道楽草

十三岡繁

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空気調和

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 建築設計と言えば、関係者以外はひとくくりに考える人が多いと思いますが、実は専門分野が分かれています。世間一般で一番建築家や建築士と呼ばれる職業に近いものは意匠と呼ばれています。他に何があるのかと言えば大きく三つ。構造、設備、電気です。外構設計も一分野とすれば全部で五つですね。これに加えて家具などのインテリアを別に考える場合もありますし、設備は空調設備と給排水衛生設備に分ける場合もあります。
 
 各々の分野が何を専門とするのかは前にも書いたかもしれませんが、今ここで書きたいのは空調設備についてです。なんとなく冷暖房や換気についてかなというのは予想がつくと思いますが、空調が何の略称なのかについては勘違いしている人も多いのではないでしょうか? 空調は空気調和の略です。空気調整とか空気調節だと思っている人が結構多いんじゃないかと思います。

 改めて聞いてみると空気調和っていい言葉ですよね。制御してやろうというよりは、調和させようとしているんだから印象が柔らかいです。大学生の頃に使っていた教科書の名前は『空気調和論』でした。

 ここまでは良い話ですね。この先は嘆きです。

 住宅などの小規模建物の場合、これら細分化した分野は一人の設計者(多くは意匠設計者)が計画をすることが多いですが、ちょっと規模が大きくなるとそれぞれの専門家が集まってチームを作ります。社会と同じく設計内容もどんどん複雑化しているので、一人で全てを網羅することは不可能なんです。

 ただしそれぞれが専門的過ぎて、発注者と話をするときは通訳のような役目が必要だったりします。それも意匠設計者が請け負う事が多いんです。まとめ役でもあります。ただそうなると、『話したはずなのに……』とかクライアントからの苦情は全てまとめ役の意匠設計者に降りかかってきます。ただの通訳者であれば、文句を言われることもないでしょう。本来であれば不具合は通訳した先の設計者にあるわけですから……その責任は各設計者がとるべきだとの話もあって、大型の建物であれば構造一級建築士とか設備設計一級建築士という資格者もいるわけです。

 大きければいいですが、小規模だとそんな大それたチームは組めません。結局前述の通り、意匠設計者の責任になったりします。若い人には打たれ弱い人も多いと聞きます。昨今の建築士の減少は、ここのところも原因として結構あるんじゃないかと思います。仕事は面白かったとしても、報酬と責任を比較した場合、責任の方が異常に大きすぎると感じてしまうでしょうね。

 一級建築士の合格者数の内訳を見ると、実は建築設計をやっている人は1/3しかいません……全体としての合格者数も減ってますが(そもそも受験者数が減ってます)、制度的にもう難しいのかなという感じもしています。
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