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15話 お荷物
しおりを挟む僕は今日の朝にギルドに貼られたばかりのB級の依頼を受け、たった今都の最寄りにある山の麓まで着いたところだった。
「故郷ほどじゃないけど、懐かしいなあ……」
ここは元パーティー時代に何度もお世話になった場所で、低地だとフィールドにいるモッピングラビット並の雑魚モンスターばかり出てくるけど、高地が近くなるにつれてレインボースパイダーのような強いモンスターが出てくることで知られている。
んで今回の依頼はというと、その低地と高地の中間に位置する場所にかなり手強いモンスターが現れたってことで、速やかに退治してほしいっていうものだった。
出現したばかりなのに既に相当の被害が出てるみたいで、ギルドはすぐにB級判定を出したって話だ。それだけでもヤバさがひしひしと伝わってくるけど、僕はオーガを一人で倒したんだからもっと自信を持っていいはず。どんなモンスターなのかは【鑑定士】スキルがあるし現地に到着してから調べればいい。
「――はあぁっ!」
途中で現れた切り株型のモンスター、ゴーストスタンプに向かって《跳躍・小》を使用するとともに斬りかかる。雑魚モンスターの中じゃ結構手強いほうだ。
『ウゴオォォッ……!』
おおっ、一発で倒せただけじゃなく木っ端微塵だ。物理防御力が突出してるモンスター相手にこれだから、いかに怪力の腕輪がヤバい性能なのかがよくわかる。
あと、攻撃するポイントが急所に近付けば近付くほどダメージは上がるわけで、【鑑定士】スキルの熟練度が上がってるおかげか、そういうのがなんとなく見えるようになってきたのも大きいのかも。
目的地が近付いてきたけど、この辺ならまだ【武闘家】スキルを使う必要もなさそうかな。
「……」
ん、なんだか纏わりつくような重い視線を感じる……。誰かが僕のあとをこっそり追いかけてきてるみたいだ。多分、冒険者ギルドで嗅ぎ回ってたやつらなんだろうね。僕が【偽装】スキルで弄ったステータスを見ただけじゃまだ疑わしいってことか。
となると……大方、あのステータスじゃ弱すぎるから誰か協力者がいるんじゃないかって探ってるのかも。
というのも、自分よりランクの高い誰かに協力させて依頼をこなすというのは、冒険者ギルドへの信頼に関わるってことで違反行為とされてるんだ。
ちょっと上のランクの友達に協力してもらうとかならともかく、ずっと上のランクの冒険者パーティーに代行してもらう等、やりすぎた場合は除名処分もありうるって聞いたことがあるしね。
よーし、見てろ。向こうがその気ならこっちにも考えがある……。
◆◆◆
「――はぁ、はぁ……」
王都ヘイムダルの郊外にある古城ダンジョンの二階にて、パーティーの後方で荷物を運んでいた少女セニアが弱り顔でへたりこむ。
「はふぅ……も、もうそろそろ休憩させてほしいんだぜ……」
「おいセニア! お前、この程度の荷物で音を上げるの早すぎだろ! 前回のことを反省してないのか!? まだ二階なんだからもう少し踏ん張れって!」
怒号を響かせるパーティーリーダーのナセル。
「け、けどリーダー、オレは戦闘係も兼ねてるんだからさあ。休憩もちょっとは挟むべきだろ?」
「もういい……おいセニア、お前は追放だ!」
「ふぇっ!?」
「ちょ、ちょっとナセル、気が短すぎるって!」
「ど、同意っ! リーダー、気持ちはわかるがぐっと堪えたまえよ!」
「そ、そうですよリーダーさん。というか、いくらなんでもここで追放なんてまずいですよ……!」
リーダーから飛び出した爆弾発言に対し、メンバーのファリム、ロイス、ミミルの三人がいずれも青ざめながら止めに入る。
「おい、お前ら……こんなの演技だ演技。これくらい言わないと反省しねえだろ……」
「「「あ……」」」
ナセルの呟きから一転して納得顔になるメンバー。
「そっか。そんなに言うなら仕方ないなっ。じゃあオレ抜ける!」
「「「「えっ……?」」」」
セニアが曇り一つない笑顔とともに荷物を軽々と持ち上げ、颯爽とその場を立ち去っていく。
「疲れたけどまあまあ楽しかったぜ! 今まで拾った分は報酬としてオレが貰ってく! あばよー!」
「お、おいセニア、お前疲れて動けないはずなのにピンピンしてるじゃねえか。さては仮病か!?」
「バイバーイ!」
「こいつ、逃すか――」
『『『『『――コオオォォッ……』』』』』
セニアを追いかけようと走り出したナセルだったが、後方にいる彼の仲間たちの前に死霊騎士の群れが現れる。
「ナ、ナセル! モンスターがいっぱい来ちゃった!」
「リーダー、ストップストーップ!」
「リーダーさん、今すぐ戻ってきてください!」
「ち、ちいぃぃっ! こんなときにいいぃっ……!」
慌てた様子で駆け戻り、メンバーとともに血眼でモンスターと交戦を始めるナセルだったが、ようやく終わらせたときには既にセニアの姿はなかった。
「――ぜぇ、ぜえぇっ……ち、ちっくしょう! セニアアァァ、覚えてやがれええぇぇぇっ……!」
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