美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん

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リカリエット王国編

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―三日前―

 「ここ数年でね、帝国の東側の国で貴族が行方不明になっているんだって」
 ララたちが式典の前にディレイガルド邸を訪れた日のことだ。ララがそんなことを言い出した。
 「ああ、そのような話が出ているな」
 エリアストは噂程度には知っていると応えた。レイガードやクロバレイスとは離れすぎているため、噂程度の情報しか入ってこないことは、仕方がないことと言える。
 「帝国でもそのような話があるようだ。貴族が狙われているなど醜聞でしかない。各国隠そうと必死だ。不思議とリカリエットは被害がないようだ」
 なぜだろうな、とエリアストは口の端を上げた。
 「え、何、帝国でも出ていたんだ。で、リカリエットにはないって?何その情報網。ホント怖いんですけど。え、犯人を知っているような発言も気になるんですけど」
 身を乗り出すララを、アイザックが落ち着かせる。
 「証拠がない。簡単な状況を知ることしか出来ていない。情報としては価値が低い」
 簡単な・・・情報をどう手に入れたんだ。帝国でも消えていると言うことは、帝国だって調べているはず。それでも犯人は捕まっていない。さらに言えば、各国隠そうとしていると言うことは、帝国だって例外ではない。それなのに、国が、帝国が隠そうとしている情報を手に入れていることがヤバすぎる。
 「いやいやいやいや、噂程度に知っているどころじゃないでしょ。リカリエットが怪しいってこと?」
 「まず黒だな」
 エリアストは何でもないことのように、犯人を特定している。
 えーと。それで情報の価値、低いの?
 「うええ?被害がないから?」
 帝国が手を焼いている事件に、犯人に辿り着いていることが怖い。
 「正確には、リカリエットは被害があると装っている・・・・・・・・・・・
 そんな内部情報まで持っているのか。あれ程遠く離れた国だというのに。と言うより、本当に噂程度に知っているどころではないではないか。
 世界中の国家機密、ディレイガルドにバレてんじゃね?
 そう思って当然だった。
 「エルシィ、何度も言うが、式典では充分警戒してくれ。私から離れることは絶対にダメだ」
 そんなやからがいる場所にアリスを連れて行くなんて、気が狂いそうだ。式典自体を無くすために、ディアンを葬ろうと一旦本気で考えた。しかし、そのディアンといくつか取引をした。だから、ディレイガルド総動員で、絶対にアリスを危ない目に遭わせない。いつ人攫いの魔の手がアリスに向くとも知れない。ならば、ここで決着を付けてしまおうと、エリアストは断腸の思いで出席を決めた。リカリエット如きに遅れなど取らない。だが心配どころではないことはどうしようもない。頭に、額に、頬に、顔中にくちづけながら、エリアストは心配でたまらないなんてものではないと溜め息を零す。
 相変わらずの溺愛に、ララたちは顔を赤くしながらそっと視線を逸らす。
 「まあそんなことが出来るのは限られてくる。だが、一族絡みか単独か。絞り切れていないのが現状だ」
 「全然、簡単な情報じゃないよ、ディレイガルド」
 ララとアイザックは、ディレイガルドの片鱗を見た気がした。

 こうして始まる、夜会での断罪劇。
 すべては、張り巡らされた糸の中で起きたこと。


*つづく*
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