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しおりを挟む「その通りだ!リアナ、お前は俺の婚約者に相応しくない!」
バンッと聖女ローディアの前に現れたるは……この国の第一王子で王太子であるモンディウス。彼らが説明してくれたが、私の婚約者である。
「はあ……だから?」
「だからじゃない、だからじゃ!つまりだな!」
ムカっときた顔で眉を潜めた王太子が、先ほどローディアがやったごとくビッと私に指をつきつけてきた。それって凄い失礼なことじゃない?聞きたいけど、めんどくさいから聞かないでおく。
同じく眉を潜める私に、王太子は高らかに宣言するのだった。
「公爵令嬢リアナ=ローリング!俺は今この瞬間をもって、お前との婚約を破棄する!そしてこの場にて聖女ローディアとの婚約を宣言する!!」
王太子の宣言と共に。
その場がざわつく!
シ~~~~ン……
いや、ざわつかなかった。
宣言後、なぜか無意味に前髪をかき上げてドヤ顔していた王太子は、キョトンとした顔をする。キョロキョロと周囲を見回すも、誰一人発言しない事を訝しそうに見るのだった。
「な、なんだ?どうして皆黙ってる?」
ここはザワザワするとこだろ!?
そう思ってたんだろう。不思議そうなモンディウスにローディアが腕を絡めた。
「皆さん驚き過ぎて言葉も出ないんですよ。わたくしも感動で涙出そうですわ、モンディウス様……」
「う、うむ、そうだな。いきなりすぎて皆を驚かせすぎたか。だがこれは事実である、俺はこの名に誓おう。モンディウス=ガーベルトは聖女ローディアを将来の妻として彼女と婚約する。そして永遠に愛そう!」
なんだか凄い芝居がかって大げさな身振り手振りですが……誓いは成されたようである。
この国では名前に誓うのは命を賭ける事に等しく、その誓いを破る事は死を意味するのだ。
別に死刑になったりはしない。不思議なもので、名前に誓った事を破ると、必ず死が訪れるのである。それは病死か事故死か、はたまた原因不明の突然死か。とにかく死からはどうあっても逃れられない。
そんな大事な名前への誓いをしたのだ。王太子の覚悟はかなり強いものと見える。
「まあ王太子、名前に誓うだなんて凄いですわね」
私が感心したように言うと、得意げな顔をされてしまった。なぜ。
「当然だろう。俺は次の王となる者だ。いかに此度の決断が本気か知らしめる必要があるからな!」
「ちなみにですが。理由をお聞きしてもいいかしら?」
そう質問したら、目を吊り上げて私を睨んできた。
「理由だと!?お前がそれを言うか!お前がローディアにした事を考えれば当然だろうが!」
「はあ?」
彼は一体何を言ってるのだろう?ちょっと凡人の私には異次元に在する彼の言葉の意味が理解できない。
首を傾げていれば、勝ちほかったように鼻で笑われた。うん、気持ち悪いなその顔。
「私は知ってるぞ、お前がローディアにした数々の嫌がらせを!!」
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