異世界から帰ってきたら、大好きだった幼馴染みのことがそんなに好きではなくなっていた

リコピン

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第二章 あ、忘れてた

3.

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3.

「…つまり、あの男は幼馴染みで、アカリの初恋相手だということ?」

「そうです。あと、ついでに言うとご近所さん。マンション同じだよ」

「…」

家への帰り道。チサを相手に必死の説明会。『同じマンション』という言葉に、チサの眉間にシワがよった。

「…『初恋相手』のね?」

「ん?」

「…過去形?」

「ああ!うん、そうそう!それは本当にそう!」

心底、不機嫌そうなチサに何度も全力でうなずく。

「わかった。一応、納得しておく」

「ありがとうございます」

ふざけて頭を下げれば、深いため息が返ってきて、思わず笑ってしまう。

「チサはさぁ、そんなに来叶らいとのこと嫌い?会ったの、今日が初めてだよね?ダメだった?」

「アカリへの態度が嫌い。アカリが何であんな男を好きだったのか理解出来ない」

「まあ、月並みだけど、あれでイイ所もあるんだよ?」

「…」

チサの疑いの眼差しがきついけれど、本当に、来叶を好きだと思えるところはたくさんあったのだ。

今の姿からは想像できないけれど、人見知りの激しかった来叶と、体型のことでからかわれることの多かった私。同じ幼稚園、小学校と、二人でずっと一緒に居た。

ずっとずっと、先の未来も一緒に居られると思っていた来叶との間に溝が出来たのは、小学校五年生頃から。仲の良い男女をからかう周囲の声に、二人の間に次第に距離ができてしまい、気づけば、私をからかう集団の中に、来叶の姿が混じるようになった。

それでも―

「…昔は、優しかったんだよー。かばってくれたり、一緒に遊んでくれたり」

その思い出がある限り、ずっと彼のことを好きでいるのだろうと思っていた。

「だけど、まあ、あれだね?私ももう大人になったわけだし、そろそろ初恋にも別れを告げる時が来たってことなんだろうね?新しい恋でも始めてみるかー」

「気になる相手でもいるの?」

「全くいない」

なんなら、勇者として喚ばれたのだから、あちらの世界で恋の一つや二つ、あってもよかったはずなのに。

「…みんな、可愛かったからなー」

「…」

向こうで出会った人達は、可愛らし過ぎて、かえって恋愛感情を抱くことが出来なかった。

「師匠とか、みんな元気かなー?」

くわえて、チサを初めとして、師匠も旅の仲間達も、周囲に居たのは皆『女性』だったから、浮いた話など一切無いストイックさで三年間を過ごして帰ってきたわけだ。

「あ、どっかでお茶してく?私の未来の恋バナでもしながら、」

「ダメ」

「えー?」

問答無用で切り捨てられた提案に、不満の声をあげてみる。

「…晴山に受かりたいなら、帰って勉強」

「あー」

「…何?」

『晴山』という言葉に、また一つ、思い出してしまった。

「…実は、晴山を受けようと思ったのって、来叶の影響なんだよね」

「…」

「いやいやいや、ちゃんと行きたい学部があるかとかも調べたよ!」

「…」

氷のような視線が飛んでくるけれど、複数の候補の中から、晴山を選んだ最後の決め手が来叶の存在だっただけで。

「…あの男も、晴山を受けるのね?」

「うん」

「なら、尚更、帰って勉強」

「え!?」

てっきり、晴山の受験を反対されるかと思ったのに―

「もしあの男だけ受かって、アカリが落ちたら、すごく腹が立つ」

「…なるほど」

チサの目に映る本気に、それ以上の抵抗は諦めた。




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