した音だ。
だけど、僕は怯まない。
「ロキ、それは肯定?」
ロキは僕を睨む。
その目は今すぐ口を閉じろと言っていた。
僕は肩をすくめるとドアに向かう。
その行動に驚いたのかロキが声を上げた。
「カナエール!どこに行くつもりだ!?」
「……散歩に。寝る前はいつも行く。今日はヴォルスにベッドを譲る。僕はロキとヴォルスを怒らせたみたいだから。先に寝ていてくれて良い。結界魔法も僕が解いてかけ直す」
「駄目だ。この期間は我慢してほしい」
「……落ち着かないし寝られないから、嫌だ」
「……それは俺たちも一緒だ。落ち着かなくて寝られない。それにもしペナルティでもあったらどうする?」
「……ペナルティ?」
「そう。ここで寝泊まりしろってことは夜中に出歩くなと言うことだ。もし、教師に見つかってペナルティを与えられたら?」
「バレない自信ならある」
「もしバレたらの話をしているんだよ。カナエール。バレてからじゃ遅いからね」
「……ロキは僕を信用出来ない?」
「信用も信頼もしているさ。でも、もしもと言う場合がある。その可能性がある限り許可は出来ない」
「……それは、負けるってこと?」
「は……?」
言い方が変わっているけど僕は『バレない自信=勝つ自信』がある。
でも、ロキは『もしもの場合=負ける場合』を想定していて。
ロキは今さっきヴォルスに負けると言う選択肢は消せと言った。
つまり、ロキの今の発言は矛盾していることになる。
そのことをロキは気付いていない。
「ロキ。お前は今さっきヴォルスに負けると言う選択肢は消せ、と言った」
「?あぁ。言ったよ」
「じゃあ、ロキが今発言した言葉はどういう意味だ?」
「……何の話をしているんだい?その言葉と今の言葉は違うだろう?」
「ロキ。言葉が変わっているだけで意味は同じだよ。カナエールは今、勝つ自信があると言ったのにロキは負けることを想定して話しているよね」
「……っ!」
アイリスの言葉で気付いたのかロキは言葉を詰まらせる。
しばらく沈黙が続きその沈黙を破ったのはロキだった。
「……つまり、カナエールの散歩を許せってことか?ミサもアイリスもヴォルスも?それなら元々俺の意見は必要ないだろう?多数決で決まっていたんだからね。好きにすれば良い。俺は知らない。シャワーでも浴びてすぐ寝る」
そう言うとロキは脱衣所に向かう。
ヴォルスは自分の荷物の整理を始めてミサは食事を始めた。
アイリスは僕に話しかけてくる。
「……カナエール。本当に散歩?」
「どうして?」
「だって、今までだって何度かみんなで寝泊まりしたことがあったけどそのときは何も言わなかったでしょ?」
「そのときだって行っているよ。みんなが寝た後に出ていただけ。それにこんなに空気悪くしたのは僕だから居心地悪い」
「そっか……なるべく早く戻ってきてね。今日はみんなどうかしていたんだよ!いきなりこんな不便なところで寝泊まりしろって言われたんだし!だから、あんまり気にしない!ね?」
「……うん。ありがとう、アイリス。行ってきます」
「行ってらっしゃい!」
アイリスがそう言うとミサとヴォルスも僕を一瞬見てすぐ目を反らした。
僕はそのまま外に出る。
今日は三日月。
月を見るのは好きだ。
特に満月が。
でも、今日は満月じゃなくて良かった。
三日月は今の僕たちにピッタリだと思いながら外を歩く。
何かの気配を感じたら息を殺して姿を消す。
とある生徒が教師に見つかる。
ロキはペナルティのことを言っていたけど実際はどうなんだろうと興味本位で声が聞こえる範囲まで近付いた。
するとその生徒はペナルティどころか加点をもらう。
理由は物騒で正直嫌悪感しか抱かない。
このチーム対抗戦は勝つためなら何でもしていい、と言うことだけは理解した。
例え、無抵抗な対戦相手を殺しても。
そんな事実を知った僕はみんなに話すべきか悩むのだった――――
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