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第三章 大学生活と再会とオカルト
5. Side S
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5. Side S
深夜にも関わらずテンションの変わらない男のおしゃべりをBGMに、歩いて来た川沿いの道を、もう一度来た方へと戻る。
先ほど気配を強く感じた河川敷へと降り立てば、やはり、未だ気配はそこにあるまま。
―濃くなってきている
今にも顕現しそうな濃度を持つ一ヶ所。距離を置いて、その中心を見守る。
―このサイズなら、何とか
事象の規模を推測していると、携帯が震え出した。取り出して確認した液晶の画面、そこに浮かぶ文字に頬が弛む。
―無事に着きました。二人も気を付けて
「ふーん、勘がいいのかねえ?俺達が何するか、気づいてる感じじゃねえ?」
「…勝手に覗くな」
「いいだろ、そんくらい。何だよ、本気で気に入ってんのか?橋架のこと」
「…」
簡単に、「気に入っている」と言葉にすることは出来ない。それをわかっていて、いや、わかっているからこそ、悠司もそう聞いているのだろう。
「…僕達の行動に気づいたのは、恐らくもう一人の子、チサさんの方だと思うよ」
「メッチャ警戒されてたもんな、ってそうじゃなくて、橋架のことだよ、俺が聞いてんのは」
答えを得るまで引きそうにない悠司に、軽くため息をつく。長い付き合いの中で、こういう時のこの男のしつこさを知っているから―
「…可愛かったんだ、初めて会ったときも、二度目の時も」
思い出すのは、自分を見て真っ赤に顔を染めた彼女の姿。それが、何だか新鮮で、愛らしくて、興味をひかれた。
「んだよ、一目惚れか?らしくねえなあ」
一目惚れ、ということなのだろうか。確かに、初めて会った相手だというのに、彼女のあの表情に『この子を守りたい』と思ってしまったのは事実。それが恋慕ゆえだと言うのなら、悠司の言う通り、これは『一目惚れ』だ。
「佐藤の方ならまだ何とか、勘も良さそうだしな。けど、橋架はなあ。ぼんやり、とは言わねえけど、のほほんとしてんだよなあ」
「…」
「『幽霊』やら、『霊感』やら、素直に受け入れるし、普通はもっと怪しむもんだろ?『こいつらやべぇ』みたいな」
普通なら―例えそれまでどんなに親しくしていたとしても―『霊が見える』という言葉は、相手に多少の警戒を生む。その警戒が、彼女には全く見られなかった。
「まあ、相手がお前だからってのはあるかもしれんが、まともな会話したのは今日が始めてだったんだろ?」
「そうだね」
「危なっかしいよなあ。佐藤がついてっから、まだ良いようなものの」
彼女とは対照的に、終始こちらを警戒しながら彼女の隣に居た、彼女の友人。警戒されながらも、彼女にはどこか共感するものがあって―
「あ、だからか?あの無防備さに、『俺が守らなきゃ』とか思ってんのか?」
「…」
見透かしたような悠司の言葉に、とっさに返事が出てこない。
「何だよ、秀。お前、やっぱマジなんじゃ、」
「しっ、話は終わりだ。もう開く」
話を遮ったのは、目の前の気配が集約していくのを感じたから。
「…しょうがねえな。けど、後でちゃんと聞かせろよ」
「…」
それには返事を返さず、集約点を悠司に指し示す。
「俺一人で何とかなりそうか?」
「ああ、開度は3、油断しなければ」
「しねえよ」
自身の指し示した先、深い闇に近づいて行く悠司が、その腰へと手を伸ばした―
深夜にも関わらずテンションの変わらない男のおしゃべりをBGMに、歩いて来た川沿いの道を、もう一度来た方へと戻る。
先ほど気配を強く感じた河川敷へと降り立てば、やはり、未だ気配はそこにあるまま。
―濃くなってきている
今にも顕現しそうな濃度を持つ一ヶ所。距離を置いて、その中心を見守る。
―このサイズなら、何とか
事象の規模を推測していると、携帯が震え出した。取り出して確認した液晶の画面、そこに浮かぶ文字に頬が弛む。
―無事に着きました。二人も気を付けて
「ふーん、勘がいいのかねえ?俺達が何するか、気づいてる感じじゃねえ?」
「…勝手に覗くな」
「いいだろ、そんくらい。何だよ、本気で気に入ってんのか?橋架のこと」
「…」
簡単に、「気に入っている」と言葉にすることは出来ない。それをわかっていて、いや、わかっているからこそ、悠司もそう聞いているのだろう。
「…僕達の行動に気づいたのは、恐らくもう一人の子、チサさんの方だと思うよ」
「メッチャ警戒されてたもんな、ってそうじゃなくて、橋架のことだよ、俺が聞いてんのは」
答えを得るまで引きそうにない悠司に、軽くため息をつく。長い付き合いの中で、こういう時のこの男のしつこさを知っているから―
「…可愛かったんだ、初めて会ったときも、二度目の時も」
思い出すのは、自分を見て真っ赤に顔を染めた彼女の姿。それが、何だか新鮮で、愛らしくて、興味をひかれた。
「んだよ、一目惚れか?らしくねえなあ」
一目惚れ、ということなのだろうか。確かに、初めて会った相手だというのに、彼女のあの表情に『この子を守りたい』と思ってしまったのは事実。それが恋慕ゆえだと言うのなら、悠司の言う通り、これは『一目惚れ』だ。
「佐藤の方ならまだ何とか、勘も良さそうだしな。けど、橋架はなあ。ぼんやり、とは言わねえけど、のほほんとしてんだよなあ」
「…」
「『幽霊』やら、『霊感』やら、素直に受け入れるし、普通はもっと怪しむもんだろ?『こいつらやべぇ』みたいな」
普通なら―例えそれまでどんなに親しくしていたとしても―『霊が見える』という言葉は、相手に多少の警戒を生む。その警戒が、彼女には全く見られなかった。
「まあ、相手がお前だからってのはあるかもしれんが、まともな会話したのは今日が始めてだったんだろ?」
「そうだね」
「危なっかしいよなあ。佐藤がついてっから、まだ良いようなものの」
彼女とは対照的に、終始こちらを警戒しながら彼女の隣に居た、彼女の友人。警戒されながらも、彼女にはどこか共感するものがあって―
「あ、だからか?あの無防備さに、『俺が守らなきゃ』とか思ってんのか?」
「…」
見透かしたような悠司の言葉に、とっさに返事が出てこない。
「何だよ、秀。お前、やっぱマジなんじゃ、」
「しっ、話は終わりだ。もう開く」
話を遮ったのは、目の前の気配が集約していくのを感じたから。
「…しょうがねえな。けど、後でちゃんと聞かせろよ」
「…」
それには返事を返さず、集約点を悠司に指し示す。
「俺一人で何とかなりそうか?」
「ああ、開度は3、油断しなければ」
「しねえよ」
自身の指し示した先、深い闇に近づいて行く悠司が、その腰へと手を伸ばした―
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