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53 VS満身創痍のシクル
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「はあっ、はあっ、はあっ」
風の曲刀をスターシャの胸に突き立てたターニャ。
彼女の荒い息づかいが聞こえる。
彼女も狩猟で生きるハンター。
倒すと決めた、獲物に憐憫などない。
でたらめなタッグ戦だったけど、土のスターシャに致命傷を与えた。
「ぐああ。雑魚2人にやられるなんて・・」
「答えは簡単よ。私達の方が強かったの。悪人なんだから正々堂々と戦わず、逃げれば良かったのよ」
「くそユリナ・・無能の分際で。シクルが助けてくれるわ」
「無駄よ」
シクルはスターシャの魔法で左腕に大きなダメージを負っている。
どんどん状態が悪くなっている。
それに・・
「ナリスと私に、嫉妬したスターシャが、殺す計画を立てた? わ、私のせいだ・・ナリス・・」
シクルは身体も心もボロボロ。ダメージを与えたのは、スターシャ自身。
「ごぽっ。あぐっ、くそっ、くそっ」
「ユリナさん、お姉ちゃんの仇をとらせてもらいます」
「・・うん、譲るわ」
ずぶ。「ぎゃ」
「ふざけた理由で、お姉ちゃんを殺したのね」
ずぶぶ。「ぎゃああ」
「死ね」
◆
土のスターシャも収納指輪を持っていた。
風の曲刀と合わせて、ターニャに押し付けた。
「これで仲間の仇、6人のうち3人を倒した」
次は4人目だ。
「4人目」のシクルは立ち上がっている。
前屈みで、左腕は下に垂れ下がっている。
拾った剣を1本、無事な右手で持っている。
構えになってない。
「シクル、今からやるわよ」
「・・ええ。受けて立つわ」
「ユリナさん!シクルさんは戦える状態じゃありません!」
「ターニャ、あなたはスターシャを倒して、姉のナリスの仇を取った。シクルのことも昇華できた」
だけど私は違う。
「ユリナさん、どうしてもやるんですか」
「私は、そいつをぶん殴らないと前に進めない。ナリスの仇を取る」
「・・私がユリナさんを止めます」
「無理よ」
「借りた風属性の曲刀を使えば、私の方が攻撃力は上です」
ターニャが私を「止める」のは無理。
私は収納指輪から手甲を出した。
「止めてみなさいよ」
「え」
私はただ、中団に剣を構えるターニャに向かい、全力で走った。
そう、彼女が構える剣の先が、のど元に当たるように意識して・・
「ひっ」
頭では私が『超回復』で怪我が治ると知っている。
ても、ターニャが私を刺せる訳がない。反射的に剣先を右側に逸らした。
私は、彼女の左脇腹にビス付き手甲を食い込ませた。
どこっ。ターニャが吹き飛んだ。
「うげっ、うええ」
「ごめんねターニャ、私は急所狙いだけはうまくなった」
あばらが折れて、内臓も痛めてる。あとで治してあげるけど、今は寝ていてもらう。
再びシクルの方を向いた。
「お待たせシクル」
「はあっ、はあっ。待ちくたびれて、倒れて死にそうだったわ。早く始めましょう。ナリス達の仇を取るんでしょ」
シクルは、右手に持った剣を振りかぶった。
ただ上から、斬りかかってきた。顔にも生気がない。
魔力が完全に切れかけているのか、冷気さえ纏っていない。
応急処置だけした左腕は、肩の下で骨も砕けている。
どんどん紫色に変わっていっている。
私はシクルの剣を避けない。
ざく。バキッ。「あぐっ」
剣と拳のクロスカウンター。だけど、シクルの方がのけぞって倒れた。
『超回復』
「立ってシクル。ナリス達が味わった痛みはそんなものじゃないわ」
「そうね。裏切られた絶望と痛みの中で、ナリスは死んでいった」
「そうよ」ばきっ。ばきっ。
「や、やめてユリナさん・・ごほっ、ごほっ」
「ターニャ、それはシクルに言って。まだまだやる気よ」
「がはっ、そ、そうよ・・」
ばきっ、どごっ。ばきっ。私が一方的に殴る。
「ごほっ、ナリス、ごめんねナリス。私に智恵と勇気さえあれば。ごめんね。ごめんね」
シクルは泣いている。
それを見て、私も涙が出てきた。胸が痛い。
だけど許すわけにはいかない。
最後の力を振り絞った、シクルの剣が私の左肩に食い込んだ。
私は倒れない。
がら空きのお腹に向かって、力いっぱいに拳を繰り出した。
どんっ! からんからんと、シクルの剣が跳んでいった。
もう剣を握る力さえなくなったシクルは、仰向けに倒れた。
私は彼女に馬乗りになった。
左手でシクルの肩をつかみ、右肩が、これ以上回らないくらいに振りかぶっている。
「さあシクル。最後に言うことはない?」
「・・私には何も言う資格はない。・・ナリスのとこに行って謝るわ・・」
「やめてえ!やめてユリナさん!」
ターニャの叫びを無視して、私はパンチを振り下ろした。
風の曲刀をスターシャの胸に突き立てたターニャ。
彼女の荒い息づかいが聞こえる。
彼女も狩猟で生きるハンター。
倒すと決めた、獲物に憐憫などない。
でたらめなタッグ戦だったけど、土のスターシャに致命傷を与えた。
「ぐああ。雑魚2人にやられるなんて・・」
「答えは簡単よ。私達の方が強かったの。悪人なんだから正々堂々と戦わず、逃げれば良かったのよ」
「くそユリナ・・無能の分際で。シクルが助けてくれるわ」
「無駄よ」
シクルはスターシャの魔法で左腕に大きなダメージを負っている。
どんどん状態が悪くなっている。
それに・・
「ナリスと私に、嫉妬したスターシャが、殺す計画を立てた? わ、私のせいだ・・ナリス・・」
シクルは身体も心もボロボロ。ダメージを与えたのは、スターシャ自身。
「ごぽっ。あぐっ、くそっ、くそっ」
「ユリナさん、お姉ちゃんの仇をとらせてもらいます」
「・・うん、譲るわ」
ずぶ。「ぎゃ」
「ふざけた理由で、お姉ちゃんを殺したのね」
ずぶぶ。「ぎゃああ」
「死ね」
◆
土のスターシャも収納指輪を持っていた。
風の曲刀と合わせて、ターニャに押し付けた。
「これで仲間の仇、6人のうち3人を倒した」
次は4人目だ。
「4人目」のシクルは立ち上がっている。
前屈みで、左腕は下に垂れ下がっている。
拾った剣を1本、無事な右手で持っている。
構えになってない。
「シクル、今からやるわよ」
「・・ええ。受けて立つわ」
「ユリナさん!シクルさんは戦える状態じゃありません!」
「ターニャ、あなたはスターシャを倒して、姉のナリスの仇を取った。シクルのことも昇華できた」
だけど私は違う。
「ユリナさん、どうしてもやるんですか」
「私は、そいつをぶん殴らないと前に進めない。ナリスの仇を取る」
「・・私がユリナさんを止めます」
「無理よ」
「借りた風属性の曲刀を使えば、私の方が攻撃力は上です」
ターニャが私を「止める」のは無理。
私は収納指輪から手甲を出した。
「止めてみなさいよ」
「え」
私はただ、中団に剣を構えるターニャに向かい、全力で走った。
そう、彼女が構える剣の先が、のど元に当たるように意識して・・
「ひっ」
頭では私が『超回復』で怪我が治ると知っている。
ても、ターニャが私を刺せる訳がない。反射的に剣先を右側に逸らした。
私は、彼女の左脇腹にビス付き手甲を食い込ませた。
どこっ。ターニャが吹き飛んだ。
「うげっ、うええ」
「ごめんねターニャ、私は急所狙いだけはうまくなった」
あばらが折れて、内臓も痛めてる。あとで治してあげるけど、今は寝ていてもらう。
再びシクルの方を向いた。
「お待たせシクル」
「はあっ、はあっ。待ちくたびれて、倒れて死にそうだったわ。早く始めましょう。ナリス達の仇を取るんでしょ」
シクルは、右手に持った剣を振りかぶった。
ただ上から、斬りかかってきた。顔にも生気がない。
魔力が完全に切れかけているのか、冷気さえ纏っていない。
応急処置だけした左腕は、肩の下で骨も砕けている。
どんどん紫色に変わっていっている。
私はシクルの剣を避けない。
ざく。バキッ。「あぐっ」
剣と拳のクロスカウンター。だけど、シクルの方がのけぞって倒れた。
『超回復』
「立ってシクル。ナリス達が味わった痛みはそんなものじゃないわ」
「そうね。裏切られた絶望と痛みの中で、ナリスは死んでいった」
「そうよ」ばきっ。ばきっ。
「や、やめてユリナさん・・ごほっ、ごほっ」
「ターニャ、それはシクルに言って。まだまだやる気よ」
「がはっ、そ、そうよ・・」
ばきっ、どごっ。ばきっ。私が一方的に殴る。
「ごほっ、ナリス、ごめんねナリス。私に智恵と勇気さえあれば。ごめんね。ごめんね」
シクルは泣いている。
それを見て、私も涙が出てきた。胸が痛い。
だけど許すわけにはいかない。
最後の力を振り絞った、シクルの剣が私の左肩に食い込んだ。
私は倒れない。
がら空きのお腹に向かって、力いっぱいに拳を繰り出した。
どんっ! からんからんと、シクルの剣が跳んでいった。
もう剣を握る力さえなくなったシクルは、仰向けに倒れた。
私は彼女に馬乗りになった。
左手でシクルの肩をつかみ、右肩が、これ以上回らないくらいに振りかぶっている。
「さあシクル。最後に言うことはない?」
「・・私には何も言う資格はない。・・ナリスのとこに行って謝るわ・・」
「やめてえ!やめてユリナさん!」
ターニャの叫びを無視して、私はパンチを振り下ろした。
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