お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた

リオール

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「さらにさらに!」

 え、まだあるの?
 帰ろうとする私にそれを止めるモンディウス。それを尻目に、まだローディアは話を続ける。

「いつまでも学園を辞めようとしない私に業を煮やしたのか、先日……ついに!」
「ついに!?」

 涙どこ行った。
 パッと乾いた顔を上げ、右手を胸に左手を天に伸ばすローディア。それに合いの手を入れるはモンディウス。

 いいコンビですね。

「ついに、階段から突き落とすという暴挙に出られました!」
「おおお、なんということだああ!!!!」

 言い終えた二人は、その場でゼーゼー荒くなった息によって肩を揺らしながら、私を見た。

 そして二人揃って、ビッと私に指をつきつけてきたのだ。何それ流行らしたいの?

「以上だ、公爵令嬢リアナ=ローリング!このような悪逆非道な行い、神も王家も許さぬ!よってお前は今日より公爵令嬢ではない、ただのリアナとして生きていけ!これは命令だ!!」
「──だから?」
「へ?」
「だから、なんなの?」

 自分でもこんな冷たい声が出せるとは思わなかった。そんな冷え切った声で、目で。私は二人を見て、そして会場中に視線をグルリと巡らした。

「──皆さま。私はこれからただのリアナとして生きていきます。王太子妃、更には後の王妃の予定だった公爵令嬢リアナ=ローリングはもう何処にもおりません、宜しく~」

 そう言って、私は軽く会釈をして。

 その場を後にしたのだった。

「待てリアナ!潔く去るのは褒めてやる!だが出ていく前にローディアに謝れ!」
「────は?」

 扉に向かって動いていた足を、私は一度止める。振り返った先にはなぜか蒼白の顔のモンディウス。
 だがひるみつつも、彼は声を絞り出す。

「だ、だから、ローディアに……」
「何を?」
「え?」
「何を謝れと?」

 冷たい、冷たい声で言えば。

 モンディウスはそれ以上何も言えなくなったようで、その場で立ち尽くす。

 けれどローディアはひるまなかった。

「酷いですわ、リアナ様!あんなに私の事を虐めたのに!」
「だから?」

 虐めたから、何?

 そう問えばローディアも一瞬言葉に詰まる。が、彼女はモンディウスのように怯むことはなかった。

「謝って下さい!貴女も元は公爵令嬢。それくらいしてから去るのが礼儀というものでしょう!?」
「礼儀って……」
「私は本当に恐くて悲しかったんです!」

 その言葉に、完全に私の心は冷えた。

 だから、今日一番の氷の声と目で、ローディアに言うのだった。




「だから?」




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