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12 勘違い
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ざわめく周囲も、一体何が起きているのかわからない為、どうして、何が、と口をついて出る。
コノア・クルードは、子爵家ではなかったのか。
いや、クルード家は間違いなく子爵家だ。
クルード家と隣接する領地の者や、ビジネスで付き合いのある者などが口々に囁く。囁きだと思っていても、存外大きな声だったようで、その声は会場に広く伝わる。
スウィーディーは混乱した。
*~*~*~*~*
「コノア、あのね、聞いて欲しいことがあるの」
パーティーの五日前。
そう言ってスウィーディーが告げたことに、コノアは目を丸くした。
「本気か?」
スウィーディーは、リスラン様を取り戻したい、ユセフィラ様の悔しがる顔が見たい、と言った。
けれど、提案されたことは、そのどちらも達成出来ると思えなかった。
学期末のパーティーがあるでしょ?そこで、ユセフィラ様のこれまでの行いを暴露するの。きっと、同じ思いをしている人たちが賛同してくれるはずよ。
それで、何故リスランが取り戻せるのだろう。
ユセフィラが悔しがるのだろう。
意味がわからずコノアは首を傾げると、スウィーディーは続けた。
リスラン様は、ユセフィラ様たちの行いを薄々気付いているの。だからいつも私に何かあると、しつこいくらい確かめてきていたの。リスラン様がつらそうな顔をした、あの空き教室での出来事は、ユセフィラ様にカマをかけていたの。それでユセフィラ様の正体がわかってしまったの。自分の婚約者にそんな二面性があるなんて、信じたくなかったのよ。でも、罪にきちんと向き合って欲しいと考えているリスラン様は、どうやってユセフィラ様に償わせようか考えていたの。ユセフィラ様に償わせることで、リスラン様の憂いが晴れるの。そうすれば、元のリスラン様に戻れる。ユセフィラ様がみんなの前で謝れば、私以外の被害者も、きっと自分だけではなかったと安心するし、何よりみんなに事が知られれば、今後ユセフィラ様も下手なことはしてこないでしょう?憂さ晴らしに嫌がらせが出来なくなるんだもの。ユセフィラ様も悔しがるはずよ。
そう言われて、コノアはなるほど、と思った。
「キミの気持ちはわかった」
「ホントッ?良かったあ、コノアがわかってくれて」
どこか不安そうにしていたスウィーディーの顔が、パッと明るくなった。
「キミは私に何を望む?」
コノアが尋ねると、スウィーディーは少し迷ったように視線を彷徨わせると、ポツリと言った。
「コノアにはね、真実を話して欲しいの」
「真実?」
曖昧な言葉に、コノアは眉を顰める。
「そう。真実」
やはりよくわからないので、コノアは溜め息を吐いた。
「私には真実はわからない。私が見て感じたことしか話せない」
そう言うと、スウィーディーは笑った。
「もう、コノアったら。それでいいのよ」
「それなら了解した」
コノアが了承すると、スウィーディーはますます笑みを深めた。
「ありがとう、コノア。リスラン様を取り戻せたら、リスラン様にコノアを側近候補に推薦するわ」
その言葉に、コノアは片眉を上げる。
「無理だな」
即座に否定するコノアの腕に抱きついた。
「謙遜しないで。コノアにはそれだけの力があるわ」
コノアは顔を逸らし、空いている手で顔を押さえていた。それを見て、スウィーディーは優しく微笑んでいた。
そんなやり取りをして迎えたパーティー当日。
「ま、待って、待って待って、どういう、ことなの?」
リスランの隣に座るコノアに、スウィーディーは混乱している。
側近や候補であれば、後ろに控えるはずだ。それが、隣に座るなんて。
王族の隣に座ることが出来るのは、同じ王族か、それに準ずる身分。公爵だって王族出身ではないなら一段下に席を設けて座ることになるのだ。間違っても子爵という身分の者が座っていい場所ではない。
そんなスウィーディーの混乱を余所に、コノアは真っ直ぐにスウィーディーを見て、僅かに口角を上げた。
裏切られた!
「どういうことよ、コノア!」
スウィーディーは、叫んでいた。
*つづく*
コノア・クルードは、子爵家ではなかったのか。
いや、クルード家は間違いなく子爵家だ。
クルード家と隣接する領地の者や、ビジネスで付き合いのある者などが口々に囁く。囁きだと思っていても、存外大きな声だったようで、その声は会場に広く伝わる。
スウィーディーは混乱した。
*~*~*~*~*
「コノア、あのね、聞いて欲しいことがあるの」
パーティーの五日前。
そう言ってスウィーディーが告げたことに、コノアは目を丸くした。
「本気か?」
スウィーディーは、リスラン様を取り戻したい、ユセフィラ様の悔しがる顔が見たい、と言った。
けれど、提案されたことは、そのどちらも達成出来ると思えなかった。
学期末のパーティーがあるでしょ?そこで、ユセフィラ様のこれまでの行いを暴露するの。きっと、同じ思いをしている人たちが賛同してくれるはずよ。
それで、何故リスランが取り戻せるのだろう。
ユセフィラが悔しがるのだろう。
意味がわからずコノアは首を傾げると、スウィーディーは続けた。
リスラン様は、ユセフィラ様たちの行いを薄々気付いているの。だからいつも私に何かあると、しつこいくらい確かめてきていたの。リスラン様がつらそうな顔をした、あの空き教室での出来事は、ユセフィラ様にカマをかけていたの。それでユセフィラ様の正体がわかってしまったの。自分の婚約者にそんな二面性があるなんて、信じたくなかったのよ。でも、罪にきちんと向き合って欲しいと考えているリスラン様は、どうやってユセフィラ様に償わせようか考えていたの。ユセフィラ様に償わせることで、リスラン様の憂いが晴れるの。そうすれば、元のリスラン様に戻れる。ユセフィラ様がみんなの前で謝れば、私以外の被害者も、きっと自分だけではなかったと安心するし、何よりみんなに事が知られれば、今後ユセフィラ様も下手なことはしてこないでしょう?憂さ晴らしに嫌がらせが出来なくなるんだもの。ユセフィラ様も悔しがるはずよ。
そう言われて、コノアはなるほど、と思った。
「キミの気持ちはわかった」
「ホントッ?良かったあ、コノアがわかってくれて」
どこか不安そうにしていたスウィーディーの顔が、パッと明るくなった。
「キミは私に何を望む?」
コノアが尋ねると、スウィーディーは少し迷ったように視線を彷徨わせると、ポツリと言った。
「コノアにはね、真実を話して欲しいの」
「真実?」
曖昧な言葉に、コノアは眉を顰める。
「そう。真実」
やはりよくわからないので、コノアは溜め息を吐いた。
「私には真実はわからない。私が見て感じたことしか話せない」
そう言うと、スウィーディーは笑った。
「もう、コノアったら。それでいいのよ」
「それなら了解した」
コノアが了承すると、スウィーディーはますます笑みを深めた。
「ありがとう、コノア。リスラン様を取り戻せたら、リスラン様にコノアを側近候補に推薦するわ」
その言葉に、コノアは片眉を上げる。
「無理だな」
即座に否定するコノアの腕に抱きついた。
「謙遜しないで。コノアにはそれだけの力があるわ」
コノアは顔を逸らし、空いている手で顔を押さえていた。それを見て、スウィーディーは優しく微笑んでいた。
そんなやり取りをして迎えたパーティー当日。
「ま、待って、待って待って、どういう、ことなの?」
リスランの隣に座るコノアに、スウィーディーは混乱している。
側近や候補であれば、後ろに控えるはずだ。それが、隣に座るなんて。
王族の隣に座ることが出来るのは、同じ王族か、それに準ずる身分。公爵だって王族出身ではないなら一段下に席を設けて座ることになるのだ。間違っても子爵という身分の者が座っていい場所ではない。
そんなスウィーディーの混乱を余所に、コノアは真っ直ぐにスウィーディーを見て、僅かに口角を上げた。
裏切られた!
「どういうことよ、コノア!」
スウィーディーは、叫んでいた。
*つづく*
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