なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し

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第42話

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『『『『『ウグァァァァッ――!』』』』』

「――これで終わりだっ……!」

 ゴーレムたちの悲鳴を背に、一直線に飼い主のもとへ走るクレス。

 かつてラウルの相方だった彼は理解していた。ゴーレムは一度倒されると、次に召喚するまである程度の時間を要するということに。

「フフッ、さあゴーレム、おいでっ」

「な、何ぃ……!?」

 だが、クレスの読みと反して直後にゴーレムが再び召喚され、今まで通り盾になっている間に回避されてしまうことに。

「……しょ、召喚するのに間がない、だと……?」

「ん? そうじゃないよ。僕が召喚したのは既に呼び出してるゴーレムで、君が一発で仕留めきれてないだけじゃ?」

「なっ……。そ、そんなわけが……今までで最高の一撃だったはず……」

「ほらほら、今は戦闘中だよ? ショックを受けてる場合なのかなあ?」

「くっ――?」

『『『『『――ウゴオォォッ……』』』』』

 残っていた一体のゴーレムが一気に増殖し、機敏な動きでクレスに襲い掛かる。

「こ、このおぉぉっ!」

 クレスの大鎌が閃くが、周囲を囲んでいたゴーレムは生き残っており、二回目の攻撃でようやく倒すことができた。

 その際、彼は驚きと苦痛が入り混じったような、そんな複雑そうな表情を自身の手元に向けていた。

「どうしたの? いつもより硬いから手が痺れちゃったかな?」

「こ、これは、一体どういう――はっ……」

「フフッ。ようやく気付いたようだね」

「……まさか、このゴーレムどもは、戦うたびに強くなってるっていうのかよ……?」

「うん、そういうこと。ゴーレムは元々戦闘面における学習能力が高くて、それは高いレベルで変異種に受け継がれてるんだよ」

「……ってことは、本体の変異種ゴーレムを呼び出さなくても、紛いものを呼び出して増やしつつ延々と戦わせるだけでいいってわけかよ……」

「すごーい。よくわかったねえ。これで、ラウルがいない間に僕がこうして時間稼ぎをしている理由も理解できたかな?」

「……よくわかった。だが、甘いな……」

「へ? まだそんなことが言える余裕があるんだ? それとも、頼みのラウルが来るまで辛抱すればいいって考えてるのかな? それなら君の見込みのほうがずっと甘いと思うんだけど」

「バカだな。他力本願とか、そんなんじゃねーよ。俺の真の力、味わってみるか?」

 クレスはおどけたように舌を出しながら笑ってみせる。

「ふーん、今になって本気を出すんだ? 変なの。どうせハッタリだろうけど。さあ行け、ゴーレム、とどめを刺してやれっ!」

『『『『『ウゴオォォッ……』』』』』

 今まで通り、ゴーレムが一体出現するとすぐに増殖していったが、クレスへと向かっていくスピードは見るからに上がっていた。

「「「「クレスッ……!?」」」」

 ダリアたちから悲鳴に近い声が上がる中、ゴーレム群があっという間にクレスを取り囲んだ。

「フフッ。これで終わり――」

「――はあぁぁっ……!」

「…………」

 切り裂くような掛け声と同時、青年の目が見開かれる。クレスは一瞬でゴーレムたちを撃破していたからだ。

「ふう……。今度はちゃんと倒せたみてぇだな。てめえの作ったガラクタが戦えば戦うほど強化されるっていうなら、この俺は逆境になればなるほど強くなるってわけよ……」

 いつもの軽妙な口調だったが、クレスの眼に光はなく、一種異様な空気に包まれていた。

「クレス様、ようやく本当の力を出されたのですね……」

「「「「えっ……?」」」」

 突如として受付嬢のイリスから飛び出した台詞に、ダリアたちが揃ってきょとんとした顔になる。

「あの超然とした佇まいを見てください。かつてクレス様が死神という異名で呼ばれていたのも納得ですよね? なので、そう簡単にやられてしまうようなお方ではないんですよ」

「「「「なるほど……」」」」

「ただ、あの姿になると体に物凄い負担がかかるそうなんです。それだけが心配ですね」

 イリスは祈るように両手を合わせ、天を仰いだ。

(それを私に教えてくださったのは、クレス様の相方であるラウル様でしたね。どうか、なるべく早くここへいらしてください……)
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