学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し

文字の大きさ
1 / 62

一話

しおりを挟む
「おい、優斗ゆうと、おいらがお前の鞄をチェックしてやるぜえ」

「いきなり検査かよ……」

「なんか言ったかあ?」

「な、なんでもない」

 2年1組の教室に着いて早々、不良グループの一人、金髪の近藤孝彦こんどうたかひこに鞄の中身を探られる。クソ、最近そういうのはなかったから油断してた。力こそ正義だし、逆らっても無駄なのはわかってる。

 俺の名前は如月優斗きさらぎゆうと。17歳の高校生だが、昔から癖が強いせいかクラスじゃ浮いてしまい、いじめられている。

「お、なんだよ、これってもしかして小説の原稿かあ? 未だに紙に直接書いてるとか、昭和かよおっ!」

「う……」

 俺の書いた小説を取り出した近藤が、ウキウキで声を張り上げたもんだから、周りからなんだなんだと人が集まってくる。

「これは一体、どういうことでしょうか、如月君」

 インタビュー形式にしたいのか、生徒の一人がペンをマイクに見立てて近付けてきた。

「…………」

 どうしよう。どうせ暴力で白状させられるし、ここは堂々と言ってのけるのはどうだろうか? そうすれば、陽キャ扱いされて俺はいじめられなくなるかもしれない。そうだ、心のうちではよく漫才師のように突っ込んでいたし、それを体現してみせればいいんだ。

「……ハッハッハ。今の時代には合わないかもだがなあ、やっぱり小説は紙だと俺は思うんだよ。そうだろう? 見た目も手触りも最高だしなっ……」

「「「「「……」」」」」

 なんともジメッとした嫌な視線を感じた。誰もが俺の処刑を期待するような目をしている。だが、中途半端はいけない。もっと攻めろ、俺。

「あとなあ、不良っていうのは、俺が思うに、もっとこう、工夫したほうがいいんじゃないか? 絡んでくるタイミングとか、目線とか。今のままだと、なんともイモっぽいというか、全然洗練されていないし……」

 ん、失笑が上がっているし、面白いやつだと思われたかもしれない。いいぞ、この調子だ――

「――わー、凄いじゃない。如月君って小説書けるんだあ」

「…………」

 その一言で流れが変わってしまった。

 暗澹とした気持ちになるのも当然で、声をかけてきたのは不良グループの一人、浅井六花あさいろっかだったからだ。顔はいいほうだし、表向きはいつも笑顔の優等生だが、その本性はとても残虐な女子高生なんだ。

「ねえ、これって陰キャさんが好むラノベっていうんでしょ。ざっと見た感じ、超くだらないし燃やしてもいい?」

「え、そんな。それだけはやめてほしいんだが」

「いいなあ! 浅井、いいこと言うじゃねえかあ。早速やろうぜえっ!」

「ぐっ!?」

 俺は近藤に羽交い絞めにされ、浅井が目の前でライターを取り出し小説に火をつける。

「ファイヤー!」

「あ……ああああああぁぁぁっ!」

「「「「「ギャハハッ!」」」」」

 も、燃えている……俺の夢が詰まった小説が……笑い声の中でどんどん灰になっていく。中学1年生のときから、コツコツと休み時間に書き溜めていたもので、もうすぐ公募に出す予定だったのに……。

「う、うう……」

 ほとんど灰と化した原稿を拾う俺の肩を、近藤が笑いながらポンポンと叩く。

「ププッ……いいじゃねえか、泣くなよ、優斗。お前のクソくだらねえ小説なんて、燃えたほうがむしろ環境にいいんだって」

「ちく、しょう……」

「あぁ? おいらになんか文句あんのかよお!?」

「い、いえ……」

 近藤が自慢のナイフを見せつけてきたのでたじろぐ。こいつにはよく教科書や靴を盗まれ、このナイフでズタズタにされたもんだ。

「こら、お前たち、やかましいぞ、静まれ」

「「「「「ハーイ」」」」」

 まもなく担任の教師が教室に入ってきた。反田憲明はんだのりあきっていう、俺だけフルネーム呼びしていじめに加担するクソ教師だ。

「なんだ、如月優斗、またいじめくらいで泣いているのかね。まったく、湿っぽくてかなわんな。私の授業を通夜にするつもりか。んじゃ、授業を始める前に、こいつの葬式を済ませておくとしよう。合掌!」

「南無阿弥陀仏」

「くたばっちまえ」

「アーメン!」

「「「「「どっ……!」」」」」

「…………」

 いつもの葬式ごっこが始まった。この程度のいじめ、いつもなら耐えられるのに、今日だけは途轍もなく苦しかった。小説を書くのは俺の生き甲斐だったんだ。なのに、全部燃やされた。

「……燃やし尽くして……やる……お前らを……いつの日……か……」

 落書きまみれの机に突っ伏した俺が、呪いの言葉を呟いた直後だった。周囲が光ってざわめきが起こったかと思うと、どこからともなく少女の声が響いてきた。

『この学校の内部におられる人たちに重大なお話があります。私はあなた方を異世界へ召喚いたしました』

 ……な、なんだって……!? それってつまり、異世界転移ってことだよな? まるで俺の小説の内容みたいじゃないか……。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル 14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり 奥さんも少女もいなくなっていた 若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました いや~自炊をしていてよかったです

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

【村スキル】で始まる異世界ファンタジー 目指せスローライフ!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は村田 歩(ムラタアユム) 目を覚ますとそこは石畳の町だった 異世界の中世ヨーロッパの街並み 僕はすぐにステータスを確認できるか声を上げた 案の定この世界はステータスのある世界 村スキルというもの以外は平凡なステータス 終わったと思ったら村スキルがスタートする

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...