転生したら王族だった

みみっく

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第二章 ‐ 迫害と対立と交流と絆

93話 村への訪問者

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 村に近づくにつれ、結界を張られた村の中の様子が明らかになってきた。村の広場では巨大なデスナイトが悠然と立ち、黒炎を纏ったヘルハウンドが鋭い眼光を放ちながら辺りを巡回している。その威容を目にした兵士たちは、不安を隠しきれず顔を見合わせ、ざわざわと動揺を広げていく。先ほどまで多少なりとも余裕を見せていたダミエンですら、その表情には恐怖の色が濃く浮かび上がっていた。

「あっ、大丈夫だよ! あれは俺たちの仲間なんだぁ。村の警護を頼んでいるんだよーっ♪」
 レイニーは穏やかな笑みを浮かべながら、怯えの色を隠せないダミエンに軽やかに声をかけた。「まあ、魔物を見慣れていなければ驚くよねぇ。でも心配いらないからねー。来客用にお守りを用意してあるから、それを渡しておくね。それを身につければ、オーラや威圧感は感じなくなるから平気だよっ♪」

 兵士たちが半信半疑のままレイニーの言葉を聞いている間に、彼は全員にオーラの影響を無効化する付与を施したネックレスを手渡した。ダミエンは恐る恐るネックレスを首に掛けてみると、それまで背筋を凍らせていた魔物の存在が遠ざかったような感覚に変わり、少しだけ胸を撫で下ろした。

『帰る時にはネックレスを回収しておくかなぁ。』

「俺たちに敵意や害意を持たなければ、あいつらは安全で何もしてこないよ。このネックレスは村にいる間は必ず付けていてね。外したら……命の保証はできないからね~」
 レイニーはいつもの無邪気な笑顔でさらりと言い放ち、その場を和らげるよう屋敷へ案内を始めた。兵士たちは怯えながらも、互いに顔を見合わせてなんとか付いてきた。

 歩きながらレイニーは軽い調子で続ける。「そうそう、俺たち最近ここに住み始めたばかりなんだ。だから村を案内したいんだけど、実は俺たちもまだ全部は把握しきれてないんだよね」
 彼は少し照れたように笑ってごまかした。

 ダミエンは眉をひそめ、不思議そうに問いかけた。「最近ですか?このような森の中で暮らす必要があるのでしょうか?」

「逆に聞くけどさ……うちの仲間が、王都とか街や村で受け入れてもらえると思う?」
 レイニーの問いかけに、ダミエンは言葉を失いながらも、彼の背を追い屋敷のリビングへと足を進めた。

 広間に入った途端、目の前に広がる異形の仲間たちがダミエンの視線を釘付けにした。ディアブロやシオンについては巧みに隠しつつ、レイニーは天使やドラゴンたちを軽やかに紹介し始めた。

「こちらが天使のセラフィーナ。そして、ドラゴンロードの娘のミア、ヘルフレイムドラゴンのアシュテリア。あとは聖龍とか銀龍とか呼ばれるルミエール、リリス、ロディー、ラヴェンナ。それから獣人のルフィアとミーニャだよ。みんなでここで暮らしてるんだ。」
 レイニーはその場の空気を砕くように笑いながら、少し冗談めいた口調で続けた。「さて、受け入れてもらえると思う?」

 ダミエンはしばし沈黙した後、息を飲みつつ肩を落とした。「……いや、厳しいですね。すみません、妙な質問をしてしまいました。」

「ですよね。ちょっとした争いでも街は壊滅しちゃうかも。ミアなんて、昔、気に入らないことがあるだけで国を滅ぼしてたんだよね?」
 レイニーは軽い意地悪を交えてミアをからかうように言った。

「むぅ~そんなことしないもんっ!それ、昔の話じゃない!……うぅ……レイニーくんの、ばかぁ。」  
 ミアは頬を膨らませながらレイニーの隣にぴたりと座り、甘えるように抱きついてきた。レイニーは彼女の頭を優しく撫でながら話を続ける。

 ダミエンは冗談交じりのやり取りに苦笑しつつも、少し真面目な顔を浮かべて問いかけた。「……それは、さらに厳しい状況ですね。この村では、抑えられる者がいるのですか?例えば村長とかでしょうか?」

「村長ですかぁ……今のところ、俺かなぁ。」
 レイニーは肩をすくめながら軽い口調で答えたものの、その内心では考えを巡らせていた。――あ、王子ってバレるとまずいな。お父様に迷惑がかかるかもしれないし、うちの王国が「ドラゴンや天使や獣人と手を組んだ」とか変な噂を立てられたら厄介だよなぁ。

 レイニーは心配を押し隠し、兵士たちの視線から話題を逸らすように、堂々と村の案内を続けていった。

「今のところですか?失礼ですが……もし暴れだした場合、どう対応されるおつもりですか?」
 ダミエンは尚も真剣な表情で問い続けた。

「ん?暴れないですよ~。ね、ミア?」
 レイニーは振り返り、隣にいるミアに微笑みかける。

「うん♪ あばれなーいっ!」
 ミアは元気よく答え、愛らしい笑顔を見せた。その言葉の裏には、彼女なりの信頼が込められているようだった。

 俺が他の仲間たちを見渡すと、それぞれが無言で頷き、同意の意思を示した。

「ですが、万が一暴れた場合は?」
 ダミエンは納得のいく答えを求めるようにさらに詰め寄った。

「うぅ~ん……頭を叩くっ!ダメってー!」
 レイニーは真面目な表情で答えるが、その口調にはどこか冗談めいた軽やかさがあった。

「えっと……頭を叩く、ですか。それで本当に収まると思えませんが。それにドラゴンになった場合は、手に負えなくなるのでは?」
 ダミエンが動揺した表情をしてレイニーに聞き返した。
 
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