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79 ミールの誕生日に乾杯
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私が返り討ちにした黒装束のミールは女の子だ。
なんか可愛い。そして懐かしい。
フードの下の顔が傷だらけで、15歳くらいとだということしか分からない。
右目の上から頭まで皮をはがれた跡のような傷がある。
鼻も右に折れている。
右耳の上が欠けていて、鼻と口も傷だらけ。左の頬と頭には新しい傷もある。
体も同じような感じだろう。
だけど、やっと会えたって感じだ。
この子を傷付けたベノアの印象は野心家。
心はゲスで聖騎士スキルを利用して教会内部でのし上がろうとしている。この印象で間違いではないだろう。
弱い人間を傷つけることなんて、何とも思ってない。
女性騎士ルイリだけがミールを介抱しているが、こいつもダメだ。
ミールの顔を見て驚いている。
「ルイリ、ミールの顔を見たことがなかったのね。それ、どう見ても長年の虐待の末にできた傷よ」
「まさか、ここまでひどいとは・・」
「薄々分かっていたけど、見て見ぬ振り。そんなとこね」
げしっ。ルイリを蹴り飛ばした。
そして私がミールを支えた。細い肩が震えてる。
「な、何を!」
「あなたもベノアと同じ側。綺麗なものばかり選んで見て過ごすといい」
「けれどミールは」
「この子は、ここで解放する」
「ははははは、自分で壊したミールを解放だと。いいだろう。責任を持って面倒を見ろ」
「間違いなく聞いたわよ」
「ああ、言った」
笑う聖騎士たち。
ミールは口を開いた。
「お姉さん・・ごめん。私のせいだ」
こんなに全身ボロボロでも謝るミール。
胸にズキューーン。
「すごく可愛いい!」
「え、え、お姉さんも」
「あなた何歳?」
「・・今日で・・死ぬかもだけど、たぶん、今日で15さい・・」
「なんだ、記念すべき成人の日じゃない。早く言いなさいよ」
「ええと、言うチャンスなんて・・」
「ちょっと怪我をさせちゃったね。おわびに、エールをおごるわ」
「・・ちょっと・・なんだね」
ダンジョンで飲もうと思って、木のジョッキにエールを100杯分も収納している。
その一杯を出した。
ミールは下半身に激痛が走っているだろう。
だけどもう、痛みを感情に出さない。こんなあきらめた目をした15歳。
だけど、頑張って笑ってくれた。
「最後に・・初めて誕生日を祝って・・もらえる。うれしい・・」
私はジョッキを高く掲げた。
「そうだよ。これが最初の誕生祝い。ミールの、これからの人生に乾杯!」
観衆があっけに取られる中、私は自分とミールの頭にエールをぶっかけた。
ばしゃあ。左手で『超回復』
ぱちい!
一瞬のできごと。
誰もが驚いている。
ミールの、少しピンクがかった金髪から、エールが滴り落ちる。
切れ長の優しい目をして驚いてる。真っ直ぐに戻った鼻も高い。
オルシマでも見たことがないほどの美少女だ。
「さ、行こうかミール」
「な、何が・・」
「劣等人の手品よ。立って酒場に行こう。誕生会やろう」
「え、え」
足も腰も全快し、もちろん顔の傷もなくなったミールを立たせた。
いつの間にかスマトラさんとアルバさんら4兄弟もいる。
臨戦態勢だ。
「待て!」
シカトだ。
「待て、今のスキルは何だ。マリルート神の信徒として査問李委員会にかけるぞ!」
「・・うるさいわね。私に力を貸してくれるのはマリルート神じゃない」
「それなら何なのだ!」
「そんなもん、勝手に調べたら。私に力を貸してくれるのは、気まぐれな、名もなき神」
「とにかくお前もミールも連れて行く」
頭に血が昇る。約束が違う。
「名もなき神が言ってるよ」
「何をだ」
「ミールは教会の地下で、虐待させるために治した訳じゃないってさ」
ざわざわざわざわ。
「何を!」
「もう、ミールは返さない。私の妹にする」
以前は人前での戦闘を避けたが、今は逆だ。
公開処刑だ。
「覚悟して」
武器は3メートルのトレントの枝。
私はベノアの前に行った。そして、トレントの枝の先をベノアに向けた。
「何だそれは」
「名もなき神が、偽の聖騎士を退治する武器を貸してくれたよ」
ひゅん、軽く振った。
ベノアを攻撃はしない。ただ、ミールの治療費を払ってもらう。
ミールに関節を破壊され『超回復』。4センチ減。
ミールの重傷の体を治すのに『超回復』。さらに8センチ減。
合計12センチ減。
「何だ、この枝は。死んだトレントの枝ではないか」
ベノアが、馬鹿にした笑いを浮かべ、右手でトレントの枝を払った。
「等価交換」ばちいい。
ベノアから、治療費を回収した。
「何がしたい・・え、あ、うおーー!」
ベノアは自分の手を見て絶叫。
ルリイ以外の、仲間の騎士達が、思わず剣を抜いた。
ぴりりりりり~。いつの間にか来ていた衛兵が笛を鳴らした。
騎士4人に飛び掛かるアルバ4兄弟。
あっという間に、腕と足が変な方を向いた男達が転がっていた。
ルリイ以外のやつは、衛兵に引きずられて行った。
なんか、みんな、協力ありがとうと言いたい。
今日はミールに出会えた。
顔を合わせた瞬間、感じたものって何だったんだろ。
まあいい。
ミールと酒を飲む。
オルシマに残るなら、安全を考えて、スマトラさんにミールのこと頼む。
・・教会に帰るとしても、彼女の勝手だ。
聞くと、帰らずにオルシマにいたいと言ってくれた。
・・良かった。
酒場に行くと、オルガさん、アルバ兄弟、ルナ、ケイン君、たくさんの人が来てくれた。
ミールの誕生会という飲み会を始めた。
「ミールに乾杯!」
みんなで祝ったが、エールが苦かったのだろうか。
ミールが泣きだした。
だから、酔った私はミールの肩を抱いて、何度も繰り返した。
「もう大丈夫だよ」
私がしてやれることは、それくらいだ。
なんか可愛い。そして懐かしい。
フードの下の顔が傷だらけで、15歳くらいとだということしか分からない。
右目の上から頭まで皮をはがれた跡のような傷がある。
鼻も右に折れている。
右耳の上が欠けていて、鼻と口も傷だらけ。左の頬と頭には新しい傷もある。
体も同じような感じだろう。
だけど、やっと会えたって感じだ。
この子を傷付けたベノアの印象は野心家。
心はゲスで聖騎士スキルを利用して教会内部でのし上がろうとしている。この印象で間違いではないだろう。
弱い人間を傷つけることなんて、何とも思ってない。
女性騎士ルイリだけがミールを介抱しているが、こいつもダメだ。
ミールの顔を見て驚いている。
「ルイリ、ミールの顔を見たことがなかったのね。それ、どう見ても長年の虐待の末にできた傷よ」
「まさか、ここまでひどいとは・・」
「薄々分かっていたけど、見て見ぬ振り。そんなとこね」
げしっ。ルイリを蹴り飛ばした。
そして私がミールを支えた。細い肩が震えてる。
「な、何を!」
「あなたもベノアと同じ側。綺麗なものばかり選んで見て過ごすといい」
「けれどミールは」
「この子は、ここで解放する」
「ははははは、自分で壊したミールを解放だと。いいだろう。責任を持って面倒を見ろ」
「間違いなく聞いたわよ」
「ああ、言った」
笑う聖騎士たち。
ミールは口を開いた。
「お姉さん・・ごめん。私のせいだ」
こんなに全身ボロボロでも謝るミール。
胸にズキューーン。
「すごく可愛いい!」
「え、え、お姉さんも」
「あなた何歳?」
「・・今日で・・死ぬかもだけど、たぶん、今日で15さい・・」
「なんだ、記念すべき成人の日じゃない。早く言いなさいよ」
「ええと、言うチャンスなんて・・」
「ちょっと怪我をさせちゃったね。おわびに、エールをおごるわ」
「・・ちょっと・・なんだね」
ダンジョンで飲もうと思って、木のジョッキにエールを100杯分も収納している。
その一杯を出した。
ミールは下半身に激痛が走っているだろう。
だけどもう、痛みを感情に出さない。こんなあきらめた目をした15歳。
だけど、頑張って笑ってくれた。
「最後に・・初めて誕生日を祝って・・もらえる。うれしい・・」
私はジョッキを高く掲げた。
「そうだよ。これが最初の誕生祝い。ミールの、これからの人生に乾杯!」
観衆があっけに取られる中、私は自分とミールの頭にエールをぶっかけた。
ばしゃあ。左手で『超回復』
ぱちい!
一瞬のできごと。
誰もが驚いている。
ミールの、少しピンクがかった金髪から、エールが滴り落ちる。
切れ長の優しい目をして驚いてる。真っ直ぐに戻った鼻も高い。
オルシマでも見たことがないほどの美少女だ。
「さ、行こうかミール」
「な、何が・・」
「劣等人の手品よ。立って酒場に行こう。誕生会やろう」
「え、え」
足も腰も全快し、もちろん顔の傷もなくなったミールを立たせた。
いつの間にかスマトラさんとアルバさんら4兄弟もいる。
臨戦態勢だ。
「待て!」
シカトだ。
「待て、今のスキルは何だ。マリルート神の信徒として査問李委員会にかけるぞ!」
「・・うるさいわね。私に力を貸してくれるのはマリルート神じゃない」
「それなら何なのだ!」
「そんなもん、勝手に調べたら。私に力を貸してくれるのは、気まぐれな、名もなき神」
「とにかくお前もミールも連れて行く」
頭に血が昇る。約束が違う。
「名もなき神が言ってるよ」
「何をだ」
「ミールは教会の地下で、虐待させるために治した訳じゃないってさ」
ざわざわざわざわ。
「何を!」
「もう、ミールは返さない。私の妹にする」
以前は人前での戦闘を避けたが、今は逆だ。
公開処刑だ。
「覚悟して」
武器は3メートルのトレントの枝。
私はベノアの前に行った。そして、トレントの枝の先をベノアに向けた。
「何だそれは」
「名もなき神が、偽の聖騎士を退治する武器を貸してくれたよ」
ひゅん、軽く振った。
ベノアを攻撃はしない。ただ、ミールの治療費を払ってもらう。
ミールに関節を破壊され『超回復』。4センチ減。
ミールの重傷の体を治すのに『超回復』。さらに8センチ減。
合計12センチ減。
「何だ、この枝は。死んだトレントの枝ではないか」
ベノアが、馬鹿にした笑いを浮かべ、右手でトレントの枝を払った。
「等価交換」ばちいい。
ベノアから、治療費を回収した。
「何がしたい・・え、あ、うおーー!」
ベノアは自分の手を見て絶叫。
ルリイ以外の、仲間の騎士達が、思わず剣を抜いた。
ぴりりりりり~。いつの間にか来ていた衛兵が笛を鳴らした。
騎士4人に飛び掛かるアルバ4兄弟。
あっという間に、腕と足が変な方を向いた男達が転がっていた。
ルリイ以外のやつは、衛兵に引きずられて行った。
なんか、みんな、協力ありがとうと言いたい。
今日はミールに出会えた。
顔を合わせた瞬間、感じたものって何だったんだろ。
まあいい。
ミールと酒を飲む。
オルシマに残るなら、安全を考えて、スマトラさんにミールのこと頼む。
・・教会に帰るとしても、彼女の勝手だ。
聞くと、帰らずにオルシマにいたいと言ってくれた。
・・良かった。
酒場に行くと、オルガさん、アルバ兄弟、ルナ、ケイン君、たくさんの人が来てくれた。
ミールの誕生会という飲み会を始めた。
「ミールに乾杯!」
みんなで祝ったが、エールが苦かったのだろうか。
ミールが泣きだした。
だから、酔った私はミールの肩を抱いて、何度も繰り返した。
「もう大丈夫だよ」
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