【男装歴10年】異世界で冒険者パーティやってみた【好きな人がいます】

リコピン

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ロカール日常シリーズ ▶️50話

【王都への旅路】#3 …これは、ギリギリ乙女心だと思います

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「…それじゃあ、すみません。先に寝かせてもらいます。」

「うん☆おっけー!寝て寝て!」

寝ずの火の番。今日は、エルとルキが交代で担当することになり、私と兄は早々に就寝することになった。

(…寝るの、ちょっと楽しみ。)

ザック型のマジックバッグを開いて取り出したのは、ルキからもらったお下がりのマント。寝具代わりにしようと広げて、横になれば─

「って、ちょーっと待って!セリちゃん!!」

「?」

「何で!?何で、マント広げて、敷かないで上に掛けるのっ!?何故、わざわざ地面に直接寝るっ!?」

「?…地面に敷いたら、マントが汚れるじゃないですか。」

「汚れてなんぼでしょーっ!?っていうか、それじゃ、ローブの方が汚れちゃうじゃない!そっちが汚れちゃ駄目でしょうよ!?」

「…ローブは、洗えばいいので。」

「マントを洗いなさい!!」

「え…、それは、ちょっと。」

折角、ルキからもらったマント。なるべく汚さず、洗わずにいたいと、乙女心が思ってしまう。

(…だって、なるべく、ルキの匂い…)

邪な乙女心が、エルに反抗している。

「…敷きなさい。」

「…」

「明日、土まみれのローブで一日過ごすつもり?嫌でしょう?」

「はい…」

確かに、それも嫌。

救いを求めて、ルキの方を見れば─

「え?俺?いや、てか、それもう、セリのもんだからさ?別に、汚そうが何しようが、俺に気ぃ遣う必要ねぇよ?」

「…でも。」

「はーん?なるほど?」

「…」

振り向けば、チベットに生息するキツネの目をしたエルと目が合った。

「そういうことー?へー?そう?なるほどねー?」

「…」

「…それでも、敷きなさい。」

「…はい。」

目がマジだったエルに、それ以上逆らえずに頷いた。

断腸の思いで地面に敷いたマント、二つ折りにして挟まれば、微かに鼻腔をくすぐる匂い。思いっきり吸い込みたくなるのを、何とか思い留まった。

それでも、ルキの匂いに、心臓の音が速くなる。

(…私、変態、かも。)

ルキの顔も声も手も匂いも何もかも。全部好き、全部大好き、好きすぎて苦しい─




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