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十六話
しおりを挟む「それじゃ行ってくるよ、ラビ」
「ユートさま、行ってらっしゃいませーっ。夕食の準備をして待ってますので、なるべく早く帰ってきなさい……!」
「も、もちろん」
メイド服に着替えたラビもやはり捨てがたい。もうすぐ日が暮れそうってことで、俺は天の声を聞くべく【ダストボックス】を出て教室へ向かった。知らせがあるとしたら、大体朝の8時か夕方の6時頃だっていうのはわかってるからな。
2年1組の教室へ入ると、虎野たち不良グループも既に集まっていて、一人だけ制服姿の俺に対して小馬鹿にするような視線を向けてきた。
逆なんだよ、逆逆。いずれお前たちは自身の見る目のなさに絶望することになるんだからな。
失笑を浴びながらも俺は悠然と自分の席に座ってまもなく、天の声が聞こえてきた。
『救世主候補の皆さま、こんばんは。こほっ、こほっ……』
ありゃ、咳なんかしちゃって、風邪でも引いたんだろうか。
『し、失礼いたしました! 風邪を引いて高熱を出してしまいまして……。それと、残念ながら今日は、良いほうのお知らせではなく、悪いほうのお知らせを持ってまいりました……こほっ、こほっ……』
悪いほうのお知らせだって……? 不吉な内容の天の声に対し、周りがざわつき始める。
『飛行モンスターの群れが、こちらへ向かっています。モンスターは珍しいものに興味を持つ傾向があり、さらに嗅覚も物凄いため、別世界から来た皆さまのいる学校を襲撃する可能性は高いです。おそらく、明日の夜頃には到着すると思うので、戦闘準備をしておいてください……こほっ、こほっ……そ、それではこの辺で失礼いたします……!』
「…………」
モンスターが来るのは明日の夜か。それならまだ時間はあるな。
教室内はかなり不穏な空気に包まれていて、ガタガタと体中を震わせたり、うずくまって泣いたりする生徒まで出てきた。まあ下手すりゃ食われるかもしれないわけで、これが当然の反応なんだよな。
自分の場合はいつもいじめられてたせいかあまり動揺はない。なんせクソ教師の反田に遺影まで作られて、毎日のように俺の葬式が開かれてたし。
ん、不良グループがなんか言ってるから聞き耳を立ててみるか。
「ふむ、モンスターの襲来だと? では、俺様がモンスターの魔の手から学校を救ってやるとしようか」
「うおぉおっ! ボス、そりゃ最高だあっ! おいらたちが英雄になれるぜ!」
「英雄になれるなんて、素敵な話ね! 虎君、それにみんなも頑張って!」
「浅井さん、任せてくれ……みんな、俺がぶっ殺してやる……」
「盛り上がってまいりましたあぁ……! アヒャヒャヒャアッ!」
連中はなんとも勇ましく騒いでいた。何が英雄だよ、お前らはどうあがいてもただの犯罪者だろうと内心突っ込みつつ、『レイン』&『タライ』で水を差すのも忘れない。
「「「「「うっ? ぐぇっ!」」」」」
さて、連中が怒って暴れ出す前に教室から退散させてもらうか。
正直なところ、俺としては学校が襲われても別にどうでもいいんだが、不良グループが死んだら復讐できなくなっちゃうんだよな。虎野たちを仕留めるのは俺しかいないと思うし、モンスターの群れから全力で学校を守る必要がある。
そうだな……そのために【魔法作成】で攻撃魔法を作るとしようか。世界を終わらせる効果の『カタストロフィ』はあるが、あれはいくらなんでも極端すぎるってことで、この際だからちょうどいい攻撃魔法を幾つか作成しておきたい。
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