なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し

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第11話

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「いらっしゃいませ。あなた方のご身分は?」

 冒険者ギルドの受付にて、現れた三人組のパーティーに対して受付嬢がそう訊ねる。

「はあ? 僕たちはあの超有名パーティー『神々の申し子』だぞ。そんなの見ればわかることだろうが!」

 依頼の失敗報告に来たバルドが受付嬢を睨みつける。

「申し訳ございません……」

「フン、まあいい。今度から気をつけろ。そういえばあの受付嬢はいないのか? ほら、イリスとかいう名前の子だ」

「イリスでございますか? えっと……その方でしたら、急遽『神々の申し子』パーティーの担当を変えてほしいということで、このわたくしめ、イザベラが応対することになりましたが」

「な、なんだと!? あの子は僕好みの美人な上、優しい子だから気に入っていたのに、なんで……」

「バルド、それならきっとあれでしょう。ラウルが気持ち悪いと思ったんでしょうね」

「あー、シェリー、それありえるね! こんなことになるなら、もっと早くラウルのやつを追放してればよかったねえ」

 雑談を始めたバルドたちに対し、受付嬢のイザベラが鋭い眼光を飛ばす。

「あの……わたくしめでは不満でございますか?」

「あ、いや、なんでもない。まあ別に君でも構わないが、僕と話したいならそれなりに気を使ってもらいたいものだ。フッ……」

 キザっぽく前髪を弄ってみせるバルドだったが、イザベラは顔色一つ変えることがなかった。

「それで、今日はなんのご用件でございましょう?」

「チッ、可愛げのないやつ……。依頼の失敗報告だ。とはいえ、勘違いしないでくれたまえよ? エンシェントミイラを50体倒す予定だったが、アクシデントがあったためにかなわなかっただけだ。正直、余裕だったというのに邪魔をされた格好なのだよ」

「はあ。アクシデントと申しますと?」

「誰もが逃げ惑うほどの、強力無比な災害級モンスターが突然発生したのだよ。僕たちはほかの冒険者たちを庇いながらもなんとか倒すことに成功した」

「なるほど、それは災難でございましたね。さすがはSS級パーティーと言いたいところですが、その証拠はございますでしょうか?」

「残念ながら、何一つアイテムを落とさなかったために証拠はない。だが、僕たちの姿を見てくれ。ボロボロだろう? SS級パーティー『神々の申し子』がここまで苦戦したことがいい証拠ではないか」

「…………」

「ん? イザベラとやら、何故黙っているのだね? さては、僕に惚れたか? フッ。困ったものだ。モテる男は辛いとはよくいったものだな……」

「バ、バルド、妙です。様子がおかしいですよ」

「バルド、ちょっと見てよ、あたしたちの格好……」

「へ……? シェリー、エミル、一体何を言って――」

 それまで余裕の表情だったバルドが、一転して強張った顔で声を詰まらせる。何故なら、彼らには痣どころか服の乱れさえもなかったからだ。

「はて? あなた方が災害級モンスターと戦ったという証拠はどこにあるのでございますか? それどころか、普通のモンスターと戦った痕跡すら一切見受けられませんが……」

「「「うっ……」」」

 イザベラの鋭すぎる指摘に黙り込むバルドたち。その醜態振りは、様子を窺っていた周りの冒険者たちから次々と失笑が上がるほどであった。

「そ、そんなバカなことがあるか! 僕たちは確かに災害級のモンスターと戦い、見事に退治してみせたのだ! だから、今回の失敗はノーカンだ!」

「残念ながら、明確な証拠がない限りそれはできません。あなた方SS級パーティー『神々の申し子』は今回の依頼に失敗した上、虚偽の発言をなさいました。よって、あと一回失敗すれば降格処分となり、さらに罰金として次回クエストを受ける際は銀貨1枚を提出してください。それでは」

「ち……畜生! こんなの何かの間違いなのに、ふざけやがって……。覚えていろっ!」

「ま、待ってください、バルド!」

「バ、バルド、ちょっと待ってよぉ!」

 椅子を蹴り上げて立ち去るバルドと、それを慌てた様子で追いかけるシェリーとエミル。

「『神々の申し子』に注意マーク、と……。彼らの担当から自ら外れたイリスは中々の慧眼でございますね」

 イザベラは淡々とメモを取りつつ、感心したように呟くのだった。
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