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第41話
しおりを挟む『『『『『ウゴオォォォッ……!』』』』』
冒険者ギルド付近にて、四方八方からクレスに襲い掛かるゴーレムたち。
「なんの、これしきっ……!」
クレスの持つ大鎌が唸りを上げたのち、囲んでいたモンスター群が少し遅れて真っ二つになる。
「「「「おおぉぉっ……!」」」」
ダリアたちの歓声を背に受けながら、クレスが得意げに自身の大鎌を撫でてみせる。
「ふう……。やっぱり大鎌ってやつは最高だねえ。俺が隠居してる間に少し錆び付いてるかと思いきや、そんなことはまったくねえし頬ずりしちまいそうだ……」
「ひゃっほう、クレス、すげーぜっ! さすがはラウルの相棒っ!」
「クレスさん、マジぱねえっす! あのラウルさんの相方なだけあるっすね!」
「……うん。まあまあ、かな……。ラウルのほうがもっと凄いけど……」
「まったくじゃ! ラウル先生には劣るが、あの方のパートナーなだけあるわい!」
ダリア、セイン、リシャール、オズの賛辞に対し、クレスがいかにも苦そうな笑みを浮かべる。
「おーい。お前らなあ……ラウルがスゲーのは自分のほうが痛いほどわかってんだから、今は俺様だけをヨイショしろっての! なあ、そこにいる青二才もそう思うだろ?」
「……そうだね。確かに君はラウルには遠く及ばないと思うけど、まあ君も充分に強いしユーモアもあるから凄いよ。偉い偉いっ」
「おいおい、そんなに余裕こいてて大丈夫かよ? そろそろ本物の変異種ゴーレムを出したらどうなんだよ。紛い物よりはずっと強いんだろ? 出し惜しみして飼い主がやられちまったら本末転倒だろうに」
「フフッ。まだその必要はないよ。あと、そんなに喜んでるのに水を差すようで悪いけど、君が未だに大事なことに気付けないっていうのは凄く不憫だと思ってね……」
「大事なことだぁ……? そんなもん最初から存在しないくせに強がるなって。謝るなら今のうちだぞ? それに、いずれ無自覚モンスターのラウルもここへ来るだろうし、もうお前は詰んでるんだよ」
「そうそう、クレスの言う通りだって私も思うぜっ! な、セイン、オズ、リシャール?」
「「「同意っ!」」」
クレスの台詞に対し『暗黒の戦士』のダリアたちも同調する。
「フフッ……。後ろで震えながら隠れてるくせに、子猫ちゃんたちがやたらと元気だねえ」
「あぁ? 子猫はてめーだろ! 今なら特別に私の拳骨で勘弁してやるからとっとと降参しろっ!」
「その通りっす! あ、そうだ。ついでにダリア姉さんの結婚相手とかどうっすか!?」
「ふぉっふぉっふぉ! セインよ、それは中々の名案というものじゃ――!」
「――死になっ!」
「「ごはっ……!?」」
「……ププッ……」
ダリアから両手で拳骨を食らい、痛そうに頭を抱える二人を見て噴き出すリシャール。
戦況はもちろんのこと、その場の空気においてもクレスたちが完全に押しているように見えたが、対峙している青年は不気味なほどに余裕の表情だった。
「フフッ……。さあ、行け。やつらと遊んでやれ、ゴーレムたち!」
『『『『『ウゴオォォォッ!』』』』』
「はあ、懲りねえなあ。まだやるのかよ……。その余裕、いつまで続くのか見物だな……!?」
その台詞と比例するかのようにクレスの動きは冴え渡り、発生直後に分裂したゴーレムたちをまとめて一撃で仕留めてみせた。
「わー、見事だねぇ。偉い偉い。ヨシヨシッ。でも……皮肉なことに、君のその強さが却って悲劇を生むことになるだろうね……」
「何ぃ……? こいつ、とうとう頭までゴーレムみてえにガラクタ化しちまったのかよ……!?」
クレスが挑発しつつ青年に襲い掛かるも、彼は意に介する様子もなく、呼び出したゴーレムを盾にしてひらりとかわしてみせる。
「逃げるだけじゃ、この俺を倒すなんて到底無理だなっ!」
「フフッ。今は避けるだけでも充分だからね。さあ来い、ゴーレムたち――!」
「――しゃらくせえ! 何度ニセモンを呼び出しても同じことなんだよおおぉっ……!」
出現と同時に数を増やしたゴーレム群に対し、クレスが怒鳴り声とともに刃を浴びせる。その極めて機敏な動作は、今までよりも格段にクオリティが高いものであった……。
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