異世界から帰ってきたら、大好きだった幼馴染みのことがそんなに好きではなくなっていた

リコピン

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第二章 あ、忘れてた

4.

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4.

呼び出しを受けました。

普段は会話することもないクラスメイト、華やかな女子集団の三人に呼び出されたのは、体育館裏ではなく、放課後のカラオケルーム。

「一緒にカラオケ行かない?」という、明らかに面倒ごとの匂いしかしない彼女達の誘いに乗ったのは、彼女達が何を考えているのかを知っておきたかったから。

面倒くさがったチサに、「先に帰る」と見捨てられたのは計算外だったけれど。

連れていかれたカラオケ店、席についたのは良いけれど、誰かがマイクを持つ気配はない。始まったのは、『彼女』に対する罵詈雑言の嵐で―

「あの女、マジあり得なくない?」

「友達の男盗るとか、信じらんない」

「ほんと、橋架はしかけさんが可哀想じゃん」

彼女達の視線が同意を求めて、こちらを向く。

「あー、やー、どうもありがとう。でも、わりと平気だから」

「えー?」

「橋架さんマジ出来た人」と嘲笑混じりに騒ぎ立てられて、もはや乾いた笑いを浮かべるしかない。

「けど、橋架さんが許しても、あの女はマジ無い」

「無いね」

先程から散々な言われようの『あの女』こと『相田あいだ美歌みか』は、元から女子に好かれるタイプの子ではなかった。それがここに来て、友人である私から『来叶らいと』を略奪したからと、どうやらクラスメイトの女子の一部から相当な顰蹙ひんしゅくをかってしまったようだが。

「いやいや、そもそも私とライトはただの幼馴染みだから。付き合ってたわけでもないし、盗られたとかじゃないよ」

「だとしても、橋架さんがライトのこと好きなのは、みんな知ってたんだよ?それをさあ」

「だよね?あんだけ、ライトのこと好き好き言ってた橋架さん見てて、良くできるよね、あんなこと」

「…」

第三者の口から改めて聞くと、非常に居たたまれない、若さゆえの暴走。カラオケルームという逃げ場の無い密室空間で、彼女達の発言にゴリゴリと神経を削られていく。

思わず黙りこんでしまえば、笑顔で視線を向けられた。

「私達は橋架さんの味方だからさあ、あの女に何かするなら、」

「あ、それはいい。美歌に何かするつもりないし、出来れば、山崎さん達にも何もして欲しくない」

「…でも、」

私の発言に、盛り上がっていた場が一気に白ける。

「少なくても、私を口実に美歌に何かするのは止めて」

「…」

「話は終わり、かな?」

部屋の中の空気が完全に悪くなってしまったのは自覚して、顔を見合わせてヒソヒソするだけの彼女達に尋ねる。

「じゃあ、私、ソロソロ帰るね」

既に歌を歌う雰囲気でもなさそうだ。返事がないことをいいことに、立ち上がって、自分の鞄を手に取った。

「…ちょっと待ってよ、何よ、それ?」

「何って?」

鞄片手に部屋から出ようとしたところで引き留められ、振り返る。

「何かさあ、いい人ぶって、私達だけ悪者にして帰るわけ?」

「あんただって、本当は相当ムカついてんでしょ?無茶なダイエットするくらい」

「あー!やっぱ、そうなんだ!ライトに振り向いて欲しくてやせたわけ?」

いや、これは異世界を救おうとしたらついでに痩せただけで。

「ブスのくせに、痩せてライトに振り向いてもらおうとか、笑えるんだけど」

「本当、必死すぎ」

嘲笑う彼女達の視線に、優越が滲む。

「大体さぁ、うちらがやろうとしてるのは、来叶のためでもあるんだから」

「どういうこと?」

自信に満ちた彼女達の様子に、嫌な予感がする。

「来叶に聞いたんだよね、『相田美歌と付き合ってんの?』って。そしたら、否定はしなかったけど、『あの女がしつこかったから仕方なく』みたいなこと言ってた。来叶も、本当は迷惑してんだよ」

「…来叶、そんなこと言ったの?」

「言った。うちらも聞いてたし」

勝ち誇ったような彼女達の言葉に、来叶なら、言うかもしれないと思ってしまった。

イケメンではあるが、基本、押しに弱い来叶は、彼女達のようにグイグイ来るタイプには非常に弱い。彼女達の不況を買わないために、美歌を悪く言った可能性はありそうだ。

「…でも、それは来叶と美歌の問題だから、私は口を出さない。山崎さん達が口を出すことでもないと思う」

「はー!?マジ、何なのソレ!?」

「うちらは、あんたや来叶のことを考えて言ってんじゃん!?」

「本当、ふざけんな」

「私は自分の意志は伝えたし、言いたいことは言ったから」

まだ何かを言い続ける彼女達を残して、部屋を後にする。店を出たところで、小さく息を吐いた。当初の予想通り、ゴタゴタと面倒くさいことになりそうな今後を思って。




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