美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん

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リカリエット王国編

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 「エルシィ、怪我はないか」
 控え室にて。護衛に服などすべて一新され、アリスを抱き締めると、護衛たちはそっと部屋を後にする。
 大変なのは自分であるにも関わらず、いつもエリアストは一番にアリスの体を気遣う。その思い遣りに、いつも泣きそうになる。
 「はい。旦那様がわたくしを守ってくださいましたもの。いつも、守ってくださいますもの」
 微笑むアリスの頬に、一筋、涙が流れた。
 「エルシィッ?!すまない、すまない、嫌なものを見せた。すまな」
 アリスがエリアストを抱き締める腕に力を込める。エリアストは目を丸くした。
 「ごめんなさい、ごめんなさい、エル様、ごめんなさい」
 鼻を啜るアリスに、謝るアリスに、エリアストはどうしていいかわからない。
 「いつも守ってもらってばかりで、いつもいつもエル様を危ない目に遭わせてっ」
 ますますアリスの腕の力が強まる。
 「見ていることしか、出来ない自分が、本当に、情けないっ」
 慟哭どうこくのようなアリスの感情の発露に、エリアストが静かにアリスを呼ぶ。
 「アリス」
 優しくアリスの背中を撫でる。
 「私はアリスを守れることが幸せだ」
 アリスは顔を上げてエリアストを見る。優しい目がアリスを見ている。
 「守ることの出来るアリスがいることが、本当に幸せなんだ」
 エリアストの左手が、アリスの涙をそっと拭い、頬を優しく撫でる。幸せというものを教えてくれた、かけがえのない存在。
 「守られてばかりではない。共に戦ってくれている」
 アリスを安心させるように、優しく微笑む。
 「こうして私の側で、見守ってくれている」
 腰を抱き寄せる腕に力を入れ、さらに引き寄せる。
 「すべて、目を逸らさずに受け止めてくれている」
 だから、そんな風に泣かないで。そんな風に、泣く必要なんてないんだ。
 瞼にくちづけを落とす。
 「アリスがいるだけで、私は何だって出来る」
 きゅうっ、と抱き締める。
 「これからも、ずっと私の側で見守ってくれ、アリス」
 アリスの目から、さらに涙が溢れた。
 「はい、はい、エル様。これからも、ずっとエル様のお側に」
 その言葉に、エリアストは嬉しそうに笑った。
 愛しいアリス。いつも私のことに心を砕いてくれる。守られることを当然と思わず、共に戦おうとしてくれる。私の体を心配し、私の心を心配する。自分のことは二の次で、いつも私を一番に考えてくれて。アリスの行動すべてが、私をおもんぱかっている。
 「永遠に一緒だ、アリス」
 これ程までに愛おしい存在が、今、腕の中にいる奇跡。
 この体が朽ちても、決して離さない。
 「泣くな、アリス。私のために泣くアリスも愛おしいが、胸が苦しくなる」
 涙を舐めとる。くすぐったそうに笑ったアリスがあまりにも可愛くて、エリアストは深くくちづけた。
 「愛している、アリス」
 繰り返されるくちづけの合間に、何度も何度もエリアストはそう囁いた。


*つづく*
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