寂しいからそばにいて(仮)【『無冠の皇帝』スピンオフ】

有喜多亜里

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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

196【交換ついでに合同演習編101】合同演習一日目:空飛ぶチョコちゃん

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【パラディン大佐隊・第一班第一号待機室】

エリゴール
「しまった、大佐から呼び出しメールだ!」

フィリップス
「何が〝しまった〟だよ。今すぐ執務室行ってきなよ。あんたの大事なお仕事でしょうが」

エリゴール
「誰か替わってくれねえかな……」

フィリップス
「大佐があんたを呼び出してる以上、誰も代わりにはなれない。いや、替わりたい奴は山ほどいるが、行ったらきっと大佐に〝飴ちゃん〟投げつけられる」

ハワード
「それならいいだろ」

フィリップス
「おとっつぁん……」

エリゴール
「まあ、今日は十二班が軍艦ふね交換してるから、すみやかに全員集合はできないな。……フィリップス副長。たぶん、今日の会議にはレラージュが来る。適当に防衛態勢とってやってくれ」

フィリップス
「何、その中途半端な指示。〝鉄壁の〟防衛態勢じゃないの? っていうか、何で今日はレラージュ副長が来るってわかるの?」

エリゴール
「明日の演習は今までしたことがない特殊な演習だからさ。結局、どう攻めることになるのか、十一班長からの又聞きじゃなくて、自分の目と耳で直接知りたいと思ってるはずだ。あいつは十一班長引きずって、すみやかにミーティング室に来る。あんたらもすみやかにミーティング室に行って、レラージュを適当に護衛してくれ」

フィリップス
「言われなくても護衛はするけど、だから、何で〝適当に〟なんだ?」

エリゴール
「あんまり〝鉄壁に〟したら、レラージュが〝砲撃隊〟に馴染めないだろ」

フィリップス
「結構もう馴染んでるような気がするけど……」

エリゴール
「あんたは一班長の〝両腕〟だが、レラージュは十一班長の〝脳みそ〟だ。少しずつレラージュも班長会議に参加させるようにする」

ハワード
「脳みそ……」

フィリップス
「十一班長も実はそんなにお馬鹿さんじゃないのに、ひどい言われよう……」

エリゴール
「じゃあ、行ってくる。なるべく最短で切り上げて、まっすぐミーティング室に行く」

ハワード
「元四班長……あんたは大佐を護衛するために、わざわざここに来たんじゃなかったのか?」

エリゴール
「護衛はするが、大佐と話をするのは、最近かなり面倒になってきた……」

フィリップス
「何て贅沢な……でも、大佐は遠くから眺めて観賞するのがいちばんいいのかもしれないと、最近俺も思うようになった」

ハワード
「野鳥の観察か」

 ***

【パラディン大佐隊・執務室】

パラディン
「エリゴール中佐ー、お疲れ様ー! 今日は一班組のおかげでコールタン大佐隊に完勝できたよー! 一〇〇隻で二三〇隻〝全艦殲滅〟なんてすごいよね! おまけに、こちらの被害はほとんどゼロ! ……まあ、おかげで君ら以外は演習にならなかったけどね……」

エリゴール
「そうですね。自分たちも〝ファイアー・ウォール〟はできないまま終わりました」

パラディン
「今度はアルスター大佐隊に合同演習申し入れてみる?」

エリゴール
「あそこは絶対『連合』役はやってくれなそうですね」

パラディン
「そうだね。絶対してくれないね」

エリゴール
「やはり、合同演習を申し入れるなら、コールタン大佐隊が最適でしょう。何と言っても、有人艦を二〇〇隻以上所有しています。……少し間を置いて。今度こそ『連合』隊列をしてもらって」

パラディン
「何かもう、コールタン大佐隊はいいよ。関わりたくないよ。明日の演習もしたくないよ」

エリゴール
「まあ、そうおっしゃらずに。ところで、明日の演習の打ち合わせはもうお済みですか?」

パラディン
「うん。さっき済ませた。メールで」

エリゴール
「メール……」

パラディン
「メールで済む用件だよ。君らはこれからまた明日の最終打ち合わせをするのかい?」

エリゴール
「はい。その予定です。十二班の軍艦ふね交換が終わってからしようと考えているので、解散はかなり遅くなると思います」

パラディン
「そうか。じゃあ、申し訳ないけど、私は先に上がらせてもらうよ」

エリゴール
「了解しました。こう言ったら何ですが、珍しいですね。さすがに今日はお疲れですか」

パラディン
「疲れた……そうだね。たった三日間だけでも、軍艦ふねに乗ってないと疲れるね」

エリゴール
「……そうですか。それでは、明日に備えて、今夜はゆっくりお休みください……」

 ***

【パラディン大佐隊・ミーティング室】

フィリップス
「おとっつぁん! 元四班長の予想ビンゴ!」

七班長・カットナー
「しまった! フィリップス副長がもう来てしまった!」

一班長・ハワード
「元四班長のようなことを」

十一班長・ロノウェ
「おお、一班! やっと来たか!」

フィリップス
「やっとって、あんたら来るの早すぎない? あと、そこの変態どもも」

七班長・カットナー
「変態って、指一本触れてませんよ」

十一班長・ロノウェ
「当たり前だ。触れてたら俺が除隊覚悟で殴る」

フィリップス
「十一班長……多少お馬鹿さんでも、やっぱりあんたは班長だ!」

十一班長・ロノウェ
「相変わらず、あんたは素直に喜べねえ褒め方するな」

レラージュ
「でも、本当のことですし」

七班長・カットナー
「あ、レラージュ副長がやっとしゃべった!」

フィリップス
「かわいそうに。こんな変態どもに囲まれるだけで、とってもうざかっただろうね。今日はちょっと集合が遅くなりそうだから、待ってる間、これをお食べ」

 フィリップス、レラージュに徳用チョコレートの袋を差し出す。

レラージュ
「……チョコ……昨日、食べなかったんですか?」

フィリップス
「いや、うちの班にたまたま同じのがあったから。昨日のはみんなでおいしくいただきました。気を遣ってくれてありがとう。ちなみに、賞味期限は切れてないよ」

レラージュ
「そうですか。なら、遠慮なくいただきます」

九班長・ビショップ
「え、レラージュ副長ってああいうチョコが好きなのか?」

七班長・カットナー
「何で知ってるんだよ、フィリップス副長! 昨日何があったんだ!」

フィリップス
「……レラージュ副長。おいしい?」

レラージュ
「はい。ありがとうございます」

フィリップス
「じゃあ、もったいないけど、あの変態どもを遠ざけられる遊びを教えてあげよう。……そのチョコを何個かつかんで、できるだけ遠くに向かって投げるんだ」

レラージュ
「投げるんですか?」

フィリップス
「見本を見せてあげたいけど、君がつかんで投げないと効果ないから」

レラージュ
「本当にもったいないですけど、では、はい」

七班長・カットナー
「うおお、レラージュ副長が触れたチョコだああ!」

九班長・ビショップ
「〝飴ちゃん〟より希少価値高いぞおお! 何しろ触れたてフレッシュ!」

レラージュ
「……あの人たちは本当に班長なんですか?」

フィリップス
「否定したいけど、本当に班長なんだ。ごめんね、人材不足で」

七班長・カットナー
「レラージュ副長! チョコを! もっとチョコを!」

レラージュ
「……俺はどうしたらいいんでしょうか?」

フィリップス
「今度は顔にぶつけてやったらどうだろう。きっと向こうも喜ぶし、君も楽しいよ」

レラージュ
「そうですか。それなら。……この変態が! うざい! うざい! うざい!」

七班長・カットナー
「うわあ! 痛いけど痛くない! むしろ快感!」

十班長・ヒールド
「全部拾え! 一個も残すな!」

一班長・ハワード
「……フィリップス。おまえ、レラージュ副長に教えてはいけないことを教えてしまったんじゃないか?」

フィリップス
「俺としては、元四班長に言われたとおり、〝適当に〟防衛態勢とったつもりだけど。レラージュ副長も、これでうちの奴らに馴染んだみたいだし」

一班長・ハワード
「馴染んだっていうのか、あれ……」

十一班長・ロノウェ
「……この隊、ほんとに凡人じゃねえな……」

一班長・ハワード
「こんなので凡人じゃなくてもな……」
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