美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん

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日常編

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 突然のエリアストの登場に、令嬢たちが倒れる。何とか倒れずに済んだ令嬢たちも、目が、目があ、と目を押さえて膝をついている。
 「エリア――」
 懲りずに名を呼ぼうとした子女の口を、片手で両頬を握るように護衛が押さえた。バスターチェ伯爵夫人は、護衛の行動にギョッとする。そして娘の言動には眩暈がした。
 もしかして、ディレイガルド公爵を名前で呼ぼうとしたのか。そこまで愚かであったか。
 バスターチェ夫人は痛みを覚える頭を押さえた。
 「我があるじを呼ぶときは、ディレイガルド公爵様、ですよ」
 掴んだ手がミシミシと骨を軋ませる。冷たい双眸が子女を見る。本来であれば、危害を加えられそうになったわけでもないのに、護衛が貴族に触れるなどあり得ない。して顔。けれど、バスターチェ夫人は元より、エリアストが何も言わないのだ。ディレイガルドが容認してることに、誰が異を唱えることが出来よう。
 「ご理解いただけましたか」
 護衛の言葉に、子女はコクコクと頷く。それを見て護衛は手を離す。子女はへなへなとその場に座り込んだ。
 「何があった」
 「そちらのご令嬢が、あるじに相応しいのは奥方様ではなく自分だと喚いていたものですから」
 アリスに代わって護衛が答えた。アリスはストレートな物言いに、少し困ったように笑う。
 「ほう。エルシィ、どこの家の者だ」
 座り込む子女には一瞥もくれることなく、アリスを引き寄せながら尋ねる。
 「バスターチェ伯爵家ですわ」
 「バスターチェ?夫人のみの参加ではなかったか」
 茶会に参加する者のリストはすべて把握しているエリアスト。子女の隣に立つバスターチェ夫人を一瞥すると、その体が遠目で見てもわかるほどに震えた。バスターチェ夫人は自身を奮い立たせる。エリアストに頭を下げ、自分の愚かな過ちを告白し、謝罪をした。
 「申し訳ございません、急遽娘も参加させていただくよう無理を通しました。それだと言うのに、そのせいで公爵夫人様に不快な思いをさせました。どのような罰でもお受けする覚悟にございます」
 そこでエリアストはやっと、座り込む子女に視線をやる。子女は視線が合うと、頬を染め、嬉しそうに微笑んだ。万人が、その子女を美しいと褒め称えるだろう。しかし、残念ながら相手はエリアスト。すぐに視線をアリスに向け、
 「あれか?あれの何が私に相応しいと言うんだ」
 母親の覚悟もわからず、自分の罪もわからない。くだらない自尊心ばかりを増長させ、すべて自分の思い通りになると勘違いをした、思い上がりも甚だしい娘。そんなものが、私に相応しいと言うのか。
 不快感を隠そうともしないエリアストに、アリスは困ったように眉を下げる。
 その言葉に、バスターチェ嬢は驚きを隠せない。
 「自分は美しいから、主の隣に並ぶのに遜色ないと」
 またも護衛が答える。その返答に、エリアストの周囲の温度が下がった。


*つづく*
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