転生したら王族だった

みみっく

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第二章 ‐ 迫害と対立と交流と絆

95話 ドラゴンブレスの破壊力

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 アシュテリアはドラゴンをじっと見据えながら淡々と答える。「ん……? わたし、魔界に住んでいたのですよ。なので、知らないのです。」
 彼女の言葉は冷静だが、視線の先にはドラゴンの圧倒的な存在感がある。

 ルミエールはドラゴンを一瞥した後、隣にいるセラフィーナにふざけて抱きつきながら言う。「わたしも、この辺りまでは知らないかな~。でも、怒ってるのは分かるよ。すごい怒ってるね、こわーいっ!」
 その明るい声とは裏腹に場の空気は険しい。怖がっているどころか笑っているルミエールを見て、俺は思わずツッコミを入れたくなる。

 ラヴェンナは少し申し訳なさそうな表情で口を開く。「私も、存じ上げません。魔界の情報ならば熟知していますが……。」
 彼女の真面目な言葉は頼りになりそうでいて、今回の状況には繋がらなさそうだ。

 一方、リリスとロディーは目を輝かせながらドラゴンをじっと見つめている。その好奇心に満ちた態度を見て、俺は軽く頭を抱えた。「……役に立たないヤツめ。」
 俺は内心で呟きつつも、指示を出していたあーちゃんとシオンが隠れていることを思い出したが、この状態だと話も聞けない。

 ドラゴンの怒りは収まる様子もなく、その威圧的な姿が結界越しにも圧倒的な存在感を示している。どうしたものか……。

「バシュ、バシュ、バシュッ!」
 魔力弾が次々と飛び交い、ドラゴンはそれを軽々と避けながら、隙を突いて結界に爪を立てた。その鋭い爪が深々と食い込み、「ミシミシッ」と結界そのものが悲鳴をあげているような音が響く。

 『あぁ……この結界では、ドラゴンの攻撃に耐えられそうにないなぁ……。』
 結界は必要以上の防御を行い、魔石へと注ぎ込む魔力を無駄に消費しないように設計されている。そのため、周囲に生息する魔物の強さに応じて自動的に調整され、この森ではワイバーンの力を基準に設定されていた。しかし、目の前に現れたこのドラゴンは、その基準を遥かに凌駕する圧倒的な力を備えている。 ──それも当然だ。何しろ、ワイバーンの上位種であるドラゴンなのだから。

 しかし、目の前のドラゴンを見る限り、ただの上位種どころではない。これは明らかに最上位種のドラゴン――まるでボスキャラが突如登場したかのような威圧感だ。結界越しでも感じられる圧倒的なオーラと威圧、そして赤く輝く目がその闘争心を物語っている。

 苛立ったドラゴンが突如、咆哮を放った。その轟音が空気を裂き、地面がゴォーと大きく揺れる。森のざわめきもかき消され、一瞬にして静寂が訪れた。まるで風さえも恐怖で動きを止めてしまったかのようだ。

 上空を旋回していたドラゴンが去るように背を向けたかと思うと、空間を切り裂くように、その巨大な体を空高く舞い上がらせた。怒りに燃える赤い瞳は鋭く輝き、その目は闘争心の塊だった。口元からは灼熱の熱気が漏れ出し、周囲の空気は一瞬で熱を帯びる。ドラゴンの胸が大きく膨らみ、次の瞬間――その巨大な口を大きく開け、強烈なドラゴンブレスを放った。

 灼熱の炎がドラゴンの口から渦を巻くように噴き出し、その勢いは凄まじいものだった。炎は赤からオレンジ、そしてまばゆい黄色へと変化し、その明るさは真夜中に突然顔を出した太陽のような閃光を放つ。見守る者たちは、その圧倒的な光景に目を奪われた。凄まじい恐怖と驚嘆の念に包まれ、地上に立ち尽くしたまま身体を動かすことすらできなかった。

 ドラゴンブレスが放たれた瞬間、空気は激しく震え、炎は猛々しい轟音を響かせながら燃え盛った。その火柱はまるで生き物のようにうねり、触れるものすべてを一瞬で焼き尽くしていく。その威力は想像を絶するもので、頑丈な岩さえも溶解させるほどの極限の高温を放っていた。

 炎が大地を舐め尽くし、植物は瞬く間に灰となり、立ち並ぶ木々は炎に包まれて音を立てながら崩れ落ちる。その光景はまるで破壊の化身そのもの。ドラゴンのブレスは無慈悲に、ただひたすらに周囲のあらゆるものを焼き尽くしていく。

 炎が収まった後、目の前に広がったのは焦土と化した大地。そこには生き物の痕跡など微塵も残されていなかった。ドラゴンのブレスがいかに絶対的な力を持つものか、それを目の当たりにした者たちは、震えるような畏怖の念に包まれ、その怒りを二度と買うまいと心に誓った。

 だが、レイニーだけは違った。やっと見つけたこの村、自分の仲間と共に暮らすための土地――それを破壊された怒りが彼の心を支配し、身体を震わせた。彼の内から漏れ出した闇の王のオーラは、徐々に広がりを見せる。まるで無秩序の森を覆い尽くしてしまうほどに。そのオーラは古代の魔王が放つものを遥かに凌駕し、密度も質も桁外れに違っていた。

 闇の王に仕えていたラヴェンナでさえ、その威圧感に恐怖を覚え、身体を震わせていた。オーラの効果を無効化する付与でさえも、その上限を完全に超えてしまい、近くにいる者たち全員に強烈な恐怖と圧倒的な威圧感を与えている。

 この場にいる誰もが、その異質な力に言葉を失い、ただ息を飲むしかなかった――レイニー自身の怒りの放つ力が、全てを支配していたのだ。

 空さえも暗闇に飲み込まれ雷鳴が響き渡り、雷の閃光でさえもぼんやりと明るく見える程度だった。レイニーの周りはレイニーの放つ負のオーラと聖属性の光が入り混じり、体を覆い渦巻いて光り輝いていた。
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