では、復讐するか

らがまふぃん

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13 コノア・クルードの正体

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「何が」
怒りも露わに向かってくるスウィーディーに、コノアは冷静に返す。
「何がじゃないわよ!どういうことよ!裏切り者!」
スウィーディーのいつも以上に常識外れの行動に加え、穏やかではない言葉に、周囲はスウィーディーから距離をとりながらヒソヒソと話をしながら成り行きを見つめる。
「裏切り?何故?」
「あんた、馬鹿にするのもいい加減にしなさいよ!」
怒りにコノアに向かって足音荒く近付こうとして、コノアの言葉で止まる。

「キミの望みを叶えるために、私はここにいる」

スウィーディーはひとつ、瞬きをした。
「どういう、こと?」
コノアはどこか呆れたように溜め息をいた。
「キミが望んだだろう。私に事実を話してくれ、と」
確かに、コノアにお願いをした。それと彼がにいることと、何の関係があるというのか。
コノアは立ち上がった。
「私は家の名において、これから話すことに偽りはないと誓う」
家名への誓いは、破ればその家ごと取りつぶされる覚悟を持ってされるもの。

「私はノヴァ。ノヴァ・ルルクレイン」

コノアの名に、会場が揺れた。

「ノ、ノヴァ?コノア?あなた、コノア、よね?」
スウィーディーの震える指先が、コノア改めノヴァを指す。

コノア・クルード。しがない領地の子爵家次男。間違いなく、そう名乗っていたじゃない!それなのに、ノヴァ?ノヴァって言ったら、まさか?!

王族の隣に座ることが出来るのは、同じ王族か、それに準ずる身分。公爵だって王族出身ではないなら一段下に席を設けて座ることになるのだ。間違っても子爵という身分の者が座っていい場所ではない。

「私の姿はほとんど知られていないが、ノヴァその名はなかなか有名だからな」

ルルクレインは、現国王の弟、大公の家名。
なるほど。確かに彼は、そこの席に座る人間だったのだ。

国王の弟である大公には、少々変わり者ではあるが、非常に優秀な三男がいる、と言う話は、貴族であれば知らないものはいないほどだ。
三男の名は、ノヴァ。
四年前から隣国である帝国へ留学しており、二年前には帰国予定だった。
しかし、帝国の皇帝に気に入られ、留学期間が延びに延びていた。今回の話がなかったら、まだまだ母国へは帰国出来なかった。今後を考えても、きっと帝国に定住させられ、母国へは里帰り程度しか許可が下りないだろう。
何故なら、皇帝がノヴァを離したがらないからだ。
母国への往復だけで急いでも一週間かかるため、その期間さえ嫌がるほどである。滞在時間含めて十日ほどでも、皇帝は思い切り渋面で送り出す。ものすごく嫌だが、ノヴァが困ることのないようにと、旅支度は皇帝自ら過剰なほどに行う。
ノヴァのいない期間の皇帝は、あからさまに不機嫌らしい。そのため、この四年でノヴァが帰国出来たのは、たったの二回。
そんな皇帝が、いつ終わるともしれない今回の出来事に、それはそれは冷たく、冷たく、冷た~く笑ったのは、言うまでもない。
誤解のないように言っておくが、皇帝はノヴァに恋愛感情をいだいているわけではない。皇帝御年五十二は、超が付くほどの愛妻家だ。ノヴァへの愛情は、祖父母が孫へ向ける恐ろしく激しい版だと思って欲しい。ちなみに皇帝の妻御年五十一も、ノヴァを溺愛している。


そんな彼が、家の名に誓いをかけた。
家格が高ければ高いほど、その誓いの重さは比例する。
大公家の名への誓い。
「キミの望みを、家の名に誓う。だから私は偽りの身分を捨て、にいる」
それだけで、ノヴァの本気が伝わった。



*つづく*
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