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二八話
しおりを挟む――200キロ超生徒、原田信夫の視点
(この仮面の男さえ始末すれば、ボキュが学校の英雄となり、キャワイイ兎ちゃんも手に入る。ギュフフッ……まさに完璧すぎる計画……!)
「そんなの当たらないな」
「フンガーッ! グギャッ!?」
「……え、え……?」
戦況を悠然と見つめていた原田の顔がどんどん青くなる。なんと、仮面の男よりも遥かに体の大きい巨人が、なすすべもなくやられていたからだ。
「ジャッ、ジャイオン、さっきから何やってる!? そのいけすかない仮面野郎をとっととぶち殺せ、踏み潰せ! 速やかにミンチ化しろおおおおぉっ!」
「グアアアアアッ!」
「っ!?」
遂に巨人が倒れ、ピクリとも動かなくなる。
「ふー、次はお前の番だな……」
「ちょっ……タッ、タンマタンマッ、タンマアァァッ! ボ、ボキュが悪かったからぁ……見逃して。ねっ?」
「ダメだ」
「ぐぐっ……!」
その直後、巨人が仮面の男の背後で静かに立ち上がったことで、原田の目の奥が怪しく光る。
(いいぞー、ジャイオン。これぞ、死んだ振り作戦というものだっ! さすが、仮面野郎は学校を守っただけあって手強いやつだったが、ボキュたちの前ではそれまでなんだよ、ドアホッ!)
「お願い、助けてぇ――からのー、殺れ、ジャイオン!」
「っ!?」
仮面の男がはっとした様子になるものの、あえなく巨人の足で踏み潰されることになり、周囲に鮮血が飛び散った。
「やったああああああ! イエェェアッ! ざまあカンカン屁の河童からのー? グッドラック!」
巨体を揺らして踊り狂う原田。
「ギュフフ……。さて、邪魔者もいなくなったし、ボキュの兎ちゃんを探しにいくか――」
「――おいおい、まだ戦いは終わってないぞ?」
「うぇっ……?」
原田が恐る恐るといった表情で振り返ると、そこには仮面の男が立っていた。
「え、で、でもぉ……確かに死んだはずじゃ……」
「あれは俺の作った『アバター』だよ。ほら、巨人の足元を見てみろ。もういないだろ?」
「あ、確かにぃ、本当だぁ――隙ありっ!」
原田が怯えていると見せかけて仮面の男に殴りかかるも、それは人差し指で軽く受け止められてしまっていた。
「え、しょ、しょんな……ボキュのダイナマイトパンチがぁ……」
「ちなみに、その巨人には『ストップ』の魔法をかけてるからしばらく動けない。つーわけで、さよならだ」
「タ……タンマッ! ストーップ!」
「なんだ、まだ言いたいことでもあるのか?」
「う、うん。あのねぇ、せめて死ぬ前に、あのキャワイイ兎ちゃんにさよならの一言だけでも、言わせてほしいかなって……」
「…………」
「ねぇ、いいでしょ……?」
「ダメだ」
仮面の男の繰り出した拳が、原田の顔面に文字通りめり込む。
「ぶげっ――!?」
「――まだだっ!」
「……ごっ、ごはぁっ……!」
勢いよく弾き飛ばされた先へ瞬間移動した仮面の男によって、タイミングよく背中を蹴り上げられた原田が体育館の天井に激突し、全身から血飛沫を上げながら落下する。
(……ボ、ボキュの自慢の巨体が、こんな、軽々と……。あの兎ちゃんもこいつも、バケモンかよ……ガクッ……)
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