血染めの龍騎士と悪役名無し三男の少女漫画的転生物語

鮎焼き

文字の大きさ
33 / 36

不幸の連続

しおりを挟む
「ど、どうしよう」

俺は顔面蒼白になって、ワゴンの前で項垂れた。
俺が悪かったけど、まさかこんな事になるとは思わなかった。

料理を作って、ルイスの帰りを待つつもりだった。
部屋に向かっていたら、俺の前にお腹を空かせたカイザーさんがいた。

あれ?さっき食堂に行ったのではなかったのか?

話を聞くと、食堂の席がなくて待たなくてはいけないみたいで戻ってきた。
申し訳なさそうに食べ物を見ていたから、俺の分をあげた。

本当は一緒に食べたかったけど、ルイスに食べてもらえたらいいかと思い俺の料理をカイザーさんにあげた。
俺よりも騎士の仕事が大変な人にスタミナを付けさせたかった。

俺の料理で良ければだけど…

そしてにおいに釣られた他の騎士達が集まってきた。
ルイスにあげる分の料理も食べられてしまった。

その時は大丈夫、また作ればいいんだとポジティブだった。

しかし、厨房は予約制…厨房に向かっても別の人が料理を作っていた。

「ごめんなさい、俺のせいで」

「大丈夫です、何とかします」

「せめてお詫びに奢らせて下さい!先輩達に聞いたんです!ここの自家製ジュースが美味しいって!」

気にしなくていいと断ったがカイザーさんは「俺のためにお願いします!」と言われたら何も言えなくなる。
そこまで美味しいならルイスにすすめたいから、俺が飲んで確認しようと思い頷いた。

約束、守れなくなってしまったからルイスに謝ろう。
明日からはそうならないように料理を守ろうと心に誓った。

そして、悲しい事は続けてやって来てしまう。

空いた食堂の椅子に座って、カイザーさんを待った。
カウンターから自家製ジュースが入ったコップを持って走ってきた。

早く届けたいのは分かるが、それは危ない!

俺の不安は当たり、カイザーさんは俺の目の前で段差に転けて中身をぶちまけた。
甘いジュースで全身がベタベタと甘いにおいがする。

パニックを起こしたカイザーさんは俺の服を引きちぎる勢いで脱がそうとしたから全力で振り払った。

「ご、ごめんなさい…お礼のつもりだったのに…」

「大丈夫、風呂に入ればいいから…」

「俺がお背中流します!」

「いや、ここの掃除お願い出来る?」

俺の服だけではなく、床もジュースまみれになっているから掃除を頼んだ。
背中ぐらい自分で洗えるし、分担した方が早く終わる。

そこまで俺の事を気にしなくていいからね。

風呂に入ろうと部屋に戻って着替えを持ってから大浴場に向かった。

この時間はあまり人がいないのか、数人だけいた。

服を脱いで、ベタついた体をシャワーで洗い流した。
石鹸の代わりに薬草を擦り合わせて体に塗る。
頭も同じように薬草を絞った液体を頭に付けて洗う。

全て大浴場に揃っているから、自分で用意する必要はない。

家にいた時と同じだから使い方も慣れていて、体が綺麗になる。

ガタガタと慌ただしい音が聞こえて、髪を洗っていて目蓋を閉じている俺には何があったか分からなかった。

シャワーで髪を洗い流して周りを見てみると、さっきまでいた人が誰もいなくなっていた。

何が起きたのか、俺だけ知らなくて呆然とした。
温まっていた体が急に冷えて体を震わした。

湯船に入って温まろう、なにが起きたか分からないがたまたま皆風呂から出たと思っておこう。

湯船に近付くと、ガタガタと音が静かな大浴場に響いた。
視線を向けると、そこには木製の扉があった。
そこがガタガタと音がして、顔を青くする。

あれ?残ってた人皆そこにいるのか?なんで?どんな部屋?
まさか怖いものがあるのか?魔法や龍人がいるなら幽霊もいるかもしれない。

それか不審者かもしれない、不審者だったら誰か騎士を呼びに行った方がいい。
いや、その前に逃げられるかもしれない…俺が捕まえないと…

疑問が疑問を呼び、ますます分からなくなった。
確認して、何でもなかったと安心したい…じゃないと気になって寝れない日々が続きそうだ。

大浴場の横にある掃除用具入れから、ブラシを握りしめた。
扉のドアノブを握り、なにかが壊れる音と共に扉が開いた。

そこには自然な森の景色が見える露天風呂があった。

ガタガタ音がしていたのは風だったみたいだ。

誰もいないみたいで、音の正体が分かりホッと一安心した。
長らく使われていないのか、露天風呂は汚れていた。

仕事の癖で汚れているものを見ると、綺麗にしたくなる。
ちょうどブラシを持っているから、露天風呂の灯りのランタンを付けて掃除を始めた。

全裸だから汚れてもまたシャワーを浴びればいい。
水を流しながら床をブラシで擦り、ピカピカに掃除する。

景色はいいんだから、使わないのはもったいない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王様お許しください

nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。 気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。 性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

アイドルのマネージャーになったら

はぴたん
BL
大人気5人組アイドル"Noise" ひょんな事からそのマネージャーとして働く事になった冴島咲夜(さえじまさくや)。 Noiseのメンバー達がみんなで住む寮に一緒に住むことになり、一日中メンバーの誰かと共にする毎日。 必死にマネージャー業に専念し徐々にメンバーとの仲も深まってきたけど、、仲深まりすぎたかも!? メンバー5人、だけではなく様々な人を虜にしちゃう総愛され物語。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

暗殺者は王子に溺愛される

竜鳴躍
BL
ヘマをして傷つき倒れた暗殺者の青年は、王子に保護される。孤児として組織に暗殺者として育てられ、頑なだった心は、やがて王子に溺愛されて……。 本編後、番外編あります。

処理中です...