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十九話
しおりを挟む「――ガッ……!?」
まず、俺が黒竜に対してやったのは、あらゆるものを氷漬けにする『エターナルスノーデス』だ。
なんせやつは巨体のくせに俊敏すぎるので、とりあえず凍らせることで動きを封じたかった。
「グギャギャギャギャギャギャアアアァァァッ……!」
次に唱えてみせたのは、100回連続で雷が落ちる『ディバインサンダー』で、強烈な稲妻がやつの頭上にこれでもかと降り注ぐ。
「グ……グルルルゥゥ……」
「おいおい……」
それでもまだ生きてるとか、この世界のモンスターは一体どうなってるんだ。しかも氷結が解除されたあと、現在進行形で雷に打たれながらもこっちに迫ってきたので、俺は既に詠唱が終わっていた『アースデーモン』を発動させる。
「ガアアアアアッ!」
手元から繰り出される岩石の乱れうちに対し、やつは全身から血を噴き出して見る見る骨になっていったが、それでも果敢に向かってきたかと思うと大口を開いた。
「コオオオォォッ……」
その奥に不気味な青い光が覗く。まずい、何かブレスのような攻撃を仕掛けてくるみたいだ。そこで俺は『ヘルファイヤ』を放ち、10000度の炎の槍をたっぷりと食わせてやった。この魔法は一番持続するし相当にきついはず。
「ガッ……? ウギャアアアアアアアアアアアアァァァッ!」
燃え上がった黒竜の断末魔の悲鳴がこだまする。骨まで溶けてるしさすがに死んだか。いやー、やけにしつこいモンスターだったな。
お、なんか音がすると思ったら、向こうのほうから馬車が来るのが見えた。
ほどなくして止まると、中から高貴な衣装を身に纏った二人が出てくるなりこっちへ近付いてくる。背の高い女性と、クールな感じの女の子だ。
「そ、そこのお方、も、もしや、あれを一人で倒されたのですか……!?」
「ん、そうだけど、あんたらは一体?」
「あ、失礼いたした。それがしはホルンという名の護衛でありまして、ここにおられるのは王女のプリンさまであらせられます」
「なるほど……」
「……ぷいっ……」
あ、プリンっていう子に視線を逸らされた。やっぱり王女っていうだけあってプライドが高そうだな……と思ったら、手を差し伸べている。握手しろってことかと思って手を出したら、ちらっとこっちを見つつ握ってきた。なんだ、シャイなだけか。
「俺は優斗っていうんだ。よろしく、ホルン、プリン」
「よろしく頼みますぞ、ユートどの!」
「あっそ……。よろしく、ユート。強いのね、あなた」
「あ、そうでもないよ。モンスター一匹倒しただけだし」
「ほぇ?」
「いやいやいや! ユートどの、お待ちくだされ!」
「え?」
「貴殿が倒したのは、災害級のモンスター、アビスドラゴンですぞ!」
「なっ……!」
災害級のモンスターだって?
「それってどれくらい強いんだ?」
「そ、それを知らぬということは、ユートどのはこの世界の人間ではないのですか?」
「うん」
というわけでホルンという女性に説明してもらったわけだが、俺はそこで酷く驚かされることになる。
モンスターの階級は低級、中級、高級、超高級、虐殺級、災害級、大災害級、異次元級、未知級、神級といった具合に十段階まであり、五段階目の虐殺級からは人間が到底かなうような相手ではないので逃げるしかないとのこと。
アビスドラゴンはそれより一段階上なのか。道理でしつこく食い下がってきたわけだ……。
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