8 / 9
事の始まり
しおりを挟む
まだ、十歳の頃、私は、ある新発見をしたとして一躍有名人になった。
それは、『虫の環境変化に伴う進化の分岐に対する独自の考察』だった。
題名だけは覚えているけど、内容なんてチンプンカンプン。
レイラの名前をライラに書き換えて出したら、大賞をとってしまった。
あちこちに呼ばれて、表彰されたり、インタビューを受けたり。
最初は、有頂天だったけど、最後に私がレイラの功績を横取りしていたことがバレてしまった初めての事件。
読書感想文くらいまでにしとけば良かったと反省した苦い思い出。
あれから、お父様とお兄様の態度が一変してしまった。
それまでは、レイラと私、どちらも愛してくれていたはず。
それが、突然手のひらを返したように、レイラ、レイラと煩く褒める。
確かに、レイラは、凄い。
でも、凄いんだから、ちょっとくらい分けてくれても良いと思う。
才能を独り占めするなんて、それこそ狡いわ。
「ライラ、お前、今回も、レイラが描いた絵を絵画コンクールに出品したな?」
お父様の視線が恐ろしいくらい鋭くて、私は、お母様の後ろに隠れた。
「そんな恐ろしい顔をなさらないでください。二人は、双子なんですよ。筆のタッチが似てることだってあり得ますでしょ?」
「お前は、黙っていろ。ライラが出した作品に、レイラの署名が入っていた。その筆跡は、レイラが金賞を頂いた作品と全く同じだそうだ」
流石のお母様も、それ以上言い返せなくて、押し黙った。
確かに事実だけど、それを知っているのは、レイラだけ。
「レイラお姉様が告げ口したのね!」
「審査員が気づいたんだ。本来は、お前が出品した物を金賞にする予定だった。レイラが描いた最高傑作に、お前が泥を塗ったんだ!」
私は、悔しくてポロポロ涙をこぼした。
私が出した方が、絶対綺麗だと思った。
だって、私は、審美眼だけは誰よりも持っているから。
だだ、それを表現する腕が無いだけ。
「話は、終わりだ。レイラの婚約に水をさしたら、今度こそ、修道院に入れるからな」
「あなた!それは、ライラが可哀想です」
「安心しろ。お前も、一緒だ」
お父様の一言で、お母様の体が私からスーッと離れた。
涙目で見上げると、怯えたような顔で、お母様が私を見下ろしていた。
「お母様?」
「ラ、ライラ。今後は、大人しくしていなさい。そうじゃなきゃ、『貴女だけ』修道院へ行く事になるわよ」
「お母様!」
自分だけ逃げるなんて、お母様、狡いわ!
「狡い!狡い!狡い!皆、狡い!」
どれだけ叫んでも、誰も相手をしてくれない。
都合が悪くなったら無視をするなんて、狡くなきゃ、なんだって言うのよ!
それは、『虫の環境変化に伴う進化の分岐に対する独自の考察』だった。
題名だけは覚えているけど、内容なんてチンプンカンプン。
レイラの名前をライラに書き換えて出したら、大賞をとってしまった。
あちこちに呼ばれて、表彰されたり、インタビューを受けたり。
最初は、有頂天だったけど、最後に私がレイラの功績を横取りしていたことがバレてしまった初めての事件。
読書感想文くらいまでにしとけば良かったと反省した苦い思い出。
あれから、お父様とお兄様の態度が一変してしまった。
それまでは、レイラと私、どちらも愛してくれていたはず。
それが、突然手のひらを返したように、レイラ、レイラと煩く褒める。
確かに、レイラは、凄い。
でも、凄いんだから、ちょっとくらい分けてくれても良いと思う。
才能を独り占めするなんて、それこそ狡いわ。
「ライラ、お前、今回も、レイラが描いた絵を絵画コンクールに出品したな?」
お父様の視線が恐ろしいくらい鋭くて、私は、お母様の後ろに隠れた。
「そんな恐ろしい顔をなさらないでください。二人は、双子なんですよ。筆のタッチが似てることだってあり得ますでしょ?」
「お前は、黙っていろ。ライラが出した作品に、レイラの署名が入っていた。その筆跡は、レイラが金賞を頂いた作品と全く同じだそうだ」
流石のお母様も、それ以上言い返せなくて、押し黙った。
確かに事実だけど、それを知っているのは、レイラだけ。
「レイラお姉様が告げ口したのね!」
「審査員が気づいたんだ。本来は、お前が出品した物を金賞にする予定だった。レイラが描いた最高傑作に、お前が泥を塗ったんだ!」
私は、悔しくてポロポロ涙をこぼした。
私が出した方が、絶対綺麗だと思った。
だって、私は、審美眼だけは誰よりも持っているから。
だだ、それを表現する腕が無いだけ。
「話は、終わりだ。レイラの婚約に水をさしたら、今度こそ、修道院に入れるからな」
「あなた!それは、ライラが可哀想です」
「安心しろ。お前も、一緒だ」
お父様の一言で、お母様の体が私からスーッと離れた。
涙目で見上げると、怯えたような顔で、お母様が私を見下ろしていた。
「お母様?」
「ラ、ライラ。今後は、大人しくしていなさい。そうじゃなきゃ、『貴女だけ』修道院へ行く事になるわよ」
「お母様!」
自分だけ逃げるなんて、お母様、狡いわ!
「狡い!狡い!狡い!皆、狡い!」
どれだけ叫んでも、誰も相手をしてくれない。
都合が悪くなったら無視をするなんて、狡くなきゃ、なんだって言うのよ!
418
あなたにおすすめの小説
【完結】妹の代わりなんて、もううんざりです
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
私アイラと妹マリンは、いわゆる双子だった。一卵性で同じ格好をしてしまえば、見分けがつかないほど姿かたちも声もすべて似ていた。
しかし病弱な妹は私よりも人に愛される術にたけていた。だから気づけば両親の愛も、周りの人たちの評判もすべて妹が独占してしまう。
それでも私には、自分を理解してくれる唯一の味方である婚約者のリオンがいる。それだけを支えに生きてきた。
しかしある日、彼はこう告げた。「君よりも妹の方を愛してしまったと」
そこから全てが狂い出す。私の婚約者だった彼は、妹の婚約者となった。そして私の大切なものが全てなくなった瞬間、妹はすべて自分の計画通りだと私をあざ笑った。
許せない、どうしても。復讐をしてしまいたいと思った瞬間、妹はあっけなく死んでしまった。どんどんと狂い出すは歯車に私は――
双子の妹を選んだ婚約者様、貴方に選ばれなかった事に感謝の言葉を送ります
すもも
恋愛
学園の卒業パーティ
人々の中心にいる婚約者ユーリは私を見つけて微笑んだ。
傍らに、私とよく似た顔、背丈、スタイルをした双子の妹エリスを抱き寄せながら。
「セレナ、お前の婚約者と言う立場は今、この瞬間、終わりを迎える」
私セレナが、ユーリの婚約者として過ごした7年間が否定された瞬間だった。
私はどうしようもない凡才なので、天才の妹に婚約者の王太子を譲ることにしました
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
フレイザー公爵家の長女フローラは、自ら婚約者のウィリアム王太子に婚約解消を申し入れた。幼馴染でもあるウィリアム王太子は自分の事を嫌い、妹のエレノアの方が婚約者に相応しいと社交界で言いふらしていたからだ。寝食を忘れ、血の滲むほどの努力を重ねても、天才の妹に何一つ敵わないフローラは絶望していたのだ。一日でも早く他国に逃げ出したかったのだ。
双子の妹は私に面倒事だけを押し付けて婚約者と会っていた
今川幸乃
恋愛
レーナとシェリーは瓜二つの双子。
二人は入れ替わっても周囲に気づかれないぐらいにそっくりだった。
それを利用してシェリーは学問の手習いなど面倒事があると「外せない用事がある」とレーナに入れ替わっては面倒事を押し付けていた。
しぶしぶそれを受け入れていたレーナだが、ある時婚約者のテッドと話していると会話がかみ合わないことに気づく。
調べてみるとどうもシェリーがレーナに成りすましてテッドと会っているようで、テッドもそれに気づいていないようだった。
「最初から期待してないからいいんです」家族から見放された少女、後に家族から助けを求められるも戦勝国の王弟殿下へ嫁入りしているので拒否る。
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に仕立て上げられた少女が幸せなるお話。
主人公は聖女に嵌められた。結果、家族からも見捨てられた。独りぼっちになった彼女は、敵国の王弟に拾われて妻となった。
小説家になろう様でも投稿しています。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
美人な姉と『じゃない方』の私
LIN
恋愛
私には美人な姉がいる。優しくて自慢の姉だ。
そんな姉の事は大好きなのに、偶に嫌になってしまう時がある。
みんな姉を好きになる…
どうして私は『じゃない方』って呼ばれるの…?
私なんか、姉には遠く及ばない…
犠牲になるのは、妹である私
木山楽斗
恋愛
男爵家の令嬢であるソフィーナは、父親から冷遇されていた。彼女は溺愛されている双子の姉の陰とみなされており、個人として認められていなかったのだ。
ソフィーナはある時、姉に代わって悪名高きボルガン公爵の元に嫁ぐことになった。
好色家として有名な彼は、離婚を繰り返しており隠し子もいる。そんな彼の元に嫁げば幸せなどないとわかっていつつも、彼女は家のために犠牲になると決めたのだった。
婚約者となってボルガン公爵家の屋敷に赴いたソフィーナだったが、彼女はそこでとある騒ぎに巻き込まれることになった。
ボルガン公爵の子供達は、彼の横暴な振る舞いに耐えかねて、公爵家の改革に取り掛かっていたのである。
結果として、ボルガン公爵はその力を失った。ソフィーナは彼に弄ばれることなく、彼の子供達と良好な関係を築くことに成功したのである。
さらにソフィーナの実家でも、同じように改革が起こっていた。彼女を冷遇する父親が、その力を失っていたのである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる