妄想女医・藍原香織の診察室

Piggy

文字の大きさ
61 / 309
恋愛編

3話【daily work】大橋 潤也 21歳:お見舞い(大橋編)

しおりを挟む
 新條のお見舞いに行ったら、先客がいた。背が小さい女医と、背の高い男の医者。横顔を見ると……

「あ、藍原先生?」

 うひゃ、やっぱりそうだ。2回しか会ってないけど、しかも2回目は酔っ払っててろくに顔も見てなかったけど、そうだ。で、隣のこの、男ですら嫉妬してしまいそうなほどのイケメンは誰だ? 藍原先生の部下かな? ん? ネームプレートにあるのは……岡林、幸太郎……。岡林? 岡林って、確か……楓さんの……。

 そうとう酔っ払ってたけど、楓さんに関することなら全部覚えてる! そうか、こいつだったのか、楓さんを泣かせたやつは! こいつのせいで、楓さんが傷ついて! そのせいで楓さん、やけ酒して、酒の勢いで俺のチンコをいじりだして、そのままヤッちまって……そうか、そのおかげで俺は楓さんとヤレたわけか。じゃあこいつは、俺の恩人になるのか? なんかムナクソ悪いぞ、こいつが楓さんを振ったのは事実なわけで、しかもそれが、こんな非の打ち所がないほどのイケメンで、背も高くて、しかも医者だろ? クソモテるんだろうな、マジむかつく。しかも何、この爽やかそうな雰囲気。余裕ブチかましてんじゃねえよ、どうせ努力しなくても勝手に女が寄ってくるんだろ、選び放題でいいよなあ。どうせ楓さんのことだって、寄ってくるめんどくせぇ女のひとりだと思ってたんだろ。ふざけんなよ、楓さんみたいな可愛い女の人はな、おまえみたいなスカした野郎にはもったいねえんだよ――

「……大橋。おい、大橋」
「んだよ、うるせーな」
「おまえ、顔怖いよ」
「あ?」
「もう先生出ていったよ」
「あ? ……ああ、感じわりぃよな」
「感じ悪いの、おまえだよ。何ガン飛ばしてんだよ」

 くそ、なんで新條にまで。

「授業ノート持ってきてやってんだぞ、説教すんなよ」
「悪い」
「ったく、おまえ、つくづくだせぇよな。またチンコにチューブ入れられたの?」
「入れられてねーよ! 今度は胸。胸に入れられたの」

 ああ、ホントだ。なんか、すげぇ太い管が入ってるぞ。まじ痛そう。

「おまえから電話があったときは、マジでびびったわ。死にかけたなんて大げさだと思ってたけど、藍原先生が救急車呼んだんだって? おまえもう、藍原先生には頭あがんねえな。先生が自分の病院に運べっていったらしいじゃん」
「そうなの?」
「おお、看護師がいってたぜ。藍原先生が居合わせて、すぐここの救命に運ばれたから助かったんだって。病院たらい回しにされてたら、死んでたらしいよ、おまえ」
「そうなのか……」
「……そうか、看護師といえば」

 楓さん、看護師だったよな。で、藍原先生と仲良しなんだよな。ってことはさ、楓さん、ここのナースってことだよな?

「……おまえ、楓さんがどこの病棟か知ってる?」
「知るわけねーじゃん。……おまえ、もしかして」
「ちょっとさ、連絡先ゲットしに、探してこようかな」
「やめろよおまえ、迷惑だろ? おまえと違って、楓さんはなかったことにしたいと思うぜ? それどころか、おまえの顔だって覚えてないかも」
「だからさ、俺から行くわけじゃん。いやー新條、おまえ、ここに入院してくれてありがとよ。グッジョブ!」
「でも、どの病棟かわからないだろ。個人情報だから、聞いても誰も教えてくれないと思うぜ」
「藍原先生は、内科だろ? だったら、内科の病棟にいるだろ。ちょっと行ってくるわ。お大事にな。……あ、そうそう」

 いけねえ、忘れるところだった。

「おまえんちに着替え取りに入ったら、なんか、梨が大量に落ちてたぞ?」
「梨?」
「おう。傷みそうだったから、ちょっと持ってきた。お見舞いってことで、受け取ってよ」
「お見舞いって……そもそも俺んちにあったもんだろ」
「そうだけど。文句いうなよ」
「……ありがとう」
「じゃな!」

 さてさて、新條は思ったより元気だったからほっといて、俺は内科病棟を探す。個人情報は教えてくれなくても、病棟ならみんな親切に教えてくれる。
 4階中央病棟に着くと、俺はドキドキしながらナースステーションを観察した。楓さんは、いないみたい。

「ご面会ですか?」

 ナースのひとりが声をかけてきた。やべえ、言い訳用意するの忘れてた!

「あっ、いえ、えっと、看護師の佐々木さん、いますか?」

 この際聞いてしまえ!

「佐々木ですか? いますけど、今はたぶん検温で病棟を回ってますね。呼びましょうか? お名前は?」
「えっ、あっ、いえ、大丈夫です……」

 うわ、俺の意気地なし……。呼び出してもらって、連絡先聞いて、お近づきになろうと思ってたのに、ビビッちまった。こんなチャンス二度とないかもしれないのに……。
 仕方ない、新條がいる間に毎日お見舞いに来て、楓さんと偶然会うチャンスをうかがうか……。
しおりを挟む
感想 154

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...