私、これからいきます。

蓮ヶ崎 漣

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勘違い②

俺は思わず深いため息が出る。
このあとどうしようかと考えているとやっと美琴が口を開いた。
 
「……何、あの女。マジで有り得ない。言いがかりじゃん。お前こそトラの何を知ってるんだっつーの!ムカつく」
 
「そっか。確かにあの人も腹立たしいけど、今、俺が一番腹立ってんのはお前だよ」
 
「え?何で?」
 
「何で?え?それ聞くの?美琴がややこしくしたんだろ!何で、莉恵さんに男ですって言わなかった訳!?」
 
「だって、今、僕、完璧に女装してる訳じゃん?ミスコンで一位取るくらい完璧な女装な訳。そんな僕が実は男ですって言ったところで信じてくれる訳ないじゃん。服脱げと?」
 
「あぁ、ぜひ、服を脱いで証明してほしかったね!只でさえ、俺のこの格好を見られたことも精神的大ダメージなのにさらに追い打ちかけられた気分。こうなるって予想してたから泰仁脅してまで会わせなかったのに。予想以上に酷い結果だし……」
 
「そんなの知らないし。それに僕、莉恵さん嫌いかも。トラの話聞く気まったくなかったじゃん。勝手に浮気って決めつけてさ」
 
「確かに話聞いてくれる感じじゃなかったけど、それはいつからあそこにいてどこから話を聞いてたかの問題だろ。全部聞かれてたとしたら美琴の悪ふざけが原因だしな。何がキスしてくれる?だよ。キスしないにしろ俺が大人しく言うこと聞けばそりゃあ、勘違いもするだろ」
 
「だってさー!泰仁が悪いんだよ!せっかく、こんな綺麗な格好してあげたのに!非番じゃなかったとか言うし!」
 
「だからって俺を巻き込むのは止めろよ。本当に最悪。どうしてくれる訳?」
 
「どうもこうもしないよ。僕は別れてくれる方が良いもん。あの人のどこが良いのか全く分かんないし」
 
「美琴……やっていいことと悪いことがあるよな?お前は俺の悪いことに触れたの。美琴じゃなかったらぶん殴ってボコボコにするくらいの怒りに触れてる訳。分かる?」
 
「あぁ、大虎がめっちゃくちゃ怒ってるのは理解した。けど、大虎がそこまで怒るほどあの人って良いの?本当にどこが良いのか全く分かんないんだけど。別に普通じゃん。汚くもないけど綺麗でもない」
 
「……あのな?莉恵さんは綺麗だよ。少なくとも俺にとっては。無理に頑張らなくていいってあのときの俺には一番必要な言葉だったから。多分、その言葉がなかったら俺、今、生きてないよ。それくらい俺の心を助けてくれた。だから俺は残りの人生をかけて莉恵さんを幸せにしたいと思ってる。できるなら俺が。莉恵さんがそれを望むなら俺じゃなくてもいいんだ。でも、こんな別れ方は絶対にしたくない。だからさ、美琴。頼むから誤解を解いてほしい」
 
俺がそう言うと美琴はしばらく考え込んだ後、溜息を吐いて口を開く。
 
「……惚気話を聞く気はなかったんだけど」
 
「泰仁のいいところは?って聞かれたら美琴も惚気話になるだろ」
 
「……そうだね。はいはい。確かに僕の悪ふざけがすぎた。ごめん。でも、どうした良いの?多分、会ってくれないでしょ?」
 
「それなんだよね……どうしたもんか……」
 
二人で悩んでいたら俺の携帯が鳴った。
開くと泰仁からの電話で少し驚きながらも電話に出る。
美琴にも聴こえるようにスピーカーモードにした。
 
「もしもし?」
 
「『お!よかった!出たな!今さっき、栗山さんから電話があって相談したいことがあるから今度会えないかって聞かれたんだけどなんかあったのか?』」
 
「「ナイスタイミング!!泰仁!!」」
 
「『は?美琴も一緒?……おい、まさかとは思うけど美琴が原因とか言わないよな?』」
 
「ごめーん!泰仁!僕が原因!」
 
「『……おいおい……マジか』」
 
泰仁にこれまでの一部始終を全部話す。
聞き終わった泰仁は深いため息を吐いた。
そして、申し訳なさそうに口を開く。
 
「『……マジで悪い、トラ。今回は否応なく美琴が悪い。でも、つまり、栗山さんの誤解を解けばいいんだよな?美琴が男って証明すればいい訳だ』」
 
「そうなんだよ!でも、絶対会ってくれないじゃん?だから、泰仁に相談する日に僕がそこに行けば問題なくない!?うわー!僕って天才!」
 
「……天才ならそもそもこんな問題起こさないだろ」
 
「『そうだぞ。美琴。お前、今回ばっかりは本当に反省しろよ』」
 
「……分かってるよー」
 
こうして泰仁にも協力してもらって何とか作戦を立てたのだった。
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