転生したら王族だった

みみっく

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第三章 ‐ 戦争の影

158話 セリーナの変化

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 そんな時、屋敷の中からダミエンとアリシアが姿を現し、出迎えにやってきた。「レイニー様、お待たせ……しま……した……」ダミエンが言葉を途切れさせ、セリーナを見つめたまま動きを止めてしまった。

 彼の表情には明らかな困惑が浮かんでいる――まさか、自分の屋敷に『小さな暴君』と陰で呼ばれているセリーナ王女が訪ねてくるとは思いもしなかったのだ。

「あら、やっとお出迎えしてくれるのかしら?」セリーナは黄金色の瞳でダミエンをじっと見据え、少し挑発的な笑みを浮かべながら軽やかにそう言った。

 その態度にダミエンは気を取り直し、微妙に引きつった笑顔を作りながら答えた。「セリーナ王女様……ようこそ。当屋敷へお越しいただけるとは大変光栄に存じます。」一方で心の中では、「何故セリーナ様がここに……」と困惑がさらに深まっていた。

 アリシアは父の様子を見て少し苦笑しながらも、セリーナに向き直り優雅な態度で言葉を紡ぐ。「セリーナ様、どうぞお入りください。わたしたちはお待ちしておりました。」彼女の言葉は表面的には穏やかだが、内心ではこの訪問の目的について疑念を抱いていた。

 セリーナはその言葉に満足そうな笑みを浮かべながら、裾をひらりと揺らして屋敷の中へと足を踏み入れた。その仕草は堂々としており、まさに王女らしい気品を感じさせるものだった。

 ダミエンはセリーナの仕草や振る舞いを見ながら、微かに首を傾げた。普段の彼女ならば堂々と周囲を全く気にせず、ニコニコとした無邪気な笑顔を浮かべながら軽快に歩くのが常だ。しかし、今日はどこか様子が違った。

 セリーナは、時折ちらりと視線を横へ送り、まるで気を配るようにレイニー様の様子を窺っている。さらに、無意識とも思えない動きでレイニーの隣へと歩調を合わせていた。その慎重な立ち振る舞いは、普段の彼女には見られないもので、ダミエンの目には明らかに違和感として映った。

『どうしたんだ、あのセリーナ様が……?』ダミエンは心の中で疑問を抱きつつも、その変化に気づかぬふりをして静かに見守った。

 一方、セリーナはレイニーの横で微笑みを浮かべながら軽やかな声を漏らした。「ねえ、レイニー様。せっかくこちらに来たのだから、少しお話してもいいかしら?」その声はどこか柔らかさと躊躇が混じり、彼女の普段の堂々たる口調とは異なるものだった。

 ダミエンはそのやり取りを見つめながら、無自覚な変化ではないかと思わずにはいられなかった。『まさか、セリーナ様がレイニー様を……いや、そんなことは考えすぎか? いや、しかし……セリーナ様が他の者に『様』を付けるのか?』彼の胸中には、微かな疑念と好奇心が芽生えつつあった。

 ダミエンはレイニー様をリビングへ通すつもりで準備をしていたが、セリーナ様が訪問している状況を考慮し、急遽豪華な客間へ案内を切り替えることにした。「こちらでお話を伺います。」彼の声には、冷静ながらも微かに緊張が混じっていた。

 豪華な客間は、煌びやかな装飾が施されており、王族や重要な訪問者を迎えるにふさわしい場だった。ダミエンは二人を柔らかなソファーへ丁寧に案内し、セリーナ様とレイニー様を座らせる準備を整える。

 普段のセリーナ様であれば、当然のように上座を選び、堂々と一人で座るのが常だった。しかし今日は様子が違った。彼女はレイニー様の隣へと、可愛らしくちょこんと座り、まるで彼を気遣うような控えめな動きを見せた。その仕草は、ダミエンの目には新鮮に映り、彼を内心驚かせた。

『あのセリーナ様が……どうしたというのだ?』ダミエンは心の中で戸惑いを覚えつつも、表情にはそれを出さずに控えていた。一方で、アリシアはその様子をちらりと見て、微かに笑みを浮かべながらセリーナを観察していた。

 セリーナは上品な仕草で髪を撫でながら、隣のレイニー様に話しかける。「ねえ、ここ、とても素敵ね。レイニー様のお屋敷もきっと同じくらい素晴らしいんでしょうね。」その言葉には、どこか彼を意識しているかのような柔らかさが含まれていた。

「えっと……なに? どうしたの?」レイニーはセリーナの方を見て首を傾げながら問いかけた。「さっきと、雰囲気も口調も違うけど?」

「そ、それは……レイニー様が、こういう方が好きだと……言われたので……」セリーナは頬を赤らめ、恥ずかしそうに俯きながら小さな声で答えた。その仕草には普段の彼女のわがままで堂々とした態度は影も形もなく、どこか初々しい一面が垣間見えた。

 その様子を見ていたダミエンは、驚きで目を見開き、しばし固まったままだった。『セリーナ様がこんな態度を取るなんて……!』まさか自分の目の前で、普段の「小さな暴君」とはまるで別人のようなセリーナを見るとは思いもよらず、彼は思考を巡らせながら隣のアリシアに目を向けた。

 すると、アリシアも驚きと困惑の入り混じった表情を浮かべていた。しかし、その表情はやがてムスッとした不機嫌な顔に変わり、視線がどこか険しくなる。
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