転生したら王族だった

みみっく

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第三章 ‐ 戦争の影

162話 セリーナの新たなる難関

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「わたしを近くに置いておけば……いつでも触れますよ! わたしが、特別に許可します! ふふーん♪」セリーナは自信満々に微笑みながら、自分の頬を差し出した。その仕草はまるでご褒美を与えるかのようで、彼女の無邪気な愛らしさが一層際立っていた。

 レイニーは思わず笑みを浮かべながら、そっと彼女の頬に触れた。その柔らかさと温もりに、心の奥底から安らぎが広がるのを感じた。

 なんだろ……前回も、フィオナとも同じ事が起きた気がするんだよなぁ……。これ、デジャヴ……なのか?

「それじゃ、よろしくなー」と言いながら、彼はセリーナの柔らかな頰にそっとキスをした。その感触は、まるで絹のように柔らかく、吸い付くような滑らかさだった。

「わっ、はわわわぁぁ……!」セリーナは驚きのあまり声を上げ、次の瞬間には顔を真っ赤に染めて固まってしまった。「……あ、ありがとう……ございますぅ……」と、か細い声でようやく言葉を絞り出す。

「付いてくるって言っても……俺の住んでいる村を知ってていってるのかぁ?」レイニーは少し眉をひそめながら顔を真っ赤に染めて固まっていたセリーナに尋ねた。その言葉には心配と少しの興味が混じっていた。

 セリーナはレイニーの質問で我に返って一瞬戸惑ったような表情を浮かべるも、すぐに自信を取り戻しながら答えた。「もちろん知ってるわ!……えっと、まあ、詳しくは知らないけどっ!」最後に少し強がりを見せながら金色の瞳を輝かせた。

「ふーん、やっぱり知らないじゃん。」レイニーは小さな笑みを浮かべながら肩をすくめた。「俺の村は、別に豪華な場所でもないけどなぁ。それに、住むにはそれなりの覚悟がいるよ?」

「覚悟?わたしにそんなこと言うなんて、失礼しちゃうわっ! 王女であるわたしが、どんな場所でも華を添えてあげるのよ!」セリーナは小さな胸を張って堂々と宣言した。

 レイニーは彼女の意気揚々とした態度を見て、軽く笑いながら続けた。「ま、そんなこと言うなら案内するしかないな。でも、本気で住むとなると覚悟しておけよなぁ?」

 セリーナはその言葉に嬉しそうな笑みを浮かべつつ、心の中で何かを決意したようだった。その様子を見たレイニーは肩をすくめながら、「果たしてどうなることやら……。」と微笑みながら心で思った。

「あ! それよりも、セリーナの父親の王が許さないんじゃないのか? たぶん……ムリだろ。」レイニーはソファーに寄り掛かりながら淡々と言葉を紡いだ。

 その一言にセリーナは一瞬黙り込み、視線を少しだけ床へ落とした。だが、すぐに顔を上げ、少し頬を膨らませながら勢いよく答えた。「レイニー様! わたしがお願いすれば、きっとお父さまだって納得してくれるはずです!」声には自信が込められていたが、その瞳の奥にはどこか不安な色が見え隠れしていた。

 レイニーは彼女の表情を見て、ため息を一つつきながら肩をすくめた。「セリーナ……君が何を考えてるのかは分かるけどさ。君のお父さんって、あのグリムファング王だろ? 頭ごなしに無理、ダメって言われたらどうするつもり?」

「だ、だって……レイニー様と一緒にいたいんですもの!」セリーナは拳をぎゅっと握りしめながら叫ぶように答えた。その声には彼女なりの必死さが滲んでいた。

 客間には一瞬の静寂が訪れた。レイニーは少し考え込むように視線を彷徨わせた後、小さく笑って言った。「……ま、だったら何とかしてみればいいさ。俺にはどうにもできないけど、セリーナが本気ならな。」

 その言葉にセリーナは驚いた表情を見せ、次の瞬間、小さな微笑みを浮かべた。「本気ですよ、もちろんです! レイニー様、見ててくださいね!」彼女の黄金色の瞳は再び輝きを取り戻し、いつもの自信に満ちた王女らしい姿がそこにあった。

 ダミエンの客間でのひとときが過ぎ、セリーナは満足げな表情を浮かべながら帰り支度を整えた。普段から堂々としているセリーナにとって、嬉しそうな表情は珍しいものではない。しかし、この日は違っていた。

 帰り際、セリーナはレイニーの近くに立ち止まり、少しの間じっと彼を見上げた。そして、彼の手をそっと握りしめ、潤んだ黄金色の瞳でじっと見つめた。その瞳にはまるで別れを惜しむかのような切なさが宿っていた。

「レイニー様……すぐに会いに来てくださいね。」セリーナは小さな声でそう呟きながら、名残惜しそうに微笑んだ。その愛らしい仕草に、ダミエンもアリシアも驚きを隠せなかった。普段の「小さな暴君」の面影はそこにはなく、心を打たれるような真摯さが感じられたからだ。

 レイニーはその視線を受け止めるように、少し困ったように笑いながら答えた。「ああ、もちろんだよ。必ず会いに行くからな。」その言葉に、セリーナの表情が少し柔らかくなり、彼女は名残惜しそうに部屋をあとにした。

 セリーナが扉の向こうに消えた後、ダミエンは静かに息をつき、客間に漂う余韻を感じ取った。「ふむ……セリーナ様も、レイニー様へのお気持ちが強いようだ。」彼はそう呟きながら、窓越しに夜空を見上げた。

 一方、アリシアは少しムスッとした表情で座り直し、心中の複雑な感情を隠すことなく口を開いた。「……本当に変わった日だったわ。」その言葉はどこか冷静でありながら、静かな波紋を生み出していた。
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