9 / 62
九話
しおりを挟む「「「「「おい、如月っ!」」」」」
「…………」
担任の反田が去ってすぐ、2年1組の教室に俺が入った途端、不良グループの虎野たちが血相を変えて取り囲んできた。
でも何故か全然怖さを感じないのは、それだけステータスが上がった影響だろうか。魔法力=精神力なのかもな。
「お前、一体どこにいた?」
「どこにいたんだあ?」
「どこにいたのよ」
「どこにいたんだよ、コラ……」
「キイィッ! どこにいたんですか!?」
「…………」
虎野、近藤、浅井、影山、永川が鼻息を荒くして詰め寄ってくる。この様子だと、俺をいじめるために血眼で探し回ってたらしい。ご苦労なこった。
「え、えっと、怖いから旧校舎のほうに。それで気付いたらいつの間にか寝ちゃってて……」
俺は怯えたような顔を作って言うと、やつらは自分に都合のいいように解釈したのかニタリと嫌らしい笑みを浮かべてみせた。おまけの復讐とはいえ、少しは楽しみたいし全面戦争はまだ避けたい。
「ふむ、異世界に来ても、お前はどうしようもないビビリだな」
「まったくだぜ! ボスの言う通り、チキンは死ぬまでチキンだなあ」
「最低っていうのはこのことね。怖いから旧校舎って……呆れた。自分だけ助かったらそれでいいわけ?」
「陰キャ極まってるな、こいつ……」
「アヒャッ。僕、こんな惨めな男にだけはなりたくありませんねえ! 虫ケラにでもなったほうが全然マシです!」
「「「「「ギャハハッ!」」」」」
「…………」
そうだな……腹はあまり立たないものの、侮辱に対するお仕置きは必要だろうってことで、俺はとある魔法を作るとともに早速使用してやった。
「「「「「ごっ……!?」」」」」
連中は頭の上に『タライ』が落ちてきたもんだから、一様にわけがわからなそうに目を白黒させていて、俺は自分の笑い声を『サイレント』で封印するほど可笑しかった。
タライが頭上に落下するだけだから大した魔法じゃないが、ちょっとしたストレス解消にはうってつけだ。
お、『《マジックコレクター》の称号を得ました』と脳内に表示された。そういや、魔法をいっぱい作ったからなあ。スキルと違って魔法は多く持ってるのが普通とはいっても、短期間にこれだけの量の魔法を作ったんだから当然か。
その効果は、魔法を使う際にMPの消費量を抑えることができる、というものらしい。MPを全回復できる『マジックリカバリー』があるとはいえ、それをやる暇がないくらい激戦に巻き込まれる可能性も考えたら、消費量はなるべく抑えておいたほうがいいだろう。
周囲が明るくなってきた頃、これから授業が始まるわけでもないのに、教室にはいつもの面子が集まっていた。多分、みんなここにいると安心できるっていうのと、天の声が来るのを待つ意味合いもあるんだろうな。
『――皆さま、おはようございます。いかがお過ごしでしょうか。ふわぁ……あ、失礼いたしました』
お、早速天の声が響いたので周りがどよめく。いつもとは入り方が少し違うし、欠伸するしで、向こうも打ち解けてきた感じか。
『これより、この世界へもっと馴染んでもらうため、それに相応しい仲間を選んでもらおうと思います。ですので、スマートホンの準備をよろしくお願いしますね』
異世界の仲間だって? もしかして、獣人とか亜人とか、ファンタジー小説でよく見るアレか。もしそうなら楽しみだが、どうせ俺は……。
「イヒヒッ! 没収の時間ですよ、如月っ!」
「そ、そんな……」
やっぱり永川にスマホを取り上げられてしまった。
とはいえ、俺は悲愴感に満ち溢れた演技をしつつも、内心は凄く冷静だった。残り物には福があるっていうのは証明されてきたことだし、こっちには【ダストボックス】があるから慌てる必要もないしな。
280
あなたにおすすめの小説
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる