1 / 6
1、
しおりを挟む「公爵令嬢リアラ様、貴女は王太子の婚約者に相応しくありませんわ!」
「はあ──だから?」
貴族が通う高等学園の卒業パーティで。
突如、会場中心部で声高々に宣言するのは、先日聖女認定されたばかりの令嬢だ。
たしかどっかの男爵令嬢だったかな。
そんな聖女にビッと指をさされたるは、私──公爵令嬢リアナ=ローリングだ。
ポリポリと頬をかいて気のない返事をすれば、聖女の顔が一気に赤くなる。
「だ、だからですって!?だからとは何ですか、だからとは!!」
「いやだから?なんなんですか、いきなり?」
話が通じないなあ。折角の楽しいパーティが台無しじゃ無いか。いいからとっとと話、進めてくんないかなあ。
明らかに面倒くさい、と顔に書いてる私を見て一瞬ポカンとなる聖女だったけど。
ハッと我に返り、強気の笑顔を浮かべる。
「ふ、ふん、強がってられるのも今のうちですわ!貴女はもうすぐただの令嬢──いえ、令嬢ですらなくなるんですから!」
「だから?」
「だから、じゃないわよ、ムキー!!」
うわ、ムキーとか素で言う人初めて見た!居るんだ、こんな人!
ちょっと引くわあ……そう思ってそのまま、少し体を引けば。
「逃げるの!?この卑怯者!」
と、意味不明な罵りを受けてしまった。
「はあ……もう、だから?だから何なんでしょうか貴女は?いきなり失礼ではなくて?」
いくら聖女認定されたからって、公爵令嬢である私にその態度は流石に無礼だと思うんですけど。
そもそも私は彼女とまともに話をした事が無い。
貴族が通う高等学園。学園内では全ての者が平等となっている。
が、表面上はそうであっても内情は違うのが常なのが世の中だ。
特に交友関係ともなると複雑になるもので。
公爵令嬢である私は、幼い頃から仲の良かった同じ公爵令嬢や侯爵令嬢との付き合いばかりだった。
申し訳ないが……男爵令嬢とは授業以外でお話しなどした事は無い。
ましてや、クラスも違うとなれば……。
「ふん、失礼ですって?私が聖女に選ばれたのは周知の事実!聖女である私の方が貴女より上の位ですわ!」
「それは初耳です」
本当に初耳だ。なのでそう言ったら、小馬鹿にしたような笑みを浮かべて見下してきた。うわあ、醜い……。
「は!所詮は箱入りのお嬢ちゃんね、こんな有名な話も知らないなんて!」
そして口に手の甲を当て、彼女は高らかに宣言する。
「覚えておきなさい!わたくし、ローディアは先日神殿にて聖女の認定を受けたのです!わたくしこそが聖女!この国を幸せに導く者。神の代弁者と心得なさい!」
「はあ……だから?」
そこまで言っても未だ私の反応が薄い事に業を煮やしたのか、ダンッと力強く床を足で蹴り、彼女はビッと私に指をつきつけてきたのだった。
「だから!私こそが王太子の婚約者に、つまりは後の王妃──国母に相応しいという事よ!」
657
あなたにおすすめの小説
【完結】「図書館に居ましたので」で済む話でしょうに。婚約者様?
BBやっこ
恋愛
婚約者が煩いのはいつもの事ですが、場所と場合を選んでいただきたいものです。
婚約破棄の話が当事者同士で終わるわけがないし
こんな麗かなお茶会で、他の女を連れて言う事じゃないでしょうに。
この場所で貴方達の味方はいるのかしら?
【2023/7/31 24h. 9,201 pt (188位)】達成
婚約破棄を申し込まれたので、ちょっと仕返ししてみることにしました。
夢草 蝶
恋愛
婚約破棄を申し込まれた令嬢・サトレア。
しかし、その理由とその時の婚約者の物言いに腹が立ったので、ちょっと仕返ししてみることにした。
妹が公爵夫人になりたいようなので、譲ることにします。
夢草 蝶
恋愛
シスターナが帰宅すると、婚約者と妹のキスシーンに遭遇した。
どうやら、妹はシスターナが公爵夫人になることが気に入らないらしい。
すると、シスターナは快く妹に婚約者の座を譲ると言って──
本編とおまけの二話構成の予定です。
〖完結〗親友だと思っていた彼女が、私の婚約者を奪おうとしたのですが……
藍川みいな
恋愛
大好きな親友のマギーは、私のことを親友だなんて思っていなかった。私は引き立て役だと言い、私の婚約者を奪ったと告げた。
婚約者と親友をいっぺんに失い、失意のどん底だった私に、婚約者の彼から贈り物と共に手紙が届く。
その手紙を読んだ私は、婚約発表が行われる会場へと急ぐ。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
前編後編の、二話で完結になります。
小説家になろう様にも投稿しています。
短編 跡継ぎを産めない原因は私だと決めつけられていましたが、子ができないのは夫の方でした
朝陽千早
恋愛
侯爵家に嫁いで三年。
子を授からないのは私のせいだと、夫や周囲から責められてきた。
だがある日、夫は使用人が子を身籠ったと告げ、「その子を跡継ぎとして育てろ」と言い出す。
――私は静かに調べた。
夫が知らないまま目を背けてきた“事実”を、ひとつずつ確かめて。
嘘も責任も押しつけられる人生に別れを告げて、私は自分の足で、新たな道を歩き出す。
【完結】夫が私を捨てて愛人と一緒になりたいと思っているかもしれませんがそうはいきません。
マミナ
恋愛
ジョゼルは私と離婚を済ませた後、父様を説得し、働いている者達を追い出してカレンと一緒に暮らしていたが…。
「なんでこんな事になったんだ…。」
「嘘よなんでなの…。」
暮らした二人は上手くいかない事ばかりが続く。
新しい使用人が全く入って来ず、父様から急に伯爵の地位を親族の1人であるブレイルに明け渡すと告げて来たり貴族としての人脈作りは上手くいかず、付き合いのあった友人も離れていった。
生活は苦しくなり、父様に泣きついたが、頑なに援助はしないと突っぱねられたので何故そうするのかジョゼルは父様に訪ねると…。
好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った
しがついつか
恋愛
グレイキャット伯爵家の嫡男ジョージには、平民の恋人がいた。
彼女を妻にしたいと訴えるも、身分の差を理由に両親から反対される。
両親は彼の婚約者を選定中であった。
伯爵家を継ぐのだ。
伴侶が貴族の作法を知らない者では話にならない。
平民は諦めろ。
貴族らしく政略結婚を受け入れろ。
好きな人と結ばれない現実に憤る彼に、姉は言った。
「――で、彼女と結婚するために貴方はこれから何をするつもりなの?」
待ってるだけでは何も手に入らないのだから。
「そんなの聞いてない!」と元婚約者はゴネています。
音爽(ネソウ)
恋愛
「レイルア、許してくれ!俺は愛のある結婚をしたいんだ!父の……陛下にも許可は頂いている」
「はぁ」
婚約者のアシジオは流行りの恋愛歌劇に憧れて、この良縁を蹴った。
本当の身分を知らないで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる