女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜

流雲青人

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ルイスとアリアの告白を目撃して、一週間が経った。
学園は長期休暇に入っていた。
しかし


「お嬢様。ご気分の方は如何ですか?」

「もうすっかり良くなったわ。心配をかけてごめんなさい」

「謝る必要などありませんよ。ただ…旦那様が帰ってこられたら顔を見せて差し上げてください。お嬢様が寝込んでからの旦那様は見るに堪えない程の変貌ぶりでしたので」


あの日、顔色が真っ青だったプレセアは教師に心配され、早退した。
それからなんと高熱を出し、一週間寝込んでしまっていた。

専属の侍女、リサは今年で六十歳になるベテランの侍女だ。
そして幼い頃に母を亡くしたプレセアにとっては、母のような存在でもあった。

一口サイズに切られたフルーツが盛られた皿を受け取る。
まだ食欲は湧かないが、何故かフルーツだけはスルスルと喉を通るのだ。


「それと、ルカ坊ちゃまとディシア様が今夜いらっしゃるそうですよ」

「お兄様とディシア様が? 仕事の筈じゃなかった?」

「因みにプレセアお嬢様が寝込まれて以来、毎日いらっしゃていますよ」

「し、心配しすぎよ! って……もしかしてこの花や果物。ぞれからあの本の山は全部兄様とディシア様からなの?」


プレセアは部屋の片隅に山のように積まれたお見舞いの品と思われる品々を見て尋ねる。


「旦那様からもありますよ」

「まぁ、あるとは思っていたけど……」


父親も兄も、そして兄の婚約者もプレセアの事を溺愛している。
度過ぎているのでは? と思うことは多々あったが、それでも、こんな・・・自分を愛し、愛情を注いでくれる彼らに感謝の気持ちと愛おしさの方が勝ってしまった。

お見舞いの品の山を見つめ、プレセアは思う。


__私は何を期待しているんだろう。


一週間も寝込んでいた。
最後の学校にも通えていなかった。

そんな私を心配して、お見舞いに来てくれたんじゃないか。
会いに来なくても、何か……何かを贈ってくれたりしたのではないか。


「そう言えば、ルイス様からお手紙が届いていましたよ」

「!? み、見せて!」

「そう仰ると思って持ってまいりましたよ」


リサから封筒を受け取り、プレセアは直ぐ様手紙に目を通した。

リサはその様子を微笑ましそうに見つめていた。
プレセアが彼女を母の様に慕っているのに対し、彼女もまたプレセアを本当の娘の様に可愛がっている。

恋する乙女の表情を浮かべ、ルイスの話を楽しそうにするプレセアがリサは大好きだった。
だから、今回もそんな笑顔が見られるのだと疑いはしなかった。

しかし、一気に顔が真っ青になったプレセアを、リサは見逃さなかった。


「お嬢様。如何なさいました?」

「な、なんで?」

「顔色がとても悪いですよ。一週間前と同じくらい」


プレセアは息を呑む。
そんなに顔に出てしまっていただろうか。
プレセアは何とか笑みを作り、答える。


「そ、そう? あと、明日ルイスの所に行くから身支度と馬車の用意をお願いできる?」

「それは構いませんが、急用ですか?」

「えぇ。……大切な話があるみたい」


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