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ヤキモチ①
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何とか結城くんに支えてもらいながら家に上がる。
その頃にはもう酔いは覚めていて自分の痴態に恥ずかしさが募るだけだった。
「何でこんなになるまで飲むかな?」
「楽しくなっちゃって……つい……」
「シャワーだけでも浴びてくる?」
「うん、そうするわ。でも、その、そばにいてくれる?」
「一緒に入ってってこと?」
「ち、違うわよ!もう!」
「冗談だよ。お風呂のドアの前にいるから」
「うん、ありがとう」
着替えの準備をしてシャワーを浴びる。
結城くんは約束通りドアの前にちゃんといてくれた。
「結城くん」
「何?」
「何しているの?」
「レポート書いてる」
「……そういえば、私、結城くんが何学部か知らないわ」
「……そうだっけ?」
「そうよ」
「んー……じゃあ、もう少し内緒にしとく」
「えっ!?どうして!?」
「人様に迷惑かけたお仕置き?」
「うっ……で、でも!聖来は高校からの長い付き合いだし、葉月くんは同期だし、二人とも慣れていると思うわ」
「……慣れてる、慣れてないじゃなくて迷惑をかけたか、かけてないかだよ」
「うぅ……もしかして、結城くん、怒っている?」
「……何でそう思うの?」
「……冷たく感じるわ」
私がそう言うと結城くんが立ち上がる気配がする。
そして、洗面所のドアが開く音がしたと思ったら声をかけられた。
「もうそろそろ出たら?シャワーだけでものぼせるよ。俺、自分の部屋にいるから莉恵さんは寝室で先に寝るなり好きにして」
結城くんはそう言うとドアを閉めて行ってしまう。
私は慌ててシャワーを止めてお風呂場から出た。
急いで着替えて結城くんの部屋に向かう。
部屋の前に着きノックをしたけれど返事がない。
恐る恐る部屋のドアを開けると結城くんは電話をしているみたいだった。
「……うん、分かってるよ。え?うーん……辛いっていうかキツいっていうか……複雑」
「(辛い?
キツい?
複雑?)」
「だから、今さら情けないしカッコ悪いだろ?聞けるもんならとっくに聞いてるよ。あーはいはい。分かった、分かったから。じゃあ、また明日。ん、じゃあね」
「(結城くんは誰と何の話をしていたんだろう?
もしかして、浮気!?
やっぱり、同世代の子の方が良くなっちゃった!?)」
そんなことを思って勝手にショックを受けているとちょうど振り返った結城くんと目が合う。
「あ……」
「えっ!?莉恵さん!?いつからそこにいたの!?」
「え、えっと……さっき……」
結城くんは深いため息を吐き、手招きをしてきた。
「そんなとこにいないでおいで」
私は恐る恐る結城くんの部屋に入り、結城くんの前まで行く。
「ご、ごめんね……ノックしたんだけど返事がないから寝ちゃったのかなと思って……」
「いや、いいよ。そんなことより、なんで泣きそうな顔してるの?」
「え……?」
「電話の内容聞いてたんでしょ?どこからどこまで聞いちゃったの?」
「え、えっと……辛いというかキツいの辺りから……」
「……そう。でも、それで、なんで泣きそうな顔になるのか分かんないんだけど」
「だ、だって、複雑とか言うから……もしかして、今日の私の痴態見て呆れられちゃってやっぱり同世代の子の方が良くなっちゃったんじゃないかって……不安で……」
私のその言葉を聞いて結城くんは眉間を押さえながら俯いた。
「はぁ……そう来るかぁ……ネガティブにも程がある」
「だ、だって!酔っ払いが辛くて介抱するのもキツくていい歳しているくせにそういう管理できないのが複雑なんでしょ!?」
「……まぁ、確かに?今日みたいに酔っ払って人様に迷惑かけるのはどうかと思うけど?それだけのことで俺が莉恵さんを嫌いになるなんて思われてる方が心外だなぁ」
「うぅ……だってぇ……」
「あのさ?そりゃあ、呆れもするでしょ?自分で言ったようにいい歳して酔っ払って気持ち悪くなるまで飲んで同期の人たちに心配までさせて……流石にそれくらいの管理はしろよってなるよ。でも、それで嫌いになるならわざわざ瀬羽を使って迎えになんて行かないから」
「ほ、本当?」
「本当。でも、怒ってない訳じゃない」
「えっ!?」
「……同期と飲むって言ってたから永江さんと二人で飲んでるんだと思ってた」
「え?」
でも、と続けようとしたら結城くんが遮る。
「わ、分かってるよ!嘘は吐かれてないって!聞いてないんだから答える訳ないし……でも、なんか、その……怒るっていうか悔しいっていうか……」
「それって……もしかして、葉月くんにヤキモチを焼いたの?」
「……違うよ?」
結城くんの言葉に思わず笑ってしまった。
「……何?」
「何でもないわ。そういうことにしておいてあげるわね」
「ドーモ、アリガトウゴザイマス」
「ふふっ」
結城くんは苦笑するとレポートがあるから先に寝ててと言われる。
私がまだ寝ずに一緒にいると言うと結城くんは困ったような顔をした。
その態度に徹夜コースだと直感する。
私が頑なに動かないので諦めたのか、好きにしてと言われたので、そのまま結城くんの部屋に居座った。
何気なく結城くんの机の周りにある本を手に取る。
本には心理学と書いてあった。
よく見ると心理学に関する本がたくさんある。
チラッと結城くんを見ると真剣にレポートを書いていた。
パソコンのキーボードを叩く音だけが響く。
その音が何となく心地好い。
だんだんとウトウトしてきてお酒も入っていたせいか気づいたら寝室のベッドの上で眠っていた。
その頃にはもう酔いは覚めていて自分の痴態に恥ずかしさが募るだけだった。
「何でこんなになるまで飲むかな?」
「楽しくなっちゃって……つい……」
「シャワーだけでも浴びてくる?」
「うん、そうするわ。でも、その、そばにいてくれる?」
「一緒に入ってってこと?」
「ち、違うわよ!もう!」
「冗談だよ。お風呂のドアの前にいるから」
「うん、ありがとう」
着替えの準備をしてシャワーを浴びる。
結城くんは約束通りドアの前にちゃんといてくれた。
「結城くん」
「何?」
「何しているの?」
「レポート書いてる」
「……そういえば、私、結城くんが何学部か知らないわ」
「……そうだっけ?」
「そうよ」
「んー……じゃあ、もう少し内緒にしとく」
「えっ!?どうして!?」
「人様に迷惑かけたお仕置き?」
「うっ……で、でも!聖来は高校からの長い付き合いだし、葉月くんは同期だし、二人とも慣れていると思うわ」
「……慣れてる、慣れてないじゃなくて迷惑をかけたか、かけてないかだよ」
「うぅ……もしかして、結城くん、怒っている?」
「……何でそう思うの?」
「……冷たく感じるわ」
私がそう言うと結城くんが立ち上がる気配がする。
そして、洗面所のドアが開く音がしたと思ったら声をかけられた。
「もうそろそろ出たら?シャワーだけでものぼせるよ。俺、自分の部屋にいるから莉恵さんは寝室で先に寝るなり好きにして」
結城くんはそう言うとドアを閉めて行ってしまう。
私は慌ててシャワーを止めてお風呂場から出た。
急いで着替えて結城くんの部屋に向かう。
部屋の前に着きノックをしたけれど返事がない。
恐る恐る部屋のドアを開けると結城くんは電話をしているみたいだった。
「……うん、分かってるよ。え?うーん……辛いっていうかキツいっていうか……複雑」
「(辛い?
キツい?
複雑?)」
「だから、今さら情けないしカッコ悪いだろ?聞けるもんならとっくに聞いてるよ。あーはいはい。分かった、分かったから。じゃあ、また明日。ん、じゃあね」
「(結城くんは誰と何の話をしていたんだろう?
もしかして、浮気!?
やっぱり、同世代の子の方が良くなっちゃった!?)」
そんなことを思って勝手にショックを受けているとちょうど振り返った結城くんと目が合う。
「あ……」
「えっ!?莉恵さん!?いつからそこにいたの!?」
「え、えっと……さっき……」
結城くんは深いため息を吐き、手招きをしてきた。
「そんなとこにいないでおいで」
私は恐る恐る結城くんの部屋に入り、結城くんの前まで行く。
「ご、ごめんね……ノックしたんだけど返事がないから寝ちゃったのかなと思って……」
「いや、いいよ。そんなことより、なんで泣きそうな顔してるの?」
「え……?」
「電話の内容聞いてたんでしょ?どこからどこまで聞いちゃったの?」
「え、えっと……辛いというかキツいの辺りから……」
「……そう。でも、それで、なんで泣きそうな顔になるのか分かんないんだけど」
「だ、だって、複雑とか言うから……もしかして、今日の私の痴態見て呆れられちゃってやっぱり同世代の子の方が良くなっちゃったんじゃないかって……不安で……」
私のその言葉を聞いて結城くんは眉間を押さえながら俯いた。
「はぁ……そう来るかぁ……ネガティブにも程がある」
「だ、だって!酔っ払いが辛くて介抱するのもキツくていい歳しているくせにそういう管理できないのが複雑なんでしょ!?」
「……まぁ、確かに?今日みたいに酔っ払って人様に迷惑かけるのはどうかと思うけど?それだけのことで俺が莉恵さんを嫌いになるなんて思われてる方が心外だなぁ」
「うぅ……だってぇ……」
「あのさ?そりゃあ、呆れもするでしょ?自分で言ったようにいい歳して酔っ払って気持ち悪くなるまで飲んで同期の人たちに心配までさせて……流石にそれくらいの管理はしろよってなるよ。でも、それで嫌いになるならわざわざ瀬羽を使って迎えになんて行かないから」
「ほ、本当?」
「本当。でも、怒ってない訳じゃない」
「えっ!?」
「……同期と飲むって言ってたから永江さんと二人で飲んでるんだと思ってた」
「え?」
でも、と続けようとしたら結城くんが遮る。
「わ、分かってるよ!嘘は吐かれてないって!聞いてないんだから答える訳ないし……でも、なんか、その……怒るっていうか悔しいっていうか……」
「それって……もしかして、葉月くんにヤキモチを焼いたの?」
「……違うよ?」
結城くんの言葉に思わず笑ってしまった。
「……何?」
「何でもないわ。そういうことにしておいてあげるわね」
「ドーモ、アリガトウゴザイマス」
「ふふっ」
結城くんは苦笑するとレポートがあるから先に寝ててと言われる。
私がまだ寝ずに一緒にいると言うと結城くんは困ったような顔をした。
その態度に徹夜コースだと直感する。
私が頑なに動かないので諦めたのか、好きにしてと言われたので、そのまま結城くんの部屋に居座った。
何気なく結城くんの机の周りにある本を手に取る。
本には心理学と書いてあった。
よく見ると心理学に関する本がたくさんある。
チラッと結城くんを見ると真剣にレポートを書いていた。
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