異世界から帰ってきたら、大好きだった幼馴染みのことがそんなに好きではなくなっていた

リコピン

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第五章 近づいたり、離れたり

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夏休み明けから、学内でよく会うなーとは思っていた。サークルにもよく顔を出してくれるし、それこそ、構内を移動している途中で声をかけられることも増えた。だからそれは自然に、本当に深く考えもせずに言ってしまった一言だった、「最近、よく会いますね」と。

「うん、明莉あかりちゃん、取ってる講義とか教えてくれたでしょ?だから、会えないかなと思って、時間合わせて教室出たりしてるよ?」

「…そう、ですか」

学内カフェテリア、向かいの席で笑っている花守さんは、相変わらずの穏やか青年で。

チサとの待ち合わせに、涼を求めて入ったカフェテリアでの遭遇。相席しながら、雑談がてらの一言に返ってきた返事が、「偶然じゃないよ?」だったのだ。その説明にも、もう、何て答えればいいのか―

「明莉ちゃん、今度の日曜日は暇だったりする?良かったら、遊びに行かない?」

「…」

え?これは、何だ。何だろう?デート的な?お誘い的な何かなんだろうか?

「映画とか、遊園地はまだ暑いかもしれないけど、水族館とかどうかな?」

「…花守さん、水族館好きなの?」

「うん、結構好きかな。でも、場所はどこでもいいんだ。明莉ちゃんと出掛けたいだけだから」

「…」

駄目だ。これは、一体どういう顔をすればいいのか―

「ゆっくり話が出来たらいいなと思ってる。あ、それだと、映画はまずいかな?」

「…」

往生際悪く、まだ確定しきれないけれど、でも、自惚れじゃなければ、これは、やはりデートなのでは?

「ごめんね?引いちゃった?」

「いえいえいえ、全然、そういうんじゃないですよ」

初心者過ぎて、テンパってるだけです。

「そっか。じゃあ、ご飯食べに行く?チサさんと悠司も誘って」

「あーはい、そうして頂けますと」

非常に安心できます―

「はは。じゃあ、二人に声をかけてみるね?」

「チサには私が声かけるから、大丈夫」

「うん、わかった」

「じゃあ、また連絡するね」と席を立つ花守さんの動きを目で追った。片手を上げて別れを告げた彼が笑う。

しゅうって呼んでもらえるくらいには、気を許して欲しいと思ってるんだ」

「うっ」

返事にもならない呻き声に、彼の顔が苦笑に変わった。ヒラヒラと手を振って店を後にする彼の背中を未練がましく最後まで見送る。だけど結局、声をかける勇気も、追いかける勇気も無くて、テーブルに沈んだ。

そういうことをサボってきたツケ、だろうか。彼の言葉に何と返せばいいのか、どう反応するのが正しいのかがわからずに、萎縮してしまう。ウダウダしてしまう。私がうざい。

―とりあえず、チサにメールしよう

テーブルから、ノロノロと体を起こして、携帯を取り出した。




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