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狡い人
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幼い頃に気づいたお母様の狂気。
我が子の成長を喜ぶはずの母親が、何も出来ない事を良しとした。
手の焼ける子ほど、可愛がった。
「出来ない」
と泣くと、
「可愛い、可愛い」
と連呼して頬擦りをし、自分だけでやり遂げると、
「可愛げがない」
と冷たい視線を向けられた。
その事に気づいた時、私は、ゾッとした。
お母様にとって、私達は、犬や猫と同じペットだった。
その日以来、私は、ライラにペット役を全て押し付けた。
出来ることは、どんどん自分でやって、お母様の興味を失わせる事に必死になった。
もし、私が狡いとするならば、その事をライラに教えてあげなかった事。
それに、私は、三つ編み眼鏡姿を貫き通すことで、ライラの評価が更に落ちることも知っていた。
初めてエピとあった校舎裏も、人通りが少なそうで、実は部活棟が近くにあって、意外と人目があることも分かっていた。
私が自分を守る為にしたことが、裏を返せば、ライラを窮地に陥れることにつながっていく。
彼女に『狡い』と言われる度に、否定できなかったのは、心の片隅に後ろめたさがあったから。
「レイラ、どうかした?」
「いいえ・・・ただ、私って狡いなって」
私が、初めてオリンピエ家を訪問させていただいた日、私は、わざと部屋に鍵をかけなかった。
そして、目につきやすいよう、本にエエピから贈られた手紙の封筒だけを挟んでベッドの下に置いた。
それを見たライラが、どう行動するかなんて、手に取るように分かっていた。
ただ、予想外だったのは、ライラを溺愛していたはずのお母様が、自分の保身に走り、彼女を見捨てたこと。
あの日以来、ライラの話を聞く人間は、アンフェア家の中には、誰一人居なくなった。
そして、彼女は、度重なる悪評の為、そろそろ修道院に送られると噂されている。
落ち込む私の肩を、エピがそっと抱きしてくれた。
「レイラが狡いなら、俺も、狡い。実は、初めて会った日、君の後を付けていたんだ」
「え?」
「妹に振り回される君が可哀想で、ずっと気になっていた。しかも、二人で校舎の裏側へ入っていくし。何かあると思って尾行したんだ」
「まぁ」
私は、驚きで目を丸くした。
「君と・・・お近づきになりたいって。だから、君が落ち込んでいる時に付け込んだ。こんな狡い俺は、嫌いかい?」
あの時と同じように、眉をハの字にして困った顔をする旦那様。
「いいえ・・・そんな貴方が、大好きですわ」
レースのカーテン越しに、柔らかな光が注ぐ部屋。
その片隅に置かれたベビーベッドの前で、私達は、キスをした。
我が子の成長を喜ぶはずの母親が、何も出来ない事を良しとした。
手の焼ける子ほど、可愛がった。
「出来ない」
と泣くと、
「可愛い、可愛い」
と連呼して頬擦りをし、自分だけでやり遂げると、
「可愛げがない」
と冷たい視線を向けられた。
その事に気づいた時、私は、ゾッとした。
お母様にとって、私達は、犬や猫と同じペットだった。
その日以来、私は、ライラにペット役を全て押し付けた。
出来ることは、どんどん自分でやって、お母様の興味を失わせる事に必死になった。
もし、私が狡いとするならば、その事をライラに教えてあげなかった事。
それに、私は、三つ編み眼鏡姿を貫き通すことで、ライラの評価が更に落ちることも知っていた。
初めてエピとあった校舎裏も、人通りが少なそうで、実は部活棟が近くにあって、意外と人目があることも分かっていた。
私が自分を守る為にしたことが、裏を返せば、ライラを窮地に陥れることにつながっていく。
彼女に『狡い』と言われる度に、否定できなかったのは、心の片隅に後ろめたさがあったから。
「レイラ、どうかした?」
「いいえ・・・ただ、私って狡いなって」
私が、初めてオリンピエ家を訪問させていただいた日、私は、わざと部屋に鍵をかけなかった。
そして、目につきやすいよう、本にエエピから贈られた手紙の封筒だけを挟んでベッドの下に置いた。
それを見たライラが、どう行動するかなんて、手に取るように分かっていた。
ただ、予想外だったのは、ライラを溺愛していたはずのお母様が、自分の保身に走り、彼女を見捨てたこと。
あの日以来、ライラの話を聞く人間は、アンフェア家の中には、誰一人居なくなった。
そして、彼女は、度重なる悪評の為、そろそろ修道院に送られると噂されている。
落ち込む私の肩を、エピがそっと抱きしてくれた。
「レイラが狡いなら、俺も、狡い。実は、初めて会った日、君の後を付けていたんだ」
「え?」
「妹に振り回される君が可哀想で、ずっと気になっていた。しかも、二人で校舎の裏側へ入っていくし。何かあると思って尾行したんだ」
「まぁ」
私は、驚きで目を丸くした。
「君と・・・お近づきになりたいって。だから、君が落ち込んでいる時に付け込んだ。こんな狡い俺は、嫌いかい?」
あの時と同じように、眉をハの字にして困った顔をする旦那様。
「いいえ・・・そんな貴方が、大好きですわ」
レースのカーテン越しに、柔らかな光が注ぐ部屋。
その片隅に置かれたベビーベッドの前で、私達は、キスをした。
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掻いてくださり、ありがとうございました。