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6、
しおりを挟む長く伸びた爪でその頬を撫でる。ピッと小さく切れて流れ出る血にウットリする。
絶望に満ちたその目を見る私は、きっと恍惚とした顔をしてることだろう。
そして、この場に集いし魔族たちも──。
なぜかモンディウスまで美味しそうに舌なめずりしてるのには理解に苦しむけど。
「もうこうなってしまっては、通例通りにするしかないわね。公爵令嬢リアナ=ローリングはもう居ない。今ここに居るのは闇の聖女──光の聖女である貴女を死ぬまで苦しめてあげる」
「ひ!」
光の聖女は、闇の聖女にとっては何よりの馳走となるだけ。ただの生贄としてしか存在意義はない。
「どうしましょうか?死ぬまでゴブリンやオークに犯させようか?それとも手足を少しずつもいであげましょうか?それとも……」
「い、いや、やめてええ!!」
恐怖のあまり涙を流し涎を垂らし、そして下からも漏らす様に。
私はこらえきれなくなって大きな声で笑うのだった。
「ああ、そう言えば」
どうにか笑いを抑え、思い出したように私はモンディウスを見る。
「!?」
「あなた、先ほど誓いましたよね?光の聖女を永遠に愛するって」
「そ、それは!」
「あら、誓いを破る気ですか?死んでしまいますよ?」
まあ……すぐに死んだ方がマシだと思うだろうけど。
「貴方は彼女と一緒に居させてあげましょう。そして永遠に二人して苦しませてあげます」
「な!それは!お前が闇の聖女と知らなかったから!」
「お前?」
「い、いや、貴女が!闇の聖女だなんて聞いてない!」
まあそうだろう。
言っては面白くない。
「俺は知らなかったのだから!」
「だから?」
「え?」
「知らなかったから。だから何?」
知らなければ他の女に鞍替えして良いとでも思ってるのだろうか?
「お、俺は王太子だぞ!」
「心配しなくても優秀な弟君がいるわ」
そう言ってその腕を掴み。
ニッコリと微笑めば。
ローディア同様、その場にへたり込んでしまったのだった。
兵を呼び、ローディアとモンディウスを連れて行かせた。行先は当然拷問部屋だ。
私から王太子を奪い。自分は誰からも大切にされる聖女だと、信じて疑わなかった馬鹿な女と。
婚約者が居ながら他の女に心変わりした男と。
そして闇の聖女である私と。
さあ、楽しく仲良くすごしましょう。
楽しい、惨劇という喜劇を開幕いたしましょう。
そんな、これから始まる血のパーティに、心躍らせる私に向かって。
二人は叫んだ。
「わ、私は光の聖女よ!?」
「俺は王子だぞ!?」
顔面蒼白で叫ぶ二人。
私は美しいと皆から賞賛されたどす黒い笑みを向けて、言ったのだった。
「だから?」
~fin.~
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闇の巫女...ワードにキュンです🎵
お返事遅くなり申し訳ありません。だから?って言われるとホント凹みますね。闇なキャラは楽しい(笑
面白かったし楽しかったです。「聖女」モノだったので人族だと思い込んでたからビックリした(╹◡╹)
楽しませてくれてありがとうございました。
ありがとうございます!ふと思いついて書いたのですが、楽しんで貰えて嬉しいです(^-^)