異世界から帰ってきたら、大好きだった幼馴染みのことがそんなに好きではなくなっていた

リコピン

文字の大きさ
17 / 65
第三章 大学生活と再会とオカルト

4.

しおりを挟む
4.

駅までの帰り道、ポツポツと互いのことを話しながら、人気の少ない川沿いを歩く。

花守さんと部長は子どもの頃、それこそ親同士の代からの付き合いがあるそうで、所謂、幼馴染みということしい。私と来叶らいと達との関係と同じ。

その付き合いが大学まで続いているのだから、よほど仲が良いのかと思い、そう尋ねれば、片方からは満面の笑みと共に肯定が、片方からは苦笑と共にノーコメントが返ってきた。

「お二人ともこっちが地元って言うことは、花守さんと三嶋の緑地公園で会ったのは、本当にすごい偶然、なんですね」

「うん、そうだね。それは本当にラッキーだった。あと、明莉あかりちゃん、敬語はいらないから、普通に話して?」

「うっ」

求められたとはいえ、いきなりのタメ語は中々にハードルが高い。だけど、よく考えれば、恐らく花守さんとは実年齢的には同い年。ついでに部長も。クラスメートと同じ感覚で、何とか。

「わかった。敬語は無し。頑張ってみる」

「うん。そうしてくれた方が嬉しい」

そう言った花守さんの笑顔が優しくて、つられて笑った。

「…あの場所に、何があるの?」

反対隣から聞こえた声。最初からタメ語全開のチサの質問にも、花守さんは、嫌な顔一つせずに答える。

「何かがあるって断定出来るわけじゃないんだけど、気配というか、嫌な雰囲気を感じるんだ。だから、暫くは、あの場所には近づかないで欲しい」

「…それが『霊感』ということ?見えるわけではなく、感じる?」

「うん、今のところは、そうだね」

―今のところは?

何となく歯切れの悪い答えに、横から別の声が答えた。

しゅうはすげえぞ。現れる前に霊を感知して、実際に現れたら見ることも出来る」

「…悠司ゆうじ

「いいだろ?これくらい」

何故か本人よりも自慢げな部長を、花守さんが嗜める。それでも、部長の「秀は子どもの頃から凄かった」話は止まらず、結局、駅に着くまで続いた。

「駅から家までは近いんだよね?」

「うん」

改札近くまで送ってもらい、そこで花守さん達に別れを告げる。

「二人一緒だから大丈夫だとは思うけど、気を付けて。ついたらメールしてくれる?心配だから」

「…わかりました」

思わず敬語に戻ってしまったのは、両親以外でこんな真剣な顔で心配してくれる人は初めてだったから。

「じゃあ、またね?今度から、サークルの方にも顔出すから」

「うん…」

手を振って、改札の中へ。エスカレーターでもう一度振り返った時にも、二人はまだそこに居た。

「あの二人は乗らないのかな?花守さん、電車で来たって行ってたよね?あ、部長が車なのかな?」

「…多分、さっきの場所に戻るつもり」

「え?幽霊のとこ?」

「…」

うなずいたチサに、もう改札は見えなくなってしまったけれど、後ろを振り返った。

「…大丈夫なのかな?」

「多分、あの二人は慣れてる。私達は足手まといだと判断されたから帰された」

「本当に?花守さんはともかく、部長は自分で『霊感無い』って言ってたよ?大丈夫なのかなあ?」

こちらの世界の『幽霊』がどういうものなのか―幸いまだ一度も目にしたことがないため―わからない。二人を案じる気持ちが広がり始めたところで、

「大丈夫、だと思う。あの花守っていう男の気配は、やっぱり『普通じゃない』」

「そうなの?部長も?」

「あの男は…」

チサが言いよどむ。

「…しっぽ」

「え?シッポ??」

「部長自体は普通。だけど、あの男が持ってる『しっぽ』は『普通じゃない』」

チサの言葉に、部長の言葉が甦る。

「あ!何か魔除けとか何とか言ってたのは、本当ってこと?あのド派手なしっぽが?」

「今日、近づいてわかった。封じてあったけど、魔力、とも違う、だけど何か力を感じた」

「おー、まさかの本物だったとは」

では、あのファッションにも本当に何か意味があるのかもしれない。

チサの言葉に、いくらか安堵する気持ちが生まれた。少なくとも、私達は居ない方がいいと判断されたのだ。ここは大人しく家に帰るしかなさそうだ。

帰って、メールをしよう。『無事に着いた』と。それで、彼の『気がかり』が減るのなら。




しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』

ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています この物語は完結しました。 前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。 「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」 そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。 そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?

【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

処理中です...