11 / 91
第11回 多数決
しおりを挟むどう考えても無理ゲーと思えた【コンビニの虐殺者クエスト】を俺は無事クリアし、超レアスキル【クエスト簡略化】をゲットした。その代わり、虐殺者の羽田京志郎と命懸けの賭けをすることになったが……。
ボスを倒せば全員生還できるものの、倒せなければ羽田によって皆殺しにされるから責任重大だが、黙っていれば間違いなく全員死ぬわけだしこれでよかった。
「羽田、あんたにもう一つ、お願いがあるんだが」
「なんだ? 佐嶋ぁ」
お、羽田が俺のことを律義に名前で呼んでくれてる。同等とまではいかないが、一目置いたってことなんだろう。
「俺一人でもいいんだが、どうせなら今までと同じ面子で戦いたい」
「……そんなことか。お前の好きにすればいい」
「ありがたい」
よしよし、これは地味に大きい。俺が思うに、あのメンバーは一人も死ななかったし強運を持っているはず。だからそれにあやかりたかったんだ。
高レベルスレイヤーの羽田はボスの強さを熟知していると思うし、レベル1の俺とレベル0の仲間たちじゃどうしようもないと踏んでいるんだろう。
それから少し経って、俺たちはボスを探すべく歩き始めたわけだが、すぐに【クエスト簡略化】スキルの恩恵を受けることになった。
通路の方向に矢印が示され、その下にボスがいる方向だと表示されていたからだ。
このコンビニダンジョンは一方通行だから、方向についてはあまり関係ないとはいえ、ボスが間近に迫ったなら知らせてくれるだろうし、これから大いに役立ってくれる効果であることは間違いない。
「な、なあ、佐嶋、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ……」
「ん? どうした、黒坂」
歩き始めてからしばらくして、女子高生の黒坂が若干怯んだ様子で話しかけてきた。
「……ネ、ネクロフィリアってマジなのか……?」
「おいおい、そんなの、わかってるだろ……」
黒坂の質問に対する俺の回答は、どっちでもとれるから問題ないはず。なんせ羽田が後ろからボスとの戦いを見物するべくついてきてるだけに、否定したくても真っ向からはできないんだ。
「そ、そうだよな……」
彼女はどう解釈したのか微妙な表情を浮かべたものの、多分察してくれたと思う。どう考えてもドン引きされる趣味だし俺自身がそう思いたいだけだが。
「最近の若いモンの趣味は凄いな……」
「…………」
風間の発言には反応し辛いのでスルーしておいた。
「ま、まあまあ、そのおかげで自分らは助かったんですから……」
山室の台詞に関してもなんも言えねえ。
「てか、俺は工事帽の趣味なんてどうでもいい。なんでこいつの無謀なボス討伐に付き合わされなきゃならないんだ」
野球帽の藤賀は相変わらずだな。唯一名前呼びしたくないやつだ。野球帽にとっても同じ気持ちなんだろうが。
「じゃあ、野球帽。あのまま黙って死にたいのか?」
「はあ? バカなのか、お前。その間にほかのスレイヤーが助けにきてくれるかもしれないだろ」
「ふむう……確かに、わしも藤賀とやらの言い分のほうが正しいように思う……」
風間も野球帽の意見に賛成らしい。
「いや、あたしは佐嶋のほうが正しいって思うけどな。だって、待ってる間にモンスターに襲われるかもしれねえだろ? トラックの運ちゃん……いや、山室さん、あんたはどう思う?」
「んー……正直迷うところですけど、自分も佐嶋さんや黒坂さんのように積極的に行くべきだと思いますね」
黒坂と山室は今のところ俺の意見に賛同してくれているようだ。
「んじゃ、三対二だから多数決で俺の勝ちってことで」
「チッ……!」
俺の結論に対する野球帽の舌打ちが、今回だけは心地よかった。
「――あっ……」
あれから通路を挟んでコンビニルームを十三か所回った頃、俺は思わず声を上げてしまった。
「さ、佐嶋、どうしたんだ……!?」
「佐嶋さん?」
「な、何かあったのか、佐嶋よ……?」
「は、早く言えよ、工事帽」
「いや……なんでもないんだ。ただ、なんとなくボスが近いような気がしてな……」
こうは言ったものの、俺はダンジョンのボスが間近であることを確信していた。
【クエスト簡略化】スキルの効果により、次のコンビニルームにボスがいることが提示されたんだ。
このスキルに関しては、虐殺者の羽田もいるし公言しないほうがいいような気がしていた。
なんせ超レアスキルっていうくらいだし、知られると今後厄介な存在になりそうってことで命を狙われることも充分に考えられるからな……。
24
あなたにおすすめの小説
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる