32 / 78
新しい街
10
しおりを挟む「なんだったんだ今の」
気がつくとライドが俺のそばにいた。どうやら冒険者登録がすんだようだ。
「あれはCランクで構成されてる白銀の獅子って名前のチームだよ。実力はあるんだけど気性が荒くてね。ちょっとうちでも手を焼いてるんだ」
俺たちの声が聞こえたのかキースさんが説明をしてくれる。チームなんてあったのか。それも今度教えてもらおう。
「一緒にいた小さな女の子は?」
俺よりも小さい彼女が冒険者ってことはないだろう。それに鎖もしていたし。
俺の言葉にキースさんはどこが答えにくそうだ。
「あれは奴隷だよ。先月ぐらいから連れ回していて買ったんだとクイナさんに説明してたから」
クイナさんとは先程の受付さんだな。切れ長の目の綺麗な女の人だ。
それより奴隷か。本当にいるんだな。でも俺よりも小さい子だったよな。なにかあったんだろうか。
「この街では奴隷の売買は禁止されてるけど連れ込むのは所有者の自由だからね。あんな小さい子を連れてるのは珍しいけど」
「やっぱり珍しいんですね」
「奴隷は犯罪を犯したり、借金されてる人が主だからね。たまに違法で奴隷にされる人もいるけど」
なんだか奴隷は闇が深そうだ。俺が関わることはないだろう。それに俺が関わったところで何も出来ないしな。あの女の子のことは気になるけど忘れるのが1番だ。
「それよりソラくんとライドくんは依頼受けるの?」
「今日はやることがあるのでやめておきます」
「ソラが行かないなら俺もやめとく。明日ここに集合でいいか?」
「うん。そうしよう。じゃあキースさんもまた明日」
「待ってるよ」
キースさんとライドと別れると市場に向かった。神様たちに渡す物を調達しにきたのだ。グーフ神は甘いものと…他はお酒とご飯だったかな?
市場で合わせて金貨1枚程の食料とお酒を買うとアイテムボックスに収納する。甘いものは地球の物が好きだったから創造のスキルで作ることにしよう。
俺は宿に戻りご飯の時間まで休むことをマーサさんに伝えると自室にこもった。
「今回は何を作ろうかな。んー…シュークリームでいいか」
頭の中でシュークリームの作り方などを探す。イメージとしてはパソコンだ。よくある〇〇〇〇先生を使って調べている感じだ。
頭の中で調べたシュークリムの原材料や作り方を思い浮かべながらシュークリームを作る。
「これぐらいでいいかな」
20個ほどシュークリームを作るとアイテムボックスから神様に貰った布を取り出す。
広げた布の上に買ったものを置いておく。
次の瞬間置いたものが消えてしまった。これで神様の所に送れたんだろうか?
まぁ消えたし大丈夫なんだろう。俺は布を畳むとアイテムボックスの中に仕舞った。
窓から外を見るとまだ空はオレンジがかっておりまだ食事まで時間が開きそうだ。この世界にも時計はあるがそこそこ高級品であり、一般家庭に置いてあることは少ない。時計を作れる職人が少なく希少なんだそうだ。
俺の創造のスキルで作れるのだが高級品を持っていることで変に絡まれても嫌だし、これまでも困ったことは無いから作ってこなかった。
「またなにか魔法でも作ろうかな」
最近の暇潰しだ。以前はスキルのレベルのレベル上げのために色々と鑑定したり創造でものを作ったりした。しかしレベルが最大になってからは誰彼構わず鑑定をするのをやめた。創造は必要に応じて使うけど前みたいになんでもというわけではなくなった。
そんなことで以前みたいに時間を潰すことの出来なくなった俺が考えたのが創造魔法だ。マジックバスやお湯を出したりする生活魔法や、睡眠や麻痺など狩りに使える魔法などを作ってる。もしかして闇魔法にあるのかもしれないが、村では勉強も練習もすることが出来なかったので分からない。
「ここに図書館があれば行ってみるのもいいな」
いい暇つぶしになりそうだし。風と聖魔法以外もそろそろと本格的に練習したい。あとで地図に図書館がないか確認しよう。あとキースさんにも聞いてみよう。
それよりも今は創造魔法だ。創造のスキルが最大になってはいるけど簡単に魔法は作れない。
もともとある魔法を組み合わせるだけならそんなに難しくはないけど、まったく新しい魔法を作ろうとするとどんな魔法にするのか、効果は、範囲は、呪文はなど詳しく考えないと駄目なのだ。
生活魔法はもともとある魔法の応用だからそこまで難しくなくスキルレベルが低くても作れたけど、隠蔽魔法は難しかった。中々創造することができなくて、魔法が出来るまで1ヶ月程かかった。できた時は本当に嬉しかったなぁ…。
「ってなに感傷に浸ってんだ」
今は魔法の事だ。何を作ろうか。明日は2人で依頼を受けるし依頼に使えるやつがいいよな。この間ライドを助けた時に思ったことは温度かな。今は過ごしやすい季節だからいいけど、雪が降る季節だったら野営は厳しくなる。そんな時に気温を調節できる魔法があれば嬉しい。
「エアコンみたいな魔法にすればいいかな」
暖かい風と冷たい風を出せばいいよな。風魔法を使うのと、火と水魔法を混ぜたら出来そうだな。
集中して魔法を考えているといつの間にか食事の時間となっており、サリアちゃんが呼びにきていたのに気付かず怒られてしまった。
76
あなたにおすすめの小説
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
魔法学校の落ちこぼれ
梨香
ファンタジー
昔、偉大な魔法使いがいた。シラス王国の危機に突然現れて、強力な魔法で国を救った。アシュレイという青年は国王の懇願で十数年を首都で過ごしたが、忽然と姿を消した。数人の弟子が、残された魔法書を基にアシュレイ魔法学校を創立した。それから300年後、貧しい農村の少年フィンは、税金が払えず家を追い出されそうになる。フィンはアシュレイ魔法学校の入学試験の巡回が来るのを知る。「魔法学校に入学できたら、家族は家を追い出されない」魔法使いの素質のある子供を発掘しようと、マキシム王は魔法学校に入学した生徒の家族には免税特権を与えていたのだ。フィンは一か八かで受験する。ギリギリの成績で合格したフィンは「落ちこぼれ」と一部の貴族から馬鹿にされる。
しかし、何人か友人もできて、頑張って魔法学校で勉強に励む。
『落ちこぼれ』と馬鹿にされていたフィンの成長物語です。
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
司書ですが、何か?
みつまめ つぼみ
ファンタジー
16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。
ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。
桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる