私、これからいきます。

蓮ヶ崎 漣

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勘違い③

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いっぱい泣いたおかげか少し冷静になってさっきのことを思い出す。
 
「(まさか、大虎くんが浮気しているなんて思いもしなかった。田原さんの彼女って言っていたけれど田原さんはこのこと知っているのかしら……?もし、知らなかったら田原さんも浮気されていたことになるわよね……?)」
 
そう思って田原さんに電話をかけた。
 
「『はい、もしもし?どちら様ですか?』」
 
「あ!私、栗山です!田原さん……ですよね?」
 
「『え?あ、はい!そうです!田原です!栗山さんでしたか!驚きました。どうしたんですか?』」
 
「あ、あの……ちょっとご相談したいことがあって……田原さんさえ良ければ田原さんのご都合が良いときにお会いしていただけませんか?」
 
「『もちろん大丈夫ですよ!ただ、今、勤務中でいつ非番かちょっと分かんないんでまたあとで連絡してもいいですかね?』」
 
「は、はい!もちろんです!ご連絡お待ちしています!」
 
「『ありがとうございます!それじゃあ、またあとでかけ直します!失礼します!』」
 
そう言って田原さんは電話を切る。
私は田原さんからの連絡を待った。
それから三時間が経った頃、田原さんから電話がかかってきたので慌てて出る。
田原さんと会う日と待ち合わせ時間、場所を決めてから私は電話を切った。
私は大虎くんに言った言葉を後悔しながら携帯を眺める。
 
「(私、腹が立ったとは言えちゃんと大虎くんの話を聞いてあげなかったわよね……大虎くんは私が葉月くんと会って浮気と勘違いされちゃったとき、ちゃんと私の話を聞いてくれたのに……どうして、電話して来なくて良いし帰って来なくても良いなんて言っちゃったの……挙句の果てにはさようならとまで言ったわ……でも、浮気していた大虎くんを許せる訳もない。あれは誰がどう見ても浮気現場だもの!話を聞きたくなくなるのもしょうがないじゃない……!)」
 
その日の夜、大虎くんから電話がかかってきた。
私は嬉しい反面、複雑な心境で、結局電話には出ずそのまま眠りにつく。
田原さんとの約束の日当日。
私は少し早めに着くように待ち合わせの場所に向かう。
あの日以来、大虎くんは本当に電話もして来なければ家にも帰って来なかった。
 
「(やっぱり、浮気していたってこと?少しくらい弁解に来ても良いんじゃないの?私とは遊びだったの?)」
 
そんな怒りを抱えて待ち合わせ場所に行くと田原さんはもう来ていてその隣には見覚えのある髪の色の子が一緒だった。
私はつかつかと田原さんが座っている場所に行き、思いっきりテーブルを叩く。
 
「田原さん!どういうことですか?その子、白河美琴ですよね?」
 
私がそう言うと田原さんは苦笑いを浮かべ白河美琴は私を見上げた。
けれど、彼女は私の知っている白河美琴ではなくて驚きを隠せない。
 
「(え?どうして?亜麻色の髪の碧眼なんて忘れるはずのない顔なのに……あのときの子と何かが違う。髪をおろしているせい?)」
 
私が困惑していると白河美琴が口を開いた。
 
「……この姿では初めまして。貴方の仰った通り、僕はあのとき、トラと一緒にいた白河美琴ですよ。今はノーメイクで髪もおろしてるので違和感があると思いますが」
 
「え?僕……?」
 
一人称が違うことに再び驚くと田原さんが口を開く。
 
「聞きたいことはたくさんあると思うんですけど……まず、俺のカミングアウトさせてもらっていいですか?」
 
「え、えぇ……どうぞ」
 
訳が分からずそう言うと田原さんは再び口を開いて驚きのカミングアウトをした。
 
「実は俺、バイなんです。バイセクシャル。男も女もいける口です」
 
「え?えぇっ!?あ、あの!そんなこと、こんな日が高いうちからこんな比較的オープンなカフェでカミングアウトして良いんですか!?」
 
「え?そこですか?俺は別に時と場所は選ばずカミングアウトするときはしますけど」
 
「そ、そうなんですね……驚きました……」
 
「でしょうね。驚かない方が驚きます。あぁ、もちろん、トラはこのことを知ってますよ。とにもかくにも美琴が改めて自己紹介するんでよく聞いててもらっていいですか?」
 
「えっと、それは必要なことですか?」
 
「えぇ。とても。実はもうすでに美琴とトラから事情は聞いてます。なので、栗山さんが何を相談しに来たのかも大体察しがついてます。それを踏まえた上でも美琴の自己紹介は必要なことなんです」
 
その言葉を聞いて私は少し複雑な気持ちになりながらも承諾する。
 
「わ、分かりました……自己紹介、聞きます」
 
「ありがとうございます」
 
田原さんはそう言うと白河美琴に話すよう促した。
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