137 / 309
迷走編
15話【off duty】新條 浩平:「妄想だけじゃなくてさ……」(新條編)②
しおりを挟む
「え」
藍原先生の手が、俺の手首を掴んでた。ものすごい真っ赤な顔で、泣きそうな目で俺を見てる。え、待ってって、マジのやつ? 本当に嫌なの?
「せ、先生……」
ちょっと待てよ、あんなにキモチよさそうにして、あんなにソッコーイッて、ここで終わりは、ないよね?
「し、新條くんっ、やっぱりちょっと、まだっ、その……っ」
まさか。ひょっとして、俺が一番恐れてたやつ……?
「……先生、俺のこと……そういうふうに、見れない?」
体は感じるけど、好きとは違う、ってことかな。俺、急ぎ過ぎた?
「ち、違うの、そうじゃなくて……」
あ、じゃあ、あれか?
「今、生理?」
「ち、違う……」
じゃあなんだ? も、もしかして……。
「ひょっとして先生……初めて?」
先生は一層真っ赤になって首を振った。
「えっと、そういうわけでも、なくて……。あの、でも、その……こ、怖いの」
目に涙を溜めて、先生がそういった。
「え? ……大丈夫だよ、先生あんなに感じてたし、そのまま、先生は何もしなくていいからさ、俺、先生が嫌がるようなことは絶対しないから」
「ち、違うのッ!」
先生がきゅっと体を縮こまらせた。
「あ、あたし、すごくキモチよくなっちゃって……、こ、これ以上したら、おかしくなっちゃうから、ダメなの」
「それでいいんだよ。俺、エロい先生が見たいんだから。いくらおかしくなったって、全然いいよ。むしろ大歓迎」
それでも藍原先生はふるふると首を振った。
「やなの、あたし、新條くんに、嫌われたくないから……!」
まただ。こないだと同じだ。自分はドエロの変態だから、絶対俺に引かれるって、思い込んでるんだ。どうしてこれほど頑なに、思い込むんだろう? せっかくここまで来たのに、まだ先生は、完全には俺に心を許したわけじゃなかったんだ。
……何だかすごく寂しい気持ちになったけど、仕方ない。無理やりやるわけにはいかないし。でも、どうしても納得できない。
「……ねえ、先生。どうしてそんなに自分はエロいって思い込んでるの? 全然そんなことないのに。ていうか、エロい先生、すごく綺麗で、俺、大好きなのに」
「でも、怖いの。そんなこといって、最後までしたら、やっぱり新條くん、あたしのこと好きじゃなくなると思う。絶対そうだ、前もそうだったし……っ」
え? 前って? ……ひょっとして先生、昔、そういう経験があったのかな? 好きでセックスした彼氏に、何かひどいこといわれたり、したのかな……?
「……ねえ、俺は先生の昔の彼氏とは違うよ。信じてよ」
でも先生は返事をしてくれなくて、かわりにしくしく泣き始めた。
「……新條くんに、嫌われたくない。し、下着の上からでもあんなにキモチよくて、も、直接触られたら、絶対ダメ……触ってほしいけど、でも、怖い」
なんだよそれ、どうしてそうなるんだよ? 触ってほしいなら、そのまま触られてキモチよくなっちゃえばいいじゃん。先生の前の彼氏、いったい先生に何したんだよ? 何したら、こんなになっちゃうんだよ。妄想大好きで、えっち大好きのはずなのに、本番は怖くてできないなんて、どんな拷問だよ。
何だか、先生をこんなにした前の彼氏(だと思う)にすげぇムカついてきた。それと同時に、絶対俺が何とかしてやる、って気持ちになる。
「……先生、泣かないで」
俺はそっと藍原先生を抱きしめた。先生がそのまま俺の胸に顔をうずめる。これくらいなら、逃げないんだな。
「ねえ先生、じゃあさ、こうしよ? 先生はこれから、俺とリハビリだ。先生、下着の上からならキモチよかったんでしょ? 電車の中でも、すげぇ感じてたじゃん。そういうの、だんだん増やしていこうよ。どんどんエロいことしてさ、先生が、俺のこと信用できるって思ったら、最後まで、しよ? ちゃんと俺、それまで待つから。えっと、待つように努力するから。あ、努力じゃダメだよな、したいけど、先生がいいっていうまで我慢するから」
ああ俺、こんなときでも歯切れ悪いな……。我慢できないかもって本音が、隠せない……。でも俺だって、先生に嫌われたくないし。
「新條くん……ごめんね……」
ああもう、泣いてる藍原先生もこんなに可愛くて、どうすんだよ、宙ぶらりんの俺のチンコ……。
「先生、もう泣かないでよ、大丈夫だから」
そういって、もう一度先生にキスをした。キスなら、先生は拒まない。軽いキスで終わらせるつもりだったのに、先生の唇が気持ちよくて、ついまた舌を入れてしまう。
「ん……っ、んん……」
先生、体はこわばったままだけど、口は俺を受け入れて、俺の舌に応えてくれる。……ああ、やっぱりいいなあ、藍原先生とのキス。やばいな、最後までできないのわかってて、こんなムラムラするようなこと自分からしちゃって、俺、バカかも。でも……何もできないよりは、生殺しでも何かさせてくれるほうが、断然いいよな……。
ちゅっと音を立てて、先生から唇を離した。
「……ちょっと俺、これ以上自制できるかわからないから、今日はこの辺で我慢しとく……」
さっきから股間が熱くてさ、先っぽから垂れてトランクスも濡れてるし、もう、早く抜きたい。先生がいると、できないから。
「新條くん……」
藍原先生が、じっと俺を見てる。……やっと、わかってきたぞ。先生も、ホントは俺と続きがしたいんだ。すごく、物足りなそうな顔してる。でも、その先が怖いから、自分の中で戦ってるんだ。……だからか。先生、感じやすいのにいつも恥じらって、受け入れるようなそぶりを見せたと思ったら急に引いて。全部、そういうことだったんだな。俺が藍原先生との距離をうまく測れないのは、先生自身、ちょうどいい距離がわかってないからなんだ。……ああ、あと一歩なのにデキないなんて、予想以上の苦行だ。でも。藍原先生と一緒に、乗り越えてやる。元カレなんかに負けるかよ。
藍原先生の手が、俺の手首を掴んでた。ものすごい真っ赤な顔で、泣きそうな目で俺を見てる。え、待ってって、マジのやつ? 本当に嫌なの?
「せ、先生……」
ちょっと待てよ、あんなにキモチよさそうにして、あんなにソッコーイッて、ここで終わりは、ないよね?
「し、新條くんっ、やっぱりちょっと、まだっ、その……っ」
まさか。ひょっとして、俺が一番恐れてたやつ……?
「……先生、俺のこと……そういうふうに、見れない?」
体は感じるけど、好きとは違う、ってことかな。俺、急ぎ過ぎた?
「ち、違うの、そうじゃなくて……」
あ、じゃあ、あれか?
「今、生理?」
「ち、違う……」
じゃあなんだ? も、もしかして……。
「ひょっとして先生……初めて?」
先生は一層真っ赤になって首を振った。
「えっと、そういうわけでも、なくて……。あの、でも、その……こ、怖いの」
目に涙を溜めて、先生がそういった。
「え? ……大丈夫だよ、先生あんなに感じてたし、そのまま、先生は何もしなくていいからさ、俺、先生が嫌がるようなことは絶対しないから」
「ち、違うのッ!」
先生がきゅっと体を縮こまらせた。
「あ、あたし、すごくキモチよくなっちゃって……、こ、これ以上したら、おかしくなっちゃうから、ダメなの」
「それでいいんだよ。俺、エロい先生が見たいんだから。いくらおかしくなったって、全然いいよ。むしろ大歓迎」
それでも藍原先生はふるふると首を振った。
「やなの、あたし、新條くんに、嫌われたくないから……!」
まただ。こないだと同じだ。自分はドエロの変態だから、絶対俺に引かれるって、思い込んでるんだ。どうしてこれほど頑なに、思い込むんだろう? せっかくここまで来たのに、まだ先生は、完全には俺に心を許したわけじゃなかったんだ。
……何だかすごく寂しい気持ちになったけど、仕方ない。無理やりやるわけにはいかないし。でも、どうしても納得できない。
「……ねえ、先生。どうしてそんなに自分はエロいって思い込んでるの? 全然そんなことないのに。ていうか、エロい先生、すごく綺麗で、俺、大好きなのに」
「でも、怖いの。そんなこといって、最後までしたら、やっぱり新條くん、あたしのこと好きじゃなくなると思う。絶対そうだ、前もそうだったし……っ」
え? 前って? ……ひょっとして先生、昔、そういう経験があったのかな? 好きでセックスした彼氏に、何かひどいこといわれたり、したのかな……?
「……ねえ、俺は先生の昔の彼氏とは違うよ。信じてよ」
でも先生は返事をしてくれなくて、かわりにしくしく泣き始めた。
「……新條くんに、嫌われたくない。し、下着の上からでもあんなにキモチよくて、も、直接触られたら、絶対ダメ……触ってほしいけど、でも、怖い」
なんだよそれ、どうしてそうなるんだよ? 触ってほしいなら、そのまま触られてキモチよくなっちゃえばいいじゃん。先生の前の彼氏、いったい先生に何したんだよ? 何したら、こんなになっちゃうんだよ。妄想大好きで、えっち大好きのはずなのに、本番は怖くてできないなんて、どんな拷問だよ。
何だか、先生をこんなにした前の彼氏(だと思う)にすげぇムカついてきた。それと同時に、絶対俺が何とかしてやる、って気持ちになる。
「……先生、泣かないで」
俺はそっと藍原先生を抱きしめた。先生がそのまま俺の胸に顔をうずめる。これくらいなら、逃げないんだな。
「ねえ先生、じゃあさ、こうしよ? 先生はこれから、俺とリハビリだ。先生、下着の上からならキモチよかったんでしょ? 電車の中でも、すげぇ感じてたじゃん。そういうの、だんだん増やしていこうよ。どんどんエロいことしてさ、先生が、俺のこと信用できるって思ったら、最後まで、しよ? ちゃんと俺、それまで待つから。えっと、待つように努力するから。あ、努力じゃダメだよな、したいけど、先生がいいっていうまで我慢するから」
ああ俺、こんなときでも歯切れ悪いな……。我慢できないかもって本音が、隠せない……。でも俺だって、先生に嫌われたくないし。
「新條くん……ごめんね……」
ああもう、泣いてる藍原先生もこんなに可愛くて、どうすんだよ、宙ぶらりんの俺のチンコ……。
「先生、もう泣かないでよ、大丈夫だから」
そういって、もう一度先生にキスをした。キスなら、先生は拒まない。軽いキスで終わらせるつもりだったのに、先生の唇が気持ちよくて、ついまた舌を入れてしまう。
「ん……っ、んん……」
先生、体はこわばったままだけど、口は俺を受け入れて、俺の舌に応えてくれる。……ああ、やっぱりいいなあ、藍原先生とのキス。やばいな、最後までできないのわかってて、こんなムラムラするようなこと自分からしちゃって、俺、バカかも。でも……何もできないよりは、生殺しでも何かさせてくれるほうが、断然いいよな……。
ちゅっと音を立てて、先生から唇を離した。
「……ちょっと俺、これ以上自制できるかわからないから、今日はこの辺で我慢しとく……」
さっきから股間が熱くてさ、先っぽから垂れてトランクスも濡れてるし、もう、早く抜きたい。先生がいると、できないから。
「新條くん……」
藍原先生が、じっと俺を見てる。……やっと、わかってきたぞ。先生も、ホントは俺と続きがしたいんだ。すごく、物足りなそうな顔してる。でも、その先が怖いから、自分の中で戦ってるんだ。……だからか。先生、感じやすいのにいつも恥じらって、受け入れるようなそぶりを見せたと思ったら急に引いて。全部、そういうことだったんだな。俺が藍原先生との距離をうまく測れないのは、先生自身、ちょうどいい距離がわかってないからなんだ。……ああ、あと一歩なのにデキないなんて、予想以上の苦行だ。でも。藍原先生と一緒に、乗り越えてやる。元カレなんかに負けるかよ。
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる